ケリー・ピックラー論?
アメリカン・アイドル・シーズン5で6位となり、シーズン4で優勝したキャリー・アンダーウッドに続いて、カントリー・フィールドでスター街道を歩んでいるケリー・ピックラー。デビュー作「Small Town Girl」では、タイトルどおりオーソドックスなファッションでジャケットに収まっていた彼女。この2008年のセカンドでは業界の荒波にもまれ(?)、セクシーで華やかに垢抜けた彼女の姿があります。この落差、なかなか尋常ではありませんね。ただ、今一歩洗練しきらない感じがするのも確か・・・・。2007年に続き2008年のCMAアワードでも、堂々パフォーマンス・アーティストとして歌声を披露するなど、着実にカントリー界での地位を築いてきています。ケリーの個性は、ルックス共々その線の細いキュートなカントリー・ボイス、これに尽きるでしょう。
サウンド的には、フォーク・ロック調ギター(初期バーヅByrdsの12弦ギター風の音)が爽やかに効いていて、彼女の親しみやすい存在感を上手く演出している作品がイイです。ロジャー・マッギンの歴史的なギター・サウンドが、今や美しいカントリー・アイドルの武器になるとは、なんとも面白いな。"Don't You Know You're Beautiful""Rocks Instead of Rice"あたりが彼女の繊細でキュートな声が生かされてて上々。ただ、チョッといきなり背伸びを急いだような印象を感じる部分も。テイラー・スウィフトTaylor Swiftと共作(2007年、2人はブラッド・ペイズリーのツアーに同行、同年のCMAアワードでもブラッドのステージに2人がコーラスで共演するなどして、仲良くなったのでしょう)した話題作で、CMAアワードでも歌った"Best Days of Your Life"は、ツボを得たポップ・チューンですが、リフレインでのガナり声がディーバへの成長を演出しようとしているようで彼女らしくない感じ。可憐なバラード曲や、ダウンホームな"Didn't You Know How Much I Love You"あたりでは、頑張って聴かせてくれています。ここは音楽的な完成度や歌のテクニック云々よりも、彼女のキュートで軽~いキャラクターを楽しむのが正解でしょう。
現在のカントリー・フィールドでは飛びきりの若手美人シンガーである、このケリーとテイラー・スウィフト、ジュリアン・ハフJullianne Houghの3人が揃って写ったナイスな写真があります。これは、3人が2008年のCMAミュージック・フェスティバルの模様を特集した番組「CMA Music Festival Country's Night to Rock!」のホストを務めた時のモノ。クールでさり気ないテイラー、落ち着いた美貌とダンサーらしくボーズを決めるジュリアン。対してお調子者っぽくふざけてみせるベタなケリー。また、ケリーがTV番組で小学生とクイズで競い合い困り果てる、(言葉は悪いですが)おバカキャラが満開の映像がYouTubeで見る事が出来ます。番組タイトルは「貴方は5年生より賢い?」。これらごく一例かもしれませんが、彼女は一体何をしているのでしょうか?
Minnie Pearl (ぶら下がってるのは、トレード
マークの$1.98プライスタグ)
つまりは、ケリーはアメリカ文化の中でカントリーが伝統的に担っている、洗練しきらない庶民的なユーモア・センスを今に体現している人なのでしょう。これは、敬愛するというドリー・パートンの立ち居振る舞いからの影響もあるでしょう。さらに源流をよりクラシックの世代に求めると、シンガーでなくコメディアンになりますが、ミニー・パールMinnie Pearl(1912~1996)に行き着くと思います。というか、グランド・オール・オープリーのメンバーでもあったミニー御大は、カントリー・フィールドのみならずアメリカのコメディー・パフォーマーとして絶大な影響力を後世に残した人なのです。そして、今でもカントリー・フィールドは御大を起源としたユーモアセンスを求め続けており、ケリー・ピックラーがそのエッセンスを取り入れ、今のカントリー・フィールドにおいてその役割を担っていると言うことではないかと。美しいアイドルがそんなキャラを見せてくれるところを、ファンは愛しているのでしょう。彼女が良く見せるマリリン・モンロー風投げキッスのどこか(けして悪い意味でなく)安っぽいポーズを見るたび、妙な言い方かもしれませんが、伝統的なものを感じるのです。少なくとも、キャリー・アンダーウッド、テイラー・スウィフト、ジュリアン・ハフの中では、ケリーが最もトラディショナルなキャラクターなのではないでしょうか。
1986年、ルイジアナ州生まれ、ノースカロライナ州育ち。アメリカン・アイドル出場前はウェイトレスをしていて、ミス・ノース・カロライナへの出場経験もあったとか。その南部訛りと情熱的なブロンドが、アメリカン・アイドルで全米を虜にしたのです。
最後に・・・・ミニー・パールはカントリー・ソングもレコーディングしていますが、Kingレコードのクラシック・カントリー・コンピレーションで彼女の"On Top of Old Smoky"を初めて聴いた時、ヒックリ返りました。音痴!?人に聴かせるような歌声ではない!彼女がコメディアンだと知らなかったので、そう思ったのです。しかし当時のカントリー・ファンはこれを楽しんだのです。つまり、歌声というより、ミニー・パールの存在感自体を愛し、楽しんだのでしょう。それは現代、ファンがアイドルを愛する時の気持ちと、基本的に同様なんだと思います。
●2011年リリースのサード・アルバム「100 Proof」のレビューはコチラで●
アメリカン・アイドル・シーズン5で6位となり、シーズン4で優勝したキャリー・アンダーウッドに続いて、カントリー・フィールドでスター街道を歩んでいるケリー・ピックラー。デビュー作「Small Town Girl」では、タイトルどおりオーソドックスなファッションでジャケットに収まっていた彼女。この2008年のセカンドでは業界の荒波にもまれ(?)、セクシーで華やかに垢抜けた彼女の姿があります。この落差、なかなか尋常ではありませんね。ただ、今一歩洗練しきらない感じがするのも確か・・・・。2007年に続き2008年のCMAアワードでも、堂々パフォーマンス・アーティストとして歌声を披露するなど、着実にカントリー界での地位を築いてきています。ケリーの個性は、ルックス共々その線の細いキュートなカントリー・ボイス、これに尽きるでしょう。
サウンド的には、フォーク・ロック調ギター(初期バーヅByrdsの12弦ギター風の音)が爽やかに効いていて、彼女の親しみやすい存在感を上手く演出している作品がイイです。ロジャー・マッギンの歴史的なギター・サウンドが、今や美しいカントリー・アイドルの武器になるとは、なんとも面白いな。"Don't You Know You're Beautiful""Rocks Instead of Rice"あたりが彼女の繊細でキュートな声が生かされてて上々。ただ、チョッといきなり背伸びを急いだような印象を感じる部分も。テイラー・スウィフトTaylor Swiftと共作(2007年、2人はブラッド・ペイズリーのツアーに同行、同年のCMAアワードでもブラッドのステージに2人がコーラスで共演するなどして、仲良くなったのでしょう)した話題作で、CMAアワードでも歌った"Best Days of Your Life"は、ツボを得たポップ・チューンですが、リフレインでのガナり声がディーバへの成長を演出しようとしているようで彼女らしくない感じ。可憐なバラード曲や、ダウンホームな"Didn't You Know How Much I Love You"あたりでは、頑張って聴かせてくれています。ここは音楽的な完成度や歌のテクニック云々よりも、彼女のキュートで軽~いキャラクターを楽しむのが正解でしょう。
現在のカントリー・フィールドでは飛びきりの若手美人シンガーである、このケリーとテイラー・スウィフト、ジュリアン・ハフJullianne Houghの3人が揃って写ったナイスな写真があります。これは、3人が2008年のCMAミュージック・フェスティバルの模様を特集した番組「CMA Music Festival Country's Night to Rock!」のホストを務めた時のモノ。クールでさり気ないテイラー、落ち着いた美貌とダンサーらしくボーズを決めるジュリアン。対してお調子者っぽくふざけてみせるベタなケリー。また、ケリーがTV番組で小学生とクイズで競い合い困り果てる、(言葉は悪いですが)おバカキャラが満開の映像がYouTubeで見る事が出来ます。番組タイトルは「貴方は5年生より賢い?」。これらごく一例かもしれませんが、彼女は一体何をしているのでしょうか?
Minnie Pearl (ぶら下がってるのは、トレード
マークの$1.98プライスタグ)
つまりは、ケリーはアメリカ文化の中でカントリーが伝統的に担っている、洗練しきらない庶民的なユーモア・センスを今に体現している人なのでしょう。これは、敬愛するというドリー・パートンの立ち居振る舞いからの影響もあるでしょう。さらに源流をよりクラシックの世代に求めると、シンガーでなくコメディアンになりますが、ミニー・パールMinnie Pearl(1912~1996)に行き着くと思います。というか、グランド・オール・オープリーのメンバーでもあったミニー御大は、カントリー・フィールドのみならずアメリカのコメディー・パフォーマーとして絶大な影響力を後世に残した人なのです。そして、今でもカントリー・フィールドは御大を起源としたユーモアセンスを求め続けており、ケリー・ピックラーがそのエッセンスを取り入れ、今のカントリー・フィールドにおいてその役割を担っていると言うことではないかと。美しいアイドルがそんなキャラを見せてくれるところを、ファンは愛しているのでしょう。彼女が良く見せるマリリン・モンロー風投げキッスのどこか(けして悪い意味でなく)安っぽいポーズを見るたび、妙な言い方かもしれませんが、伝統的なものを感じるのです。少なくとも、キャリー・アンダーウッド、テイラー・スウィフト、ジュリアン・ハフの中では、ケリーが最もトラディショナルなキャラクターなのではないでしょうか。
1986年、ルイジアナ州生まれ、ノースカロライナ州育ち。アメリカン・アイドル出場前はウェイトレスをしていて、ミス・ノース・カロライナへの出場経験もあったとか。その南部訛りと情熱的なブロンドが、アメリカン・アイドルで全米を虜にしたのです。
最後に・・・・ミニー・パールはカントリー・ソングもレコーディングしていますが、Kingレコードのクラシック・カントリー・コンピレーションで彼女の"On Top of Old Smoky"を初めて聴いた時、ヒックリ返りました。音痴!?人に聴かせるような歌声ではない!彼女がコメディアンだと知らなかったので、そう思ったのです。しかし当時のカントリー・ファンはこれを楽しんだのです。つまり、歌声というより、ミニー・パールの存在感自体を愛し、楽しんだのでしょう。それは現代、ファンがアイドルを愛する時の気持ちと、基本的に同様なんだと思います。
●2011年リリースのサード・アルバム「100 Proof」のレビューはコチラで●
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます