今やカントリー・フィールドのみならず、アメリカン・ミュージック界トップクラスのエンターテイナーとして押しも押されもせぬ存在であるキース・アーバン。名盤「Love, Pain & the Whole Crazy Thing」に続く、ソロとしては5枚目のアルバムです。ニュージーランド生まれで、オーストラリアのカントリー・シーンから”移籍”してきたキャリアもあって、アメリカン・カントリーの伝統へのコダワリよりも、オーガニックな風味を絶やさないアメリカン・ロック・マナーの音楽でカントリー・シーンを引っ張ってきた彼。前作「Love, Pain & the Whole Crazy Thing」では、特にドラマティックなニュー・カントリー・バラード"Stupid Boy""Everybody"らのスケールの大きい歌声とソウルフルなギターが、キースの円熟を感じさせて感動的でした。このリリース直後、体調回復の為のリハビリに取り組んだ彼の、心の叫びを表現していたのかもしれません。対して2009年の本作は、基本は前作の延長上にある彼らしいロッキン・カントリー路線をキープし、より小気味良くポップな志向にシフトしたと言えるでしょう。楽曲的にも充実した、スムーズな素材がタップリ。キースの声も意気が良く、調子の良さを感じさせてくれます。我が国で、あえてこのサウンドを”カントリー”と呼ぶ必然性はないのかもしれませんが、その手堅くまとまったプロフェッショナルな音作りは、やはり”洗練された大人の為のポップ”。カントリー・フィールドでなければ生み出せない質感です。サウンド・デザイナー、キースの面目躍如。前作に引き続き、ダン・ハフとの共同プロデュース。
アルバムのカラーは、リードオフ・シングルの"Sweet Thing"と"Kiss a Girl"に凝縮されています。オープニングの"Kiss a Girl"は、軽やかなギター・コードを中心に全体がカッチリとタイトにまとまったロック・チューン。スゴく華やか、という訳ではないけれど、伸びのある声で歌われるキャッチーなメロディに引っ張られて盛り上がります。有るべき音があるべき位置に、無理も無駄もなく収まっている感じ。一方"Sweet Thing"は、ファンキーなリズムと、一度聴いたら忘れられなくなるキラキラしたスペイシーなギター・リックで聴き手の気を引きます。それらをバックにキースのレイドバックした抑えたボーカルが好対照。そしてコーラスで突如、その声が高く舞い上がる展開が上手い!さらにトレードマークと言えるむせび泣くようなギターでテーマ・フレーズを奏でるのです。これら2曲(と、メロウに流れるようなスロー"'Til Summer Comes Around")は、キースの長年のソングライティング・パートナーである、Monty Powellとの共作。これまでも、"Days Go By" "Tonight I Wanna Cry" "Who Wouldn't Wanna Be Me"などのそうそうたるヒット曲を共作してきた人です。さすが、ツボを心得たキースらしさを引き出すにはうってつけのパートナーなのでしょう。それもそのはず、キースがソロ・デビューする前、今もツアーバンドで同行しているベーシストJerry Flowers(本作では"Hit The Ground Runnin'"を共作で提供しています)と組んでいたバンド、The Ranchの唯一のアルバムを共同プロデュースしたという長い付き合いなのです。
少し異色なのが、フロリダはキーウェストの心地よい海岸で聴きたくなるようなミディアム"Why It Feels So Long"、コーラスのメロがナイスで緩~く弾む、私お気に入り曲です。スロー曲は先に触れた"'Til Summer Comes Around"以外では、繰り返されるアコースティック・ギターのフレーズとディープなストリングスのからみが、キースお得意のしっとり感を感じさせてくれる"Only You Can Love Me This Way"と、そして、もう恒例と言って良い、ニコール・キッドマンへ捧げる"Thank You"の2曲。アルバムのラストを締めくくる"Thank You"はひっそりとしたリズムボックスがペースをつくり、ピアノをバックに愛妻への感謝の思いを切々と歌い上げるもの。背後で響く、内に秘めた熱い思いを表現するかのような自身のギターと共に、キースの魅力の一つである泣きのボーカルでジックリ聴かせてアルバムを締めくくります。
本アルバムは、カントリー・チャートのみならず、初めてビルボード200でも1位を獲得。1週間で171,525枚売り上げたとか。キースが、アメリカン・ミュージック界においても高みに登りつめた事を感じさせました。
●キース・アーバンのMySpaceサイトはコチラ●
アルバムのカラーは、リードオフ・シングルの"Sweet Thing"と"Kiss a Girl"に凝縮されています。オープニングの"Kiss a Girl"は、軽やかなギター・コードを中心に全体がカッチリとタイトにまとまったロック・チューン。スゴく華やか、という訳ではないけれど、伸びのある声で歌われるキャッチーなメロディに引っ張られて盛り上がります。有るべき音があるべき位置に、無理も無駄もなく収まっている感じ。一方"Sweet Thing"は、ファンキーなリズムと、一度聴いたら忘れられなくなるキラキラしたスペイシーなギター・リックで聴き手の気を引きます。それらをバックにキースのレイドバックした抑えたボーカルが好対照。そしてコーラスで突如、その声が高く舞い上がる展開が上手い!さらにトレードマークと言えるむせび泣くようなギターでテーマ・フレーズを奏でるのです。これら2曲(と、メロウに流れるようなスロー"'Til Summer Comes Around")は、キースの長年のソングライティング・パートナーである、Monty Powellとの共作。これまでも、"Days Go By" "Tonight I Wanna Cry" "Who Wouldn't Wanna Be Me"などのそうそうたるヒット曲を共作してきた人です。さすが、ツボを心得たキースらしさを引き出すにはうってつけのパートナーなのでしょう。それもそのはず、キースがソロ・デビューする前、今もツアーバンドで同行しているベーシストJerry Flowers(本作では"Hit The Ground Runnin'"を共作で提供しています)と組んでいたバンド、The Ranchの唯一のアルバムを共同プロデュースしたという長い付き合いなのです。
少し異色なのが、フロリダはキーウェストの心地よい海岸で聴きたくなるようなミディアム"Why It Feels So Long"、コーラスのメロがナイスで緩~く弾む、私お気に入り曲です。スロー曲は先に触れた"'Til Summer Comes Around"以外では、繰り返されるアコースティック・ギターのフレーズとディープなストリングスのからみが、キースお得意のしっとり感を感じさせてくれる"Only You Can Love Me This Way"と、そして、もう恒例と言って良い、ニコール・キッドマンへ捧げる"Thank You"の2曲。アルバムのラストを締めくくる"Thank You"はひっそりとしたリズムボックスがペースをつくり、ピアノをバックに愛妻への感謝の思いを切々と歌い上げるもの。背後で響く、内に秘めた熱い思いを表現するかのような自身のギターと共に、キースの魅力の一つである泣きのボーカルでジックリ聴かせてアルバムを締めくくります。
本アルバムは、カントリー・チャートのみならず、初めてビルボード200でも1位を獲得。1週間で171,525枚売り上げたとか。キースが、アメリカン・ミュージック界においても高みに登りつめた事を感じさせました。
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