●2017年のセカンド「All American Made」のレビューはコチラで
カントリーではほとんど見かけない、アーティスティックでファンシーなジャケット・イメージにまず引き付けられる、マーゴ・プライスの2016年デビュー作です。歌詞を掲載したブックレットもカード形式で、薄紫色に印刷された凝った作り。でも、その音楽の根幹は、クラシックなホンキー・トンク・カントリーであり、マーゴ自身の声も、甘さとキレが同居したパワフルな正統派カントリー・ボイスなのです。アルバム・タイトルは、もちろん、カントリー・・レジェンドであるロレッタ・リンの”Coal Miner's Daughter”へのオマージュでしょう。一方、この「Midwest Farmer's Daughter」、そのロレッタの近年作、「Van Lear Rose」を想起させる空気感を持ってるところが個性といえるでしょうか。レコーディングは、こちらもカントリーの殿堂といえる、メンフィスのサン・スタジオ。
このアルバムの個性は、レーベルが、「Van Lear Rose」の仕掛け人、元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが持つThird Man Recordsであることからも納得できます。中西部はイリノイ州Aledoの出身。教会で歌い、大学ではダンスや演劇も学びました。そんな中、2003年に一大決意、学校をドロップ・アウト、ナッシュビルに向かいます。生活の為に不本意な仕事もしながら、音楽キャリアを積んで行き、Buffalo Cloverと言うバンドに所属していた2010~2013年には3枚のアルバムをリリースしました。マーゴは2015年に、このソロ・デビュー作に収録の作品を、サン・スタジオで、自費でレコーディングします。そして、ナッシュビルのローカル・ショーで彼女を見たジャック・ホワイトが、彼女のファンになっているとの噂を聞きつけ、作品をジャックに送ったのです。その音楽は見事ジャックの心を捉え、Third Man Records初のカントリー・アーティストとなりました。今年で33歳になるそう。
ココで聴かれる音楽は、実にクラシカルな楽曲なのですが、その中でも70年代的な匂いを濃厚に感じます。オープニング、辛かった人生を切々と振り返る自叙伝的(事実ではなく創作話だと思いますが)な"Hands of Time"の曲調とか、特にストリングスの雰囲気に、サミ・スミスの名曲"Help Me Make It Through the Night"が思い出されました。そんなレトロなイメージに、マーゴの甘く美しい声が感傷的に絡んで見事です。この曲の後は、アップテンポなホンキー・トンク・パーティが繰り広げられていきます。その中でも主要曲の"Tennessee Song"や"Hurtin’ (On the Bottle)"などは、アーシーなアウトロー・カントリー風で、ひょっとしてマーゴは、アウトロー・スタイルに走ったサミ・スミスに影響受けてるのかな?と想像したりして。。。まあ、つまりその当時風なのです。
本作のサウンドに一貫しているのが、リズム・セクションの強さ。クラシックなスタイルの曲でも低音がドッシリ重く、ウネってるかのようなファンクネスも感じられるのです。ここらが現在において説得力があり、ありきたりなカントリー音楽になっていない最大の要因だと思っています。"Four Years of Chances"あたりはアルバム中異色の8ビートで実にファンキー。なお、ベース・ギターは、Buffalo Clover時代からのパートナーで夫、Jeremy Iveyによるものです。そしてもちろん、そんな強力なバックに負けてない、マーゴの声の強さも特筆すべきでしょう。実にクリーンな美しい声なのに、圧倒的な声量で迫ってきます。彼女のその力強い歌声は、グランド・オール・オープリー出演時のライブでも確認できますよ。
本作は商業的には目立った結果は得られていないようで、いわゆる評論家受けする類の作品になるかと思います。一般ウケするには楽曲がチョッと地味目ですね。しかし、シンガーとしてのマーゴの能力は超メジャー級と言えると思います。なんとこの4月には、あのサタディ・ナイト・ライブにも出演したようですよ。今後の飛躍に期待したいアーティストです。
そこに日本人は恐らく私一人だったと思います。
彼女のとてもパワフルでキレのある曲に
私は直ぐに虜になりました。
しかもMCではrock 'n' roll トークで
とてもカッコよい女性でした。
日本のサイトでは
全く検索してもHItせず
このサイトにたどり着きました。
突然のメッセージすみません。
しかしながら私は
日本でこの話題を共有することができて
ほんとうにうれしいです。
良ければ写真を贈りたいと思います。
コメントいただき有難うございます。
オーストラリアでカントリーのライブを堪能され
たとは羨ましいです。
お写真を提供いただけるとの事で、こちらも
有難いですが、メールアドレスを一時的に
載せるような形が良いでしょうか。
宜しくお願い致します。