昨夏「西遊記」を観に行けなくて、その時描いてた、
伊藤淳史クンの似顔絵流用で、申し訳ない。
・・と思ってたんですが、「陰日向に咲く」を観てて、この似顔絵が
「不思議な意味」を持った事に驚きました。
映画を鑑賞された方はわかると思うんですが、
気付けば、新旧の「西遊記」ですよね(笑)
お話は大きく分けると、こんな感じでしょうか。
◆ギャンブルから抜けだせない、借金まみれの観光バス運転手・
シンヤ(岡田准一)が、借金返済の為に、オレオレ詐欺に手を出す。
しかし偶然電話に出た老婆と、不思議な交流をしてしまうお話。
◆「モーゼ」と呼ばれるホームレス(西田敏行)と、
ホームレスになるうとするサラリーマン、リョウタロウ(三浦友和)のお話。
◆雷太(伊藤淳史)という芸人を愛した母親の為、
雷太の行方を捜す娘・寿子 (宮崎あおい)のお話、
それと、ストリッパー・ジュピター(緒川たまき)のお話。
◆アキバのがけっぷちアイドル・みゃーこ ( 平山あや)と、
みゃーこを支える、オタク・ゆうすけ (塚本高史)のお話。
原作は未読なんですが、おそらく原作ではそれぞれが短編になってて、
気付けば、それぞれの登場人物が関わりを持ってた、
そんな構成になってるんじゃないでしょうか。
映画では、オムニバスではなく、同時進行でお話が進んでいきます。
この映画の最大の特徴は、登場人物の不思議な「関わり方」、
「縁」です。
ただそれは「諸刃の剣」で、作者に都合よく「関わり方」のパズルを
完成させただけと、思う方もいらっしゃるでしょう。
それと、みゃーことゆうすけのお話は、メインであるお話と
ほとんど関わりがないんですよね。
で、個人的には、その「みゃーことゆうすけのお話」で、
一番ウルッときてしまったのが、皮肉なところです(笑)
最も単純で、わかりやすい展開だったからですかね。
設定、小道具、伏線などもよく練られていて、
よく出来た映画だなぁとは思いますし、個人的には
ドラマ「SP(エスピー)」最終回の余韻で、
気分が「岡田准一色(いろ)」だったので、充分楽しむ事が出来ました(笑)
あとは、どこまでその登場人物の「関わり方」「縁」が
許せるか、必然的なものを感じるか、でしょうか。
映画の途中で、「あ、この人が、あの人のアレね。」と予想もつきます。
それから「え、まさか、この人が、あの人のアレ?」と
「おいおい、それはちょっと・・」という気分にもなります(笑)
ジュピター(緒川たまき)とシンヤ(岡田准一)の「出会い」が
好みの分かれるところでしょうか。
あれは、モーゼが公衆電話で電話した後、シンヤがリダイヤルで
電話してしまったって事ですよね。
モーゼとシンヤが、同じ時間帯に同じ公衆電話を使う確率、
そしてシンヤがリダイヤルを使う確率(そこには必然があったけど)を
考えれば、「出会い」の可能性は凄い事になりますよね(笑)
そしてジュピターの部屋に居るシンヤに、
「なんで、あなたがここに?」と、何のツッコミも入れなかった、
寿子 (宮崎あおい)は、「ご愛嬌」なんでしょうか。
ただ「事実は小説よりも奇なり」と申しまして、最後に
僕の数奇な「出会い」のお話をひとつ。
1999年僕は、経験した事のない人生のどん底にいました。
寂しくて仕方なく、気力を振り絞ってインターネットを始め、
似顔絵ホームページを開設しました。
同時にメル友掲示板で、メル友を求めました。
1人のメル友が出来、メールの交換をしていました。
そのメル友には「大の親友」がいて、その親友の話も
メールで聞いていました。
でホームページを始めて、1ヶ月くらいですかね、
僕のホームページを見て、似顔絵を気に入ってくれた人から
1通のメールが届いたんです。
名前・出身地で「おや?」と思う事がありました。
最初に出来たメル友の「大の親友」と、妙に符合するんです。
予感は的中していました。
偶然にも、最初に出来たメル友の「大の親友」が、検索で
僕のホームページにたどり着き、メールをくれたのでした。
僕は、その二人のお陰で、再び似顔絵を描くようになりました。
その二人はイラストレーターだったんです。
僕は似顔絵だけに留まらず、イラスト、キャラクターも
描いていきました。
似顔絵、キャラクターの、仕事が頂けるようにもなりました。
映画を観ながら、僕の「出会い」も、凄いものだよなと思ってましたよ。
あ、そうそうそのメル友二人の愛犬・ボビーをキャラクター化したものが
僕の描いてる「ボブ吉」です。
※原作者の劇団ひとりさん、そして伊藤淳史さんのGIFアニメも
ご覧ください。