ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Josh Turner ジョシュ・ターナー - Country State of Mind ~今目線によるトラディショナル・カントリー名曲集の元歌情報

2020-08-29 | カントリー(男性)

 

既にメインストリーム・カントリーで20年近くのキャリアを誇る

トップ・アーティスト、ジョシュ・ターナーが、ポップ・カント

リー隆盛の現代において、実に有難いアルバムをリリースしてく

れました。いくつかのクラシック曲を交え、近年のトラディショ

ナル・カントリー・スタイルの名曲カバー集です。前作のゴス

ペル集「I Serve a Savior」に続くイベント・アルバムです。デビ

ュー以来、カントリーらしいスタイルを頑なに守り続けて来た

こだわりに溢れた選曲~それは超有名曲と、ジョシュ個人の思

入れを窺わせる曲のミックス~が興味深いです。

 

さらに、一部の曲では原曲を世に送り出した豪華レジェンドがゲ

ストで参加している事もトピックです。またジョシュの意図に共

感して参加した若手アーティストの顔ぶれにも注目してほしいで

すね。ジョシュがThe Country Dailyに思いを語っています。゛僕が

音楽に関して常に愛し続けて来た事の一つは、それが試練の時を

耐え忍ぶ方法だという事だ。このプロジェクトに含まれる、ヴァ

ーン・ゴスディン、キース・ホイットリー、ジョン・アンダーソ

ンやその他の、僕が称え続けて来たアーティスト達が全ての新た

世代のファンに紹介される事を望んでいるよ゛

 

以下、ジョシュの意志を継がせてもらって、収録曲のオリジネイ

ーなどの簡単な情報を記載します。今の時代から見たトラディ

ショナルなカントリーとはどんなもの?、という問いへの適切な

サンプラーになっていると思います。

 

 

1、I’m No Stranger To The Rain

原曲:Keith Whitley(1988年)

70年代からブルーグラスで活躍し、J.D.Crowe & The New South

在籍時には来日もしました。80年代中頃からカントリーでヒット

を飛ばすも、飲酒の影響で89年に逝去。ソロとしての活動は短い

ですが、今も信奉者が多いレジェンド。昔から大好きな名曲で

す。


2、I’ve Got It Made (デュエット: ジョン・アンダーソン)

原曲:John Anderson(1983年)

80年代に一時全盛期があり90年代にも人気が復活し、レジェント

となりました。やわらかなくぐもったような声が独特な人です。


3.Why Me (デュエット:クリス・クリストファーソン )

原曲:Kris Kristofferson(1972年)

ジャニス・ジョプリンがカバーした"Me and Bobby McGee"やサ

ミ・スミスの"Help Me Make It Through the Night"で注目され、

リタ・クーリッジと夫婦だった事もあります。アウトロー・カン

トリーの時代に先立ち、カントリーが本当にお堅かった時代に、

長髪で自由な振る舞いのカントリー・アーティストとして時代を

先取りしました。ハイウェイメンのメンバー。

 

 

4.Country State Of Mind (デュエット:クリス・ジャンソン)

原曲:Hank Williams Jr.(1986年)

ハンク・ウィリアムスの息子、ジュニアの名曲。今年、カントリ

ー・ミュージックの殿堂入りを果たしました。クリス・ジャン

ソンは貴重な若手のトラディショナリストで、最近もエアプレイ・

チャートでNo1ヒットを連発。中堅どころのアーティストですが、

グランド・オール・オープリーのレギュラー・メンバー。タイト

ル曲でのデュエットは大抜擢ですね。


5.I Can Tell By The Way You Dance

原曲: Vern Gosdin(1984年)

60年代のゴスディン・ブラザーズ時代(映画「イージーライダー」

で"Someone to Turn to"が使われた)から70年代以降のソロ活動

まで30年以上活躍しました。マール・ハガードやジョージ・ジョ

ーンズと並び称されるほど、歌手からは信奉を集めています。


6.Alone And Forsaken (コーラス:アリソン・ムーアー)

原曲:Hank Williams(1955年、死後リリース)

説明不要のカントリー・ミュージック、いやアメリカン・ミュー

ジックの父。1953年の逝去後にリリースされた曲。渋めの選曲

すね。ゲストのアリソンは1998年にMACからデビューし、この

ジャー・レーベルでは2枚のアルバムをリリース。その後も現在ま

でインディー系で着実にアルバムをリリースして来ました。最近

たまたま、デビュー作「Alabama Song」をよく聴いていたので、

この抜擢は嬉しいです。ハスキーな声が素晴らしいアーティスト

です。

 

 

7.Forever And Ever, Amen (スペシャル・ゲスト:ランディ・トラビス)

原曲:Randy Travis(1987年)

80年代前半のかなりポップで洗練された時代から、一気にネオ・

トラディショナル時代へとトレンドを転換させたきっかけとなっ

た名曲の一つ。ランディは体調のせいか、かつてのように歌う事

難しいようで、最後の゛Amen゛で囁くような声を聴かせてく

のみです。


8.Midnight In Montgomery

原曲:Alan Jackson(1991年)

説明不要のアラン・ジャクソンです。セカンド・アルバム「Don't

Rock the Jukebox」収録。ハンク・ウィリアムスのお墓をテーマに

した曲で、こちらもどちらかというと渋めの選曲です。


9.Good Ol’ Boys

原曲:Waylon Jennings(1980年)

アウトロー・カントリーの代表的アーティスト。あの”ウィー・ア

ー・ザ・ワールド”に最初は参加していたが、途中退席したらし

です。当時はそのくらい存在感のあった人でした。この曲はCBS局

放送のコメディ「The Dukes of Hazzard」のテーマ曲として有名

 


10.You Don’t Seem To Miss Me (コーラス:ランナウェイ・ジュン)

原曲:Patty Loveless(1997年)

これは嬉しい、パティ・ラブレスのトラディショナルなミディア

ム。「Long Stretch of Lonesome」収録のリード・シングルで、ジ

ョージ・ジョーンズと豪華デュエットしていました。個人的に一

番好きなシンガーで、ミランダ・ランバートより好きです♡・・・こ

こでは男女パートを入れ替えて歌われています。ランナウェイ・ジ

ュンは2019年に"Buy My Own Drinks"がかなりヒットし、結構トラ

ディショナル志向の女性3人組です。


11.Desperately (コーラス:マディ&タエ)

原曲:George Strait(2003年)Bruce Robison(1998年)

やはり、スト様、ジョージ・ストレイトは外せませんね。

「Honkytonkville」収録。ブルース・ロビソンの曲です。そして、

らが(?)マディ&タエが参加してます。彼女がトラディシ

ョナリストだという認識はなかったのですが、どの曲でも一定の

品位を保っているのは、カントリー・ミュージックに対する確固

たる美学が有るからなのでしょう。

 


12.The Caretaker

原曲:Johnny Cash(1959年)

言わずと知れたジョニー・キャッシュ。低音のバリトン・ボイスでジ

ョニーの生き写しのように歌ってくれます。誰にも顧みられないお墓

の世話人を歌ったもので、原曲の゛Who's going to cry/When old John

dies?゛を゛Who's going to cry/When old Josh dies?゛と変えて歌って

います。カントリー・ミュージックの基本スタイルを守ろらんとする

思いを込めているのかもしれません。

 

※年代はアルバム・リリース基準で記載しました

 

★ジョシュについては、全盛期の頃のアルバム、「Your Man

Everything Is Fine」「Haywire」の記事もアップしています★



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