ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Crystal Shawanda(クリスタル・シャワンダ) 「Dawn of a New Day」

2008-09-19 | カントリー(女性)
 一度聴いたら忘れられなくなる、個性的で時にセクシーなしゃがれ声の意気の良い女性シンガー、Crystal Shawandaのメジャー・デビュー・アルバムです。彼女のトピックは、なんと言ってもネイティブ・アメリカンである事。そして、観光ガイドブックにも出てくるナッシュビル一有名なライブ・ハウス、Tootsie's Orchid Lounge(トッツィーズ)で歌っていたことでしょう。アルバム・タイトルは、彼女のオジブワ語のラスト・ネイムShawandaの意味するものだとか。

 

 彼女が生まれ育ったのは、カナダはオンタリオの北米先住民の指定保留地。ナッシュビルとは1000マイル以上離れていましたが、なんと10代のころから、トラック・ドライバーだった父に乗せてもらってナッシュビルまで来ては、Tootsie'sの門戸を叩いていました。クラブのマネージャーはそんな子供には歌わせられないと断りましたが、Crystalは粘り、やっとステージに。結果はスタンディング・オヴェイションでした。13歳の頃です。当時彼女の通える学校では音楽を教えていなかったので、自分の夢を目指して高校時代に先住民保留地を離れます。その後ナッシュビルに移住しTootsie'sにレギュラー出演し始めると、時折はレコード会社の代表に声をかけられる事はありましたが、結局はネイティブ・アメリカンにはチャンスはなかなかくれません。しかしそれでも、ネイティブ・アメリカンとして初めてのカントリー・アーティストの一人になる責任の重さを痛感し、彼女は歌い続けたのです。そして、その強い精神力による活動のおかげで、見事RCAと契約、今回のデビューとなったのでした。

 

 このアルバムのサウンドはロッキッシュなコンテンポラリー・カントリー、オープニングの"Evolution"ではさらに流麗なストリングスがたっぷりフィーチャーされた70年台のフィラデルフィア・ソウル風のチョッとユニークな音を使い、彼女のソウルフルなしわがれ声を引き立てます。この手の声と言えば、パット・ベネターが思い出されますね。彼女の音楽には、保留地での辛い雰囲気の生活~そこでの彼女の生活には悲しみや死が日常茶飯事だったよう~の経験が強く反映されていると、彼女は言います。「それは普通の死じゃなかったわ。自殺、アルコールによる死、交通事故。幼い身には、本当にショッキングだった」しかし、音楽が希望とインスピレイションを彼女に与えたのです。Crystal自身も共作したタイトル曲"Dawn of a New Day"は、希望に満ちた意気のいいボーカルが楽しめる、ロッキン・カントリー。ロッキン系では、ハンク・ウィリアムスのクラシック"Your Cheatin' Heart"のシャッフル・バージョンが、強力な歌声を聴かせてくれていて印象的です。そして、リード・シングルとなったポップ・バラード"You Can Let Go"は大切な人との別れの物語で、特に彼女にとっては数ヶ月前に亡くなったお爺さんを思い起させる曲のようです。「正直言うと、最近この曲を歌うのは少しタフなの。小さい頃お爺さんが、『彼女はいつかナッシュビルに住んで、グランド・オール・オープリーに出演するだろうよ』と言ってくれていたのを思い出すわ」お爺さんは、幸運にも死の直前、Crystalのオープリーでのパフォーマンスを見る事が出来たのです。良かったね。

 ●CrystalのMySpaceサイトはコチラ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿