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Carrie Underwood キャリー・アンダーウッド- Play On レビュー

2009-11-14 | Carrie Underwoodキャリー・アンダーウッド レビューまとめ
 やはり、ジャケットってのは、アルバムの作風を雄弁に語るもの。

 9月始めにジャケットをご紹介した、今や押しも押されもせぬカントリー・フィールドを代表するスーパー・スター、キャリー・アンダーウッド。アメリカン・アイドルのウィナーとしての初めてのカントリー・スターと言うことで、デビュー当初やCMAアワードで最初の女性シンガー賞を獲得した時には、何かと議論になった彼女。そんなキャリーも、今となっては伝統あるラジオ番組であるグランド・オール・オープリーのレギュラー・メンバーにもなるなど、カントリー・フィールドを牽引する重要な存在となりまりました。そしてそれは、彼女の存在感をガッチリ固めた前作「Carnival Ride」に負うところも大きかったでしょう。サザン・ロック・マナーのダウンホームなロック・ナンバーや、叙情的に歌い上げるスケール大きいバラードらと共に、カントリーでは十八番と言えるテーマを取り上げたり("All-American Girl""Get Out of This Town")、極め付けはランディ・トラビスの名曲"I Told You So"をカバーするなど、 随所に”カントリー・アーティスト”である事をアピールするポイントを散りばめていたのです。対してこの3作目、イメージ的には穏やかで思慮深く、音楽的にはアコースティック基調のサウンドにシフトし、そして何よりかつてないほどプレーンでポップな雰囲気をまとっています。まさにジャケットから感じれらる、ソレです。

 


 未完成バージョンが何者かによってネットにリークされた事がキッカケで、リリースが前倒しになったリード・シングル"Cowboy Casanova"。まずは景気よくハードなギターをフィーチャーしたシャッフル・ナンバーでスタート。しかし、アーシーだった"Last Name"アタリと比べると、ギター・サウンドは爽快で、そのフレーズやギャング・コーラスには、アーバンな雰囲気たっぷり。オープニングでテイストの変化を感じさせて、続く素晴らしい“Quitter”につなげます。この曲のみ、プロデューサーがMark Brightでなく、ブリトニー・スピアーズにも曲を提供しているMax MartinとShellbackが担当。ポップなメロディですが、マンドリンが気持ちいい、小気味良いアップテンポ曲です。コーラス部でドラムがブレイクし、フル・アコースティックに転換するパートが聴きもの。真に人を愛してしまう事に対する恐れや境界をいかにして乗り越えるか、そんな女性心が歌われています。すっかりスーパースターとなった彼女ですが、こんな小市民的なイメージが、ヤッパ本来のキャラなのかな・・・なんて思います。"This Time"も同系サウンドのアップテンポで、弾みきった歌唱を聴かせてくれます

 スロー・バラードの方は、"Change"や"Play On"あたりで、彼女のトレード・マークと言えるスケールの大きい喉を聴かせてくれて、”歌える”事をアピールします。加えて今作では、穏やかで優しみ溢れるスムーズな歌声を楽しませてくれる"Mama’s Song""Someday When I Stop Loving You" "Look At Me"がナイスです。"Mama’s Song"は和みの極地と言うべきアコースティック・バラード。彼の元に嫁ごうとしている主人公が、母に対する感謝の気持ちと、夫となる彼を称えて母を安心させようとする思いが歌われます。そして今、自身の娘を授かり、育てる身となった彼女。その娘も、いずれ彼女と同じ言葉を言ってくれる事を望みながら・・・・ 本アルバムは、7曲でキャリーがソングライティングにクレジットされていますが、その1曲です。"Look At Me"では、かつてランディ・トラビス全盛期のヒット曲を多数書いたトラディショナルなソングライターPaul Overstreetが共作しています。私、メインストリーム・シーンでは久々に彼の名を見た気がします。ランディが引き合わせたのかなぁ・・・・・ヴィンス・ギルがハーモニーを付けています。いずれの曲も、シンプルなアコースティック・アレンジで、メロディの方はキャッチーではなかったりするのですが、その分彼女の歌声がジックリ堪能できるのです。
 
 社会問題をテーマとした作品、いわゆるイシュー・ソングが収録されている事もこのアルバムの注目すべきトピック。先に触れた"Change"では、寒さに凍えているストリートピープルや、TVで飢餓に苦しむ人々への支援を呼びかけるCMを、ただ眺めているだけの人々に行動して世界を変える事を呼びかけます。そして、"Temporary Home"はホームレスの人たちの、たとえ今が辛くてもたくましく生きようとする意志を歌います。今の家は、あくまで”一時の家”なんだ、と。これら作品を取り上げたのは、敬愛する先輩で、イシュー・ソングの女王とも言われるマルティナ・マクブライドの影響なのは間違いないでしょう。マルティナは、ブレイク曲"Independence Day"を始め、"A Broken Wing""Concrete Angel"などなど、数多くの社会問題を取り上げたヒット曲を持っています。そういう領域に足を踏み入れていく余裕と意欲が、キャリーに備わってきたということでしょう。

 


 それにしても、アメリカ本国のレビューを幾つか見てると、ビミョーな評価なのが不思議です。元々クリティックはメインストリーム系を冷めた目で見がちですけれどもね。確かに「Carnival Ride」は、各曲キャッチーで粒ぞろい、押しも強かったのに対し、「Play On」はコルビー・キャレイColbie Caliatのようなサウンドが淡白に映ったのかもしれません。可憐な声の元アメリカン・アイドルがイシュー・ソングを歌うというのが、チョッとスノッブで気に障る、とか。しかし、"Mama’s Song"のテーマは、ど真ん中のカントリー・ソングですし、"Look At Me"も、音の肌触りはプレーンでも、きっちりフィドルが効いたカントリー・バラードです。むしろ我が国の音楽ファンには、この「Play On」の作風は歓迎されるように思います。そう言う私も、結構気に入っておりますよ。



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2 コメント

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Play On (りゅう)
2009-11-16 21:59:36
自分も買いました!
楽曲は勿論、彼女の歌唱センスにも脱帽。
中でも「Look At Me」ピアノとフィドルの音色が美しくて心にじーんときてお気に入りの楽曲です。
「大人になったCarrie Underwood」という印象を受けた作品でした。
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全米チャート1位! (maidenvoyage0218)
2009-11-14 21:26:49
 彼女の新作をさっそくチェックしました。カントリーのアルバムはCDショップで買うとほかのジャンルより高いのですが、Play Onはタワーレコードで1500円で入手できたのでありがたかったです。さすがは?アメアイ優勝者ですね。
 CMAは無冠で終わってしまいましたが、全米アルバムチャートはMichael Jacksonを抑えて1位になったようです。
 かなりポップ路線で攻めてきたので驚きましたが、これはこれでありだとおもいます。
 Taylor Swiftもデビューしたので、そろそろCarrieも日本デビューして欲しいですね。
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