当方自分よりギターの上手い人は無条件に尊敬するものであり、特にエレキギターを弾きながら歌えて、その両方とも上手い人は神と崇めるものであります。そういう意味では神の一人である田端義夫さんが先日亡くなりましたが、今日NHKで特集番組がありました。スタジオには田端さんが長年愛用していたギターが展示されドアップでその細部が見られました。
田端さんのギターについてはこちらの「オース! バタヤンのギター」というブログが詳しいのですが、今日見た詳細はほとんどここの記事のままでした。何よりも普段は胸の上までギターを高い位置に抱えてフィンガーピッキングをしているので、リアピックアップからブリッジ、テールピースなどほとんど見えません。
本日確認したところ表面は傷だらけの穴だらけ。フロントピックアップを外してしまったのでそれを取り付けていたネジ穴があるのはわかるのですが、それ以外にも小さい穴が多かったように思います。なんか取り付けたり外したりしたのでしょうか? ボディー表面の塗装はかなり剥げていたのですがネックの方は割と綺麗というか滑らかな感じがしました。あの人は間奏弾くときなんかにはかなりハイポジションも弾くのでその辺手入れはしてたのかも。
ギター本体は前述のブログにあるとおりフロントピックアップは外されており、コントロールも1V1Tになっているようです。さらにテールピースはブランコじゃなくてストップテールピースに改造されてました。そのテールピースは結構表面がくすんでた感じなのですが、ブリッジは新品のようにピカピカだったのが印象的。元々は木製の駒の上に木製のブリッジが乗ってると思うのですが、今は土台はそのままでチューン"O"マチックが乗ってました。が、サドルは白だったので金属ではないような。象牙とか牛骨のサドルってあるんでしょうか???
今回放映された映像の一番古い物は1963年で、なんと紅白歌合戦初出場のときのもの。その時はほとんど改造されていなかったようで、上記のブログにあるように2ピックアップでボリュームとトーンのコントロールが白く、フロントピックアップ近くにあるセレクターもロータリー式のがありました。
次に古い映像は一気に飛んで1976年だったのですが、その時はほとんど現在の状況と同じ。さらに1990年代後期の映像になると、シールドがギターから上着のポケットに入ってるのが確認できたので、ワイヤレスシステムも導入してたようです。ギター本体はそのままですが、新しいシステム導入するのは積極的だったようですね。
入手したのが1954年だそうですが、最終的にピックアップは黒かったので交換したのかカバーを外しただけなのか。リアピックアップのポールピースがネック側にあったのはオリジナルと同様なのでカバーを外しただけではないかと思うのですが…。
弾きながら歌っているときは結構こまめにボリュームを触っているので、その辺のこだわりはあるようですね。あの人はイントロとか間奏のメロディーは自分で弾いてるのでアコギじゃなくエレキギターを弾いてるのはそういう理由があるのでしょう。
今日の番組では千昌夫氏のインタビューもあって「自分で工具を持ってあっちこち改造してました。調子の悪いときは本番前に自分でいじってて『出番に間に合うんですか?』と心配したり。」だったそうです。もしかすると同じギターをもう一本持ってたりしたのかと思ったのですが、そういうのは無さそうですね。
2000年くらいのご本人のインタビューもあったのですが、このギターを抱えて「こういう素晴らしい出会いがあったので、あと何年これを抱いて歌えるか。まぁ20年や30年はやらないと。」なんて話してましたが、凄いダンディズムですよね。実際に演奏のスタイルとしては完成されてましたし、歌手とギターが一体化している感じでかっこいいです。これまでも楽しませて貰いましたが今日はいいものを見せてもらいました。合掌。