ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Chely Wright チェリー・ライト- Lifted Off The Ground

2010-08-16 | カントリー(女性)
 この5月にリリース予定をお伝えした、2005年の「The Metropolitan Hotel」以来5年ぶりのリリースとなる、チェリー・ライトのニュー・アルバムです。チェリーというと、どうしても1999年のブレイク作で、パワー・ポップのタイトル曲がカントリー・シングルNo.1を獲得した「Single White Female」を思い出してしまうのですが、それに対して本作は、隙間の多いミニマムな音数による、シンプルなアコースティック・サウンドがパーソナルで良心的な印象を与えてくれます。ここら、プロデューサーであるロドニー・クロウェルRodney Crowellのセンスが光っているのでしょう。「Single White Female」で聴かれたタイトル曲や、"It Was"そして"She Went out for Cigarettes"などの華やかさがひかえられている一方で、フォーキーな"Snow Globe"や、同時発売の自伝と同タイトルの"Llke Me"の子守唄のような響きが聴きものです。全曲チェリー自身のペンによるところも、彼女がシンガーソングライター的な音楽スタイルを目指している事が見て取れます。可憐な"Heavenly Days"のみロドニーとの共作。

                    

 チェリーのメジャーデビューは1994年にさかのぼります。そのポリドールからの「Woman In the Moon」は当時日本のトラディショナルなカントリー・ファンの間でも話題になり、なんと1995年の熊本における『カントリー・サンシャイン』で来日してたくらい。そして1997年の「Let Me In」が、トップ30レベルの中ヒットとなり、続く「Single White Female」でのブレイクへと繋がっていくのです。この時期チェリーは、彗星のごとくデビューしブレイクしていたブラッド・ペイズリーと共演、グランド・オール・オープリーでライブ・レコーディングされた"Hard to Be a Husband, Hard to Be a Wife"がヒットしました。カントリーの次代を担う男女のニュー・タレントとして期待されただけでなく、2人はプライベートでも交際していましたが、ブラッドがその人気を高めて2人のスターダムに開きが出てきた頃、チェリーは突然、一方的にブラッドとの関係を絶ったのでした。

 アルバムと同時発売の伝記、「Like Me: Confessions of a Heartland Country Singer」には、チェリー自身がホモセクシャルである事を告白するとともに、当時のブラッドとの関係についてもページが割かれているそうです。メディアからは”ブラッドの人気にあやかろうとしている・・・”とも言われているようですが、これに対しチェリーは「ブラッドについては2つの章で触れているわ。それは事実ね。でも必要以上に大きな割合だとは思わない。ブラッドと私が関係を持ってた事は、誰もが知っている事なのだから」と反論。ブラッドはチェリーがレスビアンである事を知らず、その理由も何も告げずにブラッドとの関係を絶ち、彼を傷つけ苦しめた事を、チェリーはとても後悔していたのだと、CMTとのインタビューで語っています。

                    

 ニュー・アルバムと伝記の発売後、チェリーは若いゲイのカントリー・ファンから沢山の激励の手紙を受け取ったそうです。「ゲイのカントリー・ファンって、これまではサン・フランシスコ、NYそしてロスに居るくらいだと言われてきたけど、ベイカーズフィールドにも居るし、アメリカ中に沢山の人達が居るのよ。カントリー・ラジオではこういう話題は取り上げられないけど、知的なファッションとして語り続けられる事を望んでいるわ。みんなが”ヘイ!彼女は私のようよ(She's Like Me)”と言ってくれる事、これが私のミッションなの」

 実はチェリーは、かつて東京でライブをやりたいとの意向を日本に打診して来た事があったそうで、NHK-FMカントリー番組でおなじみの松田武久さんが対応されましたが、最終的に集客の見込みなど条件が折り合わないとの事で実現しなかったようです。

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