2015年のデビュー・アルバム「Start Here」以来となる、マディ
&タエ待望のセカンド・アルバムが、ようやく今年リリースされ
ました。これほど間が空いたのは、デビューしたDotレーベルが
停止してしまい、ユニバーサルUMGに移籍した間のブランクが影
響したと思われます。
内容的には、およそ1年前にご紹介したEP「One Heart to Another」
の5曲と、続けて昨年秋にリリースしたEP「Everywhere I'm Goin'」
の5曲に、さらに新曲5曲を追加した全15曲となっていて、多くが
既発曲ですが、やはりアルバム単位でのリリースは何より存在感
が有ります。シングル・ヒット中のスロー・バラード”Die From a
Broken Heart”が、カントリー・シングルでトップ20入りしており、
売り上げでも既にゴールド・シングルになるなど、根強い人気が
有るところを見せてくれます。
全体としては、彼女達のこれまでのイメージ通りの安心して聴け
るカントリー・ポップ曲集という感じで、最近はリズム・ループ
でなんとなくせわしないサウンドが多くなっているメインストリ
ーム・カントリーの中では、有難い作風です。オープニングの
”Everywhere I'm Goin'”は、スティール・ギターのフレーズも聴け
て豊かな曲想のコーラスが印象的な佳曲でお気に入りになってま
す。とにかく、彼女たちの個性である柔らかいハーモニーを上手
く聴かせるスロー系に力点が置かれた作品集と言えますね。
という訳で、昨年、EP「One Heart to Another」で感じた心配も
同様に感じます。つまり、彼女達に好感をもってる私のような
人間がゆったり楽しむには十分なんですが、はたしてこれで業界
内でアピールするかしら?という印象が残るのです。そもそも、
ジャケット写真も、その1年前のEPのと同じフォト・セッションで
撮られただろうショットを使ってるようで、待望のアルバムなの
にあまり手を掛けられてない印象がありありです。新たに追加さ
れた新曲は、かつてのモータウン風な”My Man”や、”Write a Book”
あたりで新たにグルーヴィーなテイストが加えられており、音楽
性を広げる方向性は見て取れるのですが、既発表曲との寄せ集め
アルバムですので、新鮮さは限定的になりますね。
それでも、EP「One Heart to Another」に納められていた”Die From
a Broken Heart”がなかなかの中ヒットになってるので、余計な心配
であればよいのですが。意図しないレーベル移籍という不運な中で
も、CMAアワードのボーカルディオ部門では2015年からノミネート
され続けていて、業界として不可欠な存在と認識されているのでし
ょう。ほとんどで二人がソングライティングに加わっているスロー
曲はいずれも十分なクオリティを持ちますので、引き続き堅実にヒ
ットを重ねて欲しいと思います。
(追記)
その後、"Die From a Broken Heart”はじわじわとチャートを登り続け
8/17付けのカントリー・エアプレイ・チャートで1位に上りつめま
した! “Girl in a Country Song”に続き2度目。今後も楽しみです。
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