ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Kristy Lee Cook クリスティ・リー・クック Why Wait

2008-09-17 | カントリー(女性)
 つい先日、ローカル・シンガー時代の良作を紹介した、AmIdol(アメリカン・アイドル出身者をこう呼ぶみたい)の待望のメジャー・デビュー・アルバムです。そのコンテスト・ショーに出演する費用を捻出する為、自分の馬を売ってしまったというKristy Lee Cook。アメリカン・アイドルで話題をさらい、めでたくメジャー・デビュー(彼女の紆余曲折のキャリアは、前回の記事をご参考に)したこのアルバム・ジャケでは、満面の笑みを浮かべて馬にまたがっています。絵に描いたような根性のサクセス・ストーリー。よかった!

 このアルバムのサウンドは、現代メインストリーム・カントリーの王道を行くもので、まずは手堅い作り。ソリッドなロッキン&ポップ・ソングが目白押しです。ローカル時代の「Devoted」と比較すると、プロダクション的にはやっぱり別格のメジャー・クォリティを感じます。何といっても、Kristyの声がビックリするほど艶々していて、とても力強く捉えられているのです。サウンドの質感も同様、ナッシュビルらしい華やかで親しみやすいもの。ただ、トラディショナル志向と思しきKristyの意向を反映してか、不必要にラウドな騒々しさは抑えられていてカッチリと引き締まり好ましいです(つまりは、カントリー・ファンの言うところの、”ストレート・カントリー”風)。途中テープの急停止のようなユニークなブレイクが入る"15 Minutes of Shame"から快調で一気に聴かせてくれます。大半がアップ・テンポ曲で占められており、彼女の意気の良いキャラを演出しています。私的には"Homesick"の軽やかなノリがお気に入りです。なお、スムースなアップ・テンポ曲"Not Tonight"には、プロデューサーのBrett Jamesとともにキャリー・アンダーウッドがコンポーザーとしてクレジットされてます。

 

 スローは2曲、ユッタリ余裕の"Like My Mother Does"とダウンホームでタメのある"Baby Believe"。タイプを分けて彼女のエモーショナルな表現力をアピールしています。欲を出せば、"Devoted"タイプのロンサム・ソングも聴きたかったですね。ここらはやっぱりメジャー、彼女にマジョリティが期待するであろう、明るく親しみやすい”隣の女の子”イメージで徹底したってとこでしょう。TVショーを通じてファンが彼女へ期待するイメージは既に出来てるでしょうから、製作にあたってはそこらが反映されるのは当然。それは、ラストにアンセム風の"God Bless the USA"を持って来るくらいの念の入れようです。

 期待の若手女性シンガーとして、キャリーのようなディーバでも、テイラーのようにフォーキーで可憐でもなく、そしてケリー・ピックラーとも違う、待ちに待ったトラディショナル志向の若手キャラの登場。当初は色々と議論されたようですが、アメリカン・アイドル様様です。

 ●このアルバムは、コチラで試聴できます


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