真夜中の2分前

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安倍総理はスタッフも多いからガソリン代も多くて当然?

2016-04-10 17:41:27 | 安倍政権・自民党議員の問題行動
 先日、安倍総理側のガソリン代支出にも不透明な部分があり、その額は山尾氏の側よりも多い……という報道を紹介する記事を書いたところ、コメントが寄せられたので、それに対する回答を書いておきたい。
 コメントは、以下のとおり。

《スタッフが多けりゃガソリン代も多くなるだろうからと、人件費で割り算をしてみると、 
山尾さんのガソリン代は、安倍総理の7倍くらいになるそうですよ。》 

 これはたぶんスタッフの人数で割ったら、ということをいっているのだと思うが、そういう計算をする理由がまったく理解できない。
 この件では、「ガソリン代という名目で政治資金が不適切に使用されていたのではないか」ということが問題なのであって、ガソリンの使用量の多寡を問題にしているわけではない。問題は、政治資金が適切に管理されていたかどうかであり、その観点からすれば、スタッフ一人当たりに換算していくらかなどということを計算することにはなんの意味もない。安倍総理が代表をつとめる自民党の山口県第4選挙区支部に関しては、一日あたりの給油量があまりに大きすぎて不自然だというような指摘がなされていて、仮にそれがなんらかの不適切な会計処理(たとえば裏金作り)などにつながっているのだとしたら、問題なのはその総額であって一人頭の額を計算するような話ではそもそもない。それに、山尾氏の問題は――本人の説明が正しいとすれば――たった一人の秘書が行った不正である。関与した人間が一人しかいないのであれば、スタッフの人数で割って一人当たりの額を計算するというのはまったくナンセンスだ。
 さらに、『日刊ゲンダイ』デジタルの記事によれば、山尾氏の側が巨額のガソリン代を計上しているのが2012年ごろの一年ほどにかぎられる話であるのに対して、安倍総理側は11年から14年までの収支報告書で毎年同じぐらいの額が計上されており、それらを合計すると、地球換算でいえば50周ぶんを超える。しかも、「山口県第4選挙区支部」という地域的にきわめて限定されたところでこの額なのだ。どちらがより問題にされるべきかは自明だろう。
 また、『日刊ゲンダイ』の記事では「スタッフが多けりゃガソリン代も多くなるだろうから」という点にもちゃんと答えている。収支報告書を精査したところ、自動車保険の代金が10万円ぐらい計上されているという数字があって、その金額からすると自動車の台数もそれほど多いとは考えられず、あきらかにガソリン代が巨額すぎるという話だ。もっといえば、件の記事では自民党のほかの閣僚らにも同様の不審なガソリン代が計上されていることを取り上げている。どこからどう見ても、自民党のほうが問題があるのだ。
 
 そして、仮にこの件について山尾氏のほうが問題だと認めるとしても、全体としてみればやはり“政治とカネ”をめぐる問題は自民党の側に噴出している。
 以前の記事では今年に入ってから発覚した問題だけを取り上げたが、もっと前にさかのぼれば、高木復興大臣の香典疑惑や下村元文科相が暴力団関係者からカネを受け取っていた件、武藤貴也氏の詐欺疑惑など、自民党のカネをめぐるスキャンダルは続発している。

 そして、目下“政治とカネ”で大きくクローズアップされているのは、いうまでもなく甘利問題である。
 東京地検特捜部が関係先を捜索した。ときを同じくして、市民団体が新たに甘利氏を告発するという動きもあった。これは、実際に権力を行使しうる立場にいる人間がカネを受けとって口利きをしていたという疑惑である。それに比べれば、野党議員の秘書がガソリン代名目で私腹を肥やしていたことなど取るに足りない話だ。

地球6週ぶんと地球13週ぶんはどちらがより問題か? ガソリン代問題について

2016-04-07 18:27:15 | 安倍政権・自民党議員の問題行動
 自民党議員に、新たな金銭疑惑が浮上した。 
 公益認定を取り消された法人が、西村康稔衆院議員のパーティー券を購入していたというのだ。問題の「日本ライフ協会」は、高齢者らから葬儀代などとして集めた多額の預託金を流用したとして公益認定を取り消された団体だが、この協会が昨年6月、西村議員のパーティー券を購入していたという。これは内閣府が流用問題について調査しているさなかのことで、この調査について西村氏の秘書は、内閣府に事実確認したという。疑うなというほうが無理なシチュエーションだが、西村氏側は「圧力などはなかった」としつつも、代金は返却するそうだ。

 ついでに、ここでもう一つ、これまで書き損ねていた件をここに書いておく。
 それは、松島みどり元法相にまつわる金銭問題だ。
 昨年11月に朝日新聞電子版が報じたところによると、2012年と14年の選挙期間中に、松島氏は国の事業を随意契約で受注している企業から計120万円の寄付を受けていたという。朝日の取材を受けた松島氏は、「国と随意契約している企業とは知らなかった。寄付は返金した」と説明したとのことで、西村氏やほかの同種の例とまったく同じパターンである。
 うちわ問題で辞任し、最近では国会の審議中に携帯、読書、居眠りで問題になった松島氏だが、こういう金銭疑惑もあったのだ。
 以前当ブログでは安倍政権の金銭スキャンダルをまとめ的にとりあげ、その後そこに書き損ねていた一件があったという記事も書いたが、それでもまだ書き尽くせてはいなかった。これはつまり、すべて網羅するのが難しいぐらい自民党では金銭問題が噴出しているということなのだ。

 いっぽう、民進党の山尾政調会長にもガソリン代問題がもちあがっている。
 数百万円という金額がガソリン代として計上され、地球6週ぶんだというのである。
 しかし、昨日の記者会見でもあったとおり、この件に関しては、むしろ山尾氏は被害者である。ガソリン代に関していえば、自民党の側にも似たような、そしてより大きな問題がある。
 なぜだかテレビではほとんど話題になっていないようだが、一部メディアでは、安倍総理の事務所のほうがはるかに多額のガソリン代を計上していることをとりあげている。それらの報道によれば、安倍総理側のガソリン代は距離に換算すると「地球13週ぶん」だそうで、「6週ぶん」とされる山尾氏の倍以上になっている。しかも、山尾氏の場合は問題の秘書が在籍していた数ヶ月にかぎられているが、安倍総理側は毎年巨額のガソリン代を計上しているというのだ。

 ことの軽重をとりちがえてはいけない。
 民進党議員にもこのところぽつぽつ金銭疑惑の話が出てきていたりするが、どう考えても自民党のほうが問題が大きく、しかも多岐にわたっている。
 今年問題になった例だけでいっても、甘利前経済再生担当大臣や松村参院議員など、彼らの疑惑で出てくる金額は1000万円単位なのである。安倍政権のもとで公共事業が拡大し“利権政治”の復活がいわれているが、相次ぐ金銭スキャンダルはこの動きとつながっている部分もあるだろう。景気刺激のために財政出動といいながら、それが実際には政府与党関係者に近い企業などに流れているだけなのではないか。そして、それが選挙対策として利用されているのではないか。そういう疑念がぬぐえない。最近安倍総理は予算執行の前倒しを打ち出し、10兆円規模の新たな財政出動などという話もあるが、こういう動きが選挙前に出てくるのはただの偶然なのだろうか。もしそうして出てくるお金が一部の企業にしかまわらないとしたら、景気刺激効果があがらないのも当然である。最近アベノミクス失速がはっきりと目に見えるようになってきているが、その背景にはひょっとしたらそういうこともあるのかもしれない。

安倍政権は違憲内閣

2016-03-21 22:12:20 | 安倍政権・自民党議員の問題行動
 先ほど、安倍政権の閣僚は幼稚園児レベルという記事を投稿した。
 そこではいくらかコケにするような調子で書いたが、しかし、そう笑っていられるような状況でもない。
 先の記事では政策の中身以前の問題をメインに取り上げたが、政策の中身もまた問題があるから困るのだ。安倍政権のわがままは、憲法をないがしろにするレベルにまでいたっていて、このことは日本の社会に深刻な危機をもたらしつつある。というわけで、この記事では、安倍政権がいかに憲法を蹂躙しているかということについて書く。

 先の記事でも少し触れたが、馳文部科学大臣が国歌斉唱について「恥ずかしい」と発言したことに対して、憲法学者らが「違憲」だという声明を出した。
 発端は、岐阜大学が卒業式などで国家斉唱をしないという方針を打ち出したことで、これに対して馳文科相は、「恥ずかしい」などと批判していた。この発言に対して、憲法学者96人が「国歌斉唱をするかどうか決定する権限は各国立大にある」として今回の声明を出した。馳発言が、学問の自由を保障する憲法23条の趣旨に反するという批判である。先日、高市総務大臣の電波停止発言に対して学者たちが違憲と批判する声明を出したが、それに続いてまたしても安倍政権の閣僚が違憲と断罪されたかたちだ。

 もっと前にさかのぼれば、安倍政権が違憲との批判を受けたことは、これだけにとどまらない。
 安保法は圧倒的大多数の憲法学者に意見と指摘され、昨年は臨時国会を開かなかったことが憲法違反と指摘された。そして、今年に入ってからもまた。こうして次々に違憲を指摘されているのである。
 かつて、ここまで幾度も憲法学者らから違憲と批判された政権があっただろうか。
 それに、思えば、そもそもの選挙からして、衆参両院で定数配分が違憲状態だと指摘されているという事実もある。そういう意味では、内閣がその信任のもとに成立し連帯責任を負うとされている国会自体が違憲状態なのであって、最高裁の指摘にも根本的な措置をとらないままその状態を放置している安倍政権は、存在そのものが憲法に違反する“違憲内閣”とでも呼ぶべき状態である。

 ここまでくると、もうこれは故意にやっているのじゃないかと思えてくる。

 あえて憲法を無視しまくって、憲法違反を日常茶飯事にしてしまう。そうすれば、新たに憲法に違反しても「またか」という感じで誰もなにもいわなくなる。改憲は難しそうだから、憲法を無視しても大丈夫な状況を作ろう――そう彼らは考えているのじゃないか。彼らの憲法蹂躙っぷりをみていると、なかば本気でそんなことを思ってしまうのだ。

 まあ、それはさすがにうがった見方というものだろうから、ここではじめの話に戻る。
 高市発言は「報道の自由」、馳発言は「学問の自由」への侵害と批判されているわけだが、この両方で指摘されているのは「戦前の経験」である。言論の自由や学問の自由が抑圧された社会が無謀で無責任な戦争につながっていったという過去があるから、日本国憲法ではそういう自由が保障されているわけである。それを無視する大臣らの発言は、つまりは安倍政権がこの国を“戦前レジーム”に戻そうとしていることのあらわれである。そして、その“戦前レジーム”はばかげた戦争につながるものにちがいないのだ。

高市発言の違憲性はあきらか

2016-03-06 16:21:51 | 安倍政権・自民党議員の問題行動
 3月2日「立憲デモクラシーの会」に属する憲法学者たちが、高市総務大臣が「停波」の可能性に言及したことを「憲法違反」と断ずる見解を発表した。
 いわく――「放送事業者のよって立つべき憲法自体が攻撃されているとき、放送事業者に対しても、憲法の敵と味方を単純・機械的に対等に扱うよう法的に強制すること、憲法の基本原理への攻撃をも、それを擁護する主張と対等・公平に扱うよう強制すべきだとの主張は、憲法の基本原理自体と齟齬を来す」。
 実にもっともである。“公平性”とは、普遍的価値を攻撃するような言説――たとえば人種差別や宗教差別を正当化するような言説も公平に扱われるべきだということを意味してはいないだろう。同様に、立憲主義や民主主義という国家の基盤を破壊するような言説は、公平中立の枠を超えて、批判されてしかるべきである。

 また、この学者らの声明に先立って、3月1日には、田原総一朗、岸井成格、鳥越俊太郎といった名だたるキャスターたちが「私たちは怒っている」とする声明を出してもいる。
 こちらは、「そもそも公共放送にあずかる放送局の電波は、国民のものであって、所管する官庁のものではない」と、高市氏の認識を痛烈に批判している。これも、まさにそのとおりである。“テレビの公平性”を云々する人たちは電波の希少性をしばしばその根拠として持ち出すが、電波が希少性の高い公共財であることを認めるとしても、その公共財は「公共」、すなわち国民の財産なのであって、総務省という役所の所有物ではない。

 高市発言に関しては、さらに上述の動きとは別に、民放労連が公開質問状を送るなどして抗議してもいる。高市氏のずさんな認識は、このように徹底的に批判されているのだ。

 これだけの批判を受けてもなお安倍政権のほうが正しいと言い張る人たちには、私もあれこれいうつもりはない。
 だが、合理的な思考能力をもっている人には、声を大にして呼びかけたい。いまこの国は、異常な状況にあるということを。

 安倍政権・自民党がメディアに対して露骨に抑圧的な態度を示したのは、なにもこの高市発言にはじまったことではない。
 たとえば去年、テレ朝とNHKの幹部を自民党に呼び出したということがあったし、海外特派員協会が声明を出したりということもあった。これらの件についてはまたいずれ当ブログでまとめ的な記事を書こうと思っているが、そのなかでも何より思い出しておかなければならないのは、「マスコミを懲らしめる」という発言が飛び出したあの文化芸術懇話会である。あの勉強会では、「経団連に働きかけて広告収入をとめよう」などという話が出て、なかには、すでに地方で実際にそういうことをしたという発言さえ出てきた。ああいう人たちの所属する政党の大臣が停波をちらつかせているということの恐怖をわれわれは感じ取らなければならないのだ。

 目をそらそうとしたり、「大したことじゃない」と自分に言い聞かせたりするのはやめよう。この危機を直視し、選挙で投票するというほんのわずかな行動を実行に移しさえすれば、まだ状況は変えられるのだ。野党共闘にむけた動きはかなり具体化してきていて、全国にそれを支援する市民団体が次々に立ち上がり、今夏の参院選で安倍政権の暴走をストップさせられる見込みはじゅうぶんに立ってきている。実際のところ、ほんの一、二ヶ月前にはかなり絶望的な状況でもあったのだが、ここへきて急速に情勢は好転してきた。「どうせ選挙にいったって意味がない」などとあきらめる必要はないのだ。
 いまならまだ、「選挙の日に投票所に行く」という何の危険も伴わない方法で状況を変えることができる。だが、安倍政権がこのまま継続していけば、それすら危うくなる可能性はじゅうぶんにある。政府に都合の悪いような報道は規制し、ことによっては、緊急事態条項なるものをていよく利用して選挙だって制限してしまうかもしれない。そうなってしまってからでは、もう手遅れだ。声をあげることも、選挙で意思表示することもできなくなってしまう。
 この国はいま、そんなふうになってしまうかどうかの分岐点に立っている。現状が異常事態だということを認識して、有権者が適切な行動をとってくれることを切に望む。

またしても自民党議員に金銭スキャンダル

2016-03-02 21:06:27 | 安倍政権・自民党議員の問題行動
 またしても、自民党議員に金銭問題がもちあがった。
 北海道選出の前田一男衆院議員の政治団体「前翔会」が、政治活動費から公演チケット代や百貨店の商品券代などを支出していたという問題が報じられている。「前翔会」は、「不適切な処理だった」として報告書を訂正し、支出を削除したという。
 当ブログでは、少し前に安倍政権・自民党の金銭スキャンダルを網羅的に紹介した(「安倍政権、悪行の軌跡:金権体質」参照)が、この体質は相変わらずということだろう。
 ところで、その金銭スキャンダル一覧だが、近ごろ去年の新聞記事などを読み返していて一つ書き損ねていたものを見つけたので、ついでにここで書いておきたい。

 問題となったのは森山農水大臣の選挙区支部である。
 この人は鹿児島選出の自民党議員だが、談合がバレて県から指名停止措置を受けていた建設会社10社から、3年にわたって計700万円ほどの寄付を受けていたというのだ。去年の10月ごろこの問題が発覚して、森山氏は倫理的に問題があることを認めて、全額返金したそうだ。
 この一、二年ほどの間に発覚した自民党議員の金銭スキャンダルの数々からすれば、この程度のことは取るに足りないものと見えてしまうかもしれないが、そのあたりの感覚がマヒさせられてしまってはいけない。このような利権政治が安倍自民党の本質であることを、有権者はしっかりと胸に刻んで、選挙で落とし前をつけさせる責任がある。

 また、自民党の金銭スキャンダルのなかでも特に注目を集めた甘利問題だが、この疑獄に関しても追跡報道が続いている。それらによると、はじめはゼロだった補償費が秘書との接触後に増額されていったという証言が出てくるなど、いよいよ甘利氏側が本格的にこの件に関与していた疑いが濃厚になってきている。この件も、今後しっかりその推移を注視していく必要があるだろう。