ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

レイニー・ウィルソン Lainey Wilson - Bell Bottom Country

2023-02-19 | カントリー(女性)

 

昨年、2022年に、CMAアワードの新人賞だけでなく女性ボーカリスト賞も獲得し、大躍進したレイニー・ウィルソン。そのCMAアワードの直前にリリースされた、メジャー2作目(その前に2枚インディのリリース有り)のアルバムです。前作「Sayin' What I'm Thinkin'」からの"Things a Man Oughta Know"がナンバー1となっていたものの、新人賞はともかくとして女性ボーカリスト賞は早いんでは?とも感じましたが、コール・スウィンデルとデュエットした"Never Say Never "もナンバー1になっていたり、ハーディHardyとの"Wait in the Truck"もヒット。それら全体を通じた業界への貢献が認められたのでしょう。もちろん、シンガーとしてのパワフルな実力は申し分ありません。

 

 

アルバム・タイトルは、かねてから自身の音楽スタイルを標榜するワードとして使っていたものでしたが、満を持してアルバム・タイトルに使ったところにレイニーの自信を感じます。通常リリースに対しデジタルリリースは、オープニングに"Smell Like Smoke"が、ラストに"New Friends"が追加されています。そのミディアムの"Smell Like Smoke"は、60年代後半の、いわゆるサイケデリックの時代のロックのような雰囲気が濃厚(ジェファーソン・エアプレイン?)で、あたかもデジタル・リミックスでもして蘇らせたかのような感じが漂う好ナンバー。シンコペーションするリズムに縦横無尽に対応するレイニーのノリがクールです。

 

 

本来のオープニング・ナンバーで、アルバム・タイトルにつながる"Hillbilly Hippie"は8ビートのアップ・テンポ。゛ヒルビリー・ヒッピー/骨の髄まで/リトル・ミシシッピー/すべてで自由人/平和と愛に包まれながら/ウィスキーを飲みながら/一日中ヒルビリー・ヒッピーよ゛と、前作「Sayin' What I'm Thinkin'」でも表明していた自身のアーティスト・イメージを、さらにキャッチーなワードでたたみかけます。イントロのギターは、"Mama Tried"へのオマージュかしら?と思いました。アルバム前半に、この手のアップテンポやファンキーなナンバーを多めに集めていて、レイニーの勢いを演出しているかのようです。個人的には、"Hold My Halo"あたりの従来から彼女が得意とするメロディアスさお気に入りです。

 

 

後半は、リード・シングルとしてヒット中の"Heart Like a Truck"などの穏やかなナンバーが多くなってきます。前作の記事で紹介したプロフィールの通り、幼少期にはブルーグラスにも親しんだルーツを垣間見せる、アコースティックな"Those Boots [Deddy's Song]"も聴かせてくれて、トラディショナルなサウンドへも気配りをします。リズム・ナンバーでのパワフルさに耳が行きがちなのですが、この人の一番の魅力はやはりそのスイートな声で歌われるバラードであり、セカンド・シングルのミディアムなバラード"Watermelon Moonshine"がその手の聴きモノになるでしょう。゛私は彼のもので、その彼の全ては私のものだった/愛とは何かを知るには若すぎた/私たちは甘い話題で学んでいた/初体験なんてない/私のはいつもこんな味/スイカのムーンシャイン゛と過去を懐かしむ、代表的なカントリーのテーマです。

 

 

アルバムのプロデューサーJay Joyceは、エリック・チャーチザック・ブラウン・バンドミランダ・ランバートをプロデュースしてきた人で、なるほどこれら大物のスタイル ~伝統的なカントリー・スタイルを重んじつつ、かつてのロックのエッセンスを取り込む~ をおおよそ継承するのがレイニーの立ち位置になっている感じがします。今月に入ってからも、あのローリング・ストーンズの「その時代の」名曲"You Can't Always Get What You Want"のカバーをリリースしました。ルックス的にもスター性は申し分ない(ちょっと日本人には派手でしょうか・・・)人であり、歌の実力は高いものを持っている人なので、もっとヒット曲を積み重ねて、カッコイイ女性アーティストとして活躍を続けて欲しいと思います。

 



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