ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Alan Jackson アラン・ジャクソン - [DVD] Keepin' It Country : Live at Red Rocks

2016-07-09 | Alan Jacksonアラン・ジャクソン レビューまとめ

少し前に、デビュー25周年記念にまつわるインタビュー記事をご紹介した、現代メインストリーム・カントリー界の皇帝、アラン・ジャクソンが、今年2016年、その25周年記念ツアーでのプレイを収録した、フル・ライブ・DVDをリリースしてくれました。ライブ中のMCによると、25都市を巡ったそのツアーのラスト・ストップ、25箇所目のコロラド州モリソンのレッド・ロック・アンフィーシアターでの演奏です。ビデオクリップを収録したDVDは何度かリリースされているのですが、単独のレギュラーなライブ・ビデオは初めてでしょう(以前ご紹介したゴスペル・ライブはありましたね)。堂々の26曲、収録時間は1時間46分間。リージョン・フリーです。

その演奏曲目を以下にリストアップしてみました(( )内は収録アルバムとリリース年)けれども、きっちりとキャリア全体を満遍なくカバーし、各アルバムからバランスよく選曲された、ヒット曲のオンパレードです。これでも、まだ漏れてる曲があって、アリスタ期の「High Mileage」(1998、"Little Man"など)からの曲が収録されてないなど、改めてアランのヒット曲の多さに呆然としてます。あと、「Preciou Memory」等の企画色の強いアルバムも対象外で、やはり25周年記念、徹底してホンキー・トンク・パーティにしたかったのでしょう。いちばん多く選曲されてるアルバムが「Who I Am」で、オープニングなどで4曲収録。確かにこれは私もよく聞いた記憶が強力に残ってる名作アルバムでしたね。一般に最高傑作と言われる「A Lot About Livin' (And a Little 'Bout Love)」からは、ケイジャンのビートを活用した"Chattahoochee"と、"Mercury Blues"が、ライブのラスト、大円団の重要パートで演奏されています。



 1,Gone Country(Chorus Only) (Who I Am 1994)
 2,I Don't Even Know Your Name (Who I Am 1994)
 3,Livin' on Love (Who I Am 1994)
 4,Good Time (Good Time 2008)
 5,Small Town Southern Man (Good Time 2008)
 6,The Blues Man (Under the Influence 1999)
 7,Who's Cheatin' Who (Everything I Love 1996)
 8,Little Bitty (Everything I Love 1996)
 9,Country Boy (Good Time 2008)
 10,Drive (For Daddy Gene) (Drive 2002)
 11,Where Were You (When the World Stopped Turning) (Drive 2002)
 12,Don't Rock the Jukebox (Don't Rock the Jukebox 1991)
 13,Here in the Real World (Here in the Real World 1989)
 14,Wanted (Here in the Real World 1989)
 15,Chasin' That Neon Rainbow (Here in the Real World 1989)
 16,It Must Be Love (Under the Influence 1999)
 17,Song for the Life (Who I Am 1994)
 18,Pop a Top (Under the Influence 1999)
 19,Angels and Alcohol (Angels and Alcohol 2015)
 20,You Never Know (Angels and Alcohol 2015)
 21,As She's Walking Away (You Get What You Give by Zac Brown Band 2010)
 22,Remember When (Greatest Hits, Vol. 2 2003)
 23,Five O'Clock Somewhere (Live at Texas Stadium 2007)
 24,Chattahoochee (A Lot About Livin' (And a Little 'Bout Love) 1992)
 25,Where I Come From (When Somebody Loves You 2000)
 26,Mercury Blues (A Lot About Livin' (And a Little 'Bout Love) 1992)



ライブの構成は、1曲目から12曲目までと、終盤がスタンドアップでの演奏。中盤の13曲目から21曲目ではアランとバンドメンバーが皆座って、少しリラックスした雰囲気になります。90年代の全盛期曲と、その雰囲気を再現した好盤「Good Times」のナンバーが演奏される前半が、特にお気に入りです。デビューアルバム・コーナーが始まる13曲目から18曲目は、若干ショート・バージョンにして演奏していますね。う~ん、"Here in the Real World "はフルコーラスで聴きたかった。バンドの後ろには大型のスクリーンが配され、先のインタビュー記事でもアランが語っていた、かつてのビデオ・クリップが常時流されていますいます。はっきりと画面に映し出される事はないけれども、かつてCMT(DirecTV)で見た懐かしい場面がチラチラ見えて楽しいです。



その演奏ですが、最初の一音目("Gone Country"のイントロ!)から、デビュー当時から殆ど変わらない、これぞアラン・サウンドと分かる、コクと軽やかさが同居したバンド・サウンド。ロックを経た時代にマッチした、アタックと腰の強いホンキー・トンク・サウンドです。何をおいてもサウンドのカラーを決定しているのが、リード・ギタリスト、Danny Groahのテレキャスターの音でしょう。90年代初頭のネオ・トラディショナル・カントリーでこの音楽にのめり込んだ身としては、応えられません。あと、アランのバンドと言えば、なんとなく昔からルックス的にはこの人がシンボル?、ベースのRoger Willsも健在です。



そして、やはり目が行くのがアラン自身の魅力、存在感の大きさ、です。軽やかさと温かさが同居したその歌声で、バラードでは見るものの耳をうっとりと和ませてくれ、アップテンポ曲でも勢いよく聴衆を煽ります。確かに、デビューから25年、50代になってちょっぴり声も枯れ気味なとこもあったりして。それは"Don't Rock the Jukebox"の直前、モノクロ映像で現れるセカンド・アルバムの時期のアランが、この曲の発想となったエピソード(ベースのRogerが関係しているよう)を語る時の声との対比で感じられるかな・・・しかし、これまた先のインタビュー記事でも自身で語ってたように、アランは年齢を重ねた事をけして悪い事と考えていなくて、むしろ成長と捉え、このような演出をしているのだろうと思います。アランが素晴らしい笑顔で、悠々とステージ上を歩き、ファンにタオルやピックを投げる様は、年輪から来る人柄の深みが感じられ頼もしく見えます。これぞスーパースターなんだな、と見てて嬉しくなりました。

もし、アランに興味をお持ちの方がおられたら、ベストヒット集としても楽しめるこのDVDはなかなかお薦めだと思います。ヤッパりライブは良い!



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