●「華麗なる一族」第3話
「僕たちが、高い技術力の製品を大量に世に送りだせば、帝国製鉄も
今の現状にあぐらをかかずに、技術革新に取り組むはずなんです。」
「しかし帝国製鉄が巨大資金を使って、真剣に技術革新に取り組めば
阪神特殊製鋼が潰される日が来るかもしれませんよ。」
「彼らに負けない、技術を生み出す自信はあります。
もしそれで負けたとしたら・・それは仕方のない事です。」
「技術で負けたなら、会社は潰れてもいい・・そういう事ですか?」
「はい。」
「へっ・・はっはっはっは・・」
鳥のさえずりが聴こえる。その穏やかな午後が一転・・
可愛いイノシシのトコトコ突進が、全て持って行ってしまいましたが、
ここは、今後の2人を暗示する、重要なシーンなんだろうと思います。
融資してくれる側(正確にはこの時点では、諦めてるんでしょうが)を前にして、
「会社が潰れてもいい。」とまで言ってしまう鉄平(木村拓哉)、
「背中を押してもらいたくて・・」などと言ってる、三雲頭取(柳葉敏郎)。
僕が言うのも何ですが、2人とも、青いんだと思います。
ここからは深読みなんですが、第1話の冒頭シーン。
昭和43年13月31日。兵庫県丹波篠山。
銃を持った鉄平が、イノシシの姿を見て呆然としてたじゃないですか。
あの時は、意味がわからなかったんですが、第3話のこの日の事を
思い出してたんじゃないでしょうか。
「あの日から、運命が狂い始めたんだ。」と。
第2話のラストシーンでは、
「その日、父が下した非常な決定は、僕と万俵家の人々の運命を
大きく狂わせた。」とありました。
大介の、融資比率10%減額という決定の真意は、僕にはよくわかりません。
金融再編を睨んでの事、あるいは鉄平へ憎しみにも似た特別な感情。
でも本当は「鉄平は、やれば出来る子。」と、
わざと追い込んだのかもしれませんし(笑)
大介(北大路欣也)自身も、ここら辺りから自分の策に溺れ始めたんでしょうか。
どうしても将軍やイノシシに目を奪われがちなんですが(笑)、
考え始めたらキリがない、深いドラマなんだなと感じた3話です。
●「拝啓、父上様」第3話
後半に向けての展開はわかりませんが、ここまでは面白いです、このドラマ。
視聴率が芳しくないのも知ってますが、この冬ドラで、キャスト、物語の展開の
バランスが、一番いいような気がしています。
◎一平の母・田原雪乃(高島礼子)
元人気芸者。未婚で、現在は「ゆきの」というバーのママ。
2話だったか、息子・一平とのシーンが、「おいおい、これ息子とのシーンかよ。」と
言うくらい、めちゃくちゃ艶っぽかった。
◎板前・田原一平(二宮和也)
父親が誰なのか、母親.雪乃にも教えてもらえない。
父親かな?と目星をつけてる人が、3人くらいいるんですが、
その推理がコミカルで面白い。
◎料亭「坂下」の大女将・坂下夢子(八千草薫)
元芸者で、大物政治家・熊沢清次の二号さん。
熊沢清次の奥さん(森光子)との初体面を前にしたシーンなど、
的外れのようなあわてっぷりが、ものすごく可愛いんです(笑)
その反面、少年院帰りの時夫を、殴り込み(?)に慣れてるかのように言い、
したたかさも垣間見せたり。
◎二番板前・坂下保(高橋克実)
バラエティとは全く違う、男前っぷり。
◎板前修行中・中川時夫(横山裕)
近くに実際にいたら、鬱陶しい事、この上ないと思うけど(笑)
憎めない可愛い存在。時夫のシーンは、このドラマの楽しみの一つ。
◎ナゾの少女(黒木メイサ)
1話の、坂道にたくさんの林檎を落したシーンは、映像が凄く綺麗で、
名シーンだったと思います。
一平が思いを寄せる少女なんですが、フランス語を話すという、正体不明な存在。
この他にも、テレビ映像や雑誌取材のカメラに映り込むのが趣味という、
喫茶店のマスターなんかもいたり、どのキャラクターも妙に可愛く、
気になる存在なんですよね。
料亭「坂下」のリニューアル問題を中心に、それぞれのキャラクターの思惑が
絡まっていく、面白い展開になっています。