真夜中の2分前

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まさかのトランプ大統領……悪夢のはじまり、アメリカの終わり

2016-11-09 20:40:37 | 海外
 アメリカ大統領選挙で、トランプ候補勝利というまさかの結果が出た。

 直前までは、クリントン優勢とも伝えられていたが、ふたを開けてみればトランプ候補の勝利という結果になってしまった。

 既成政治への嫌悪感、根深い女性軽視、メール問題でFBIが選挙直前に動いたこと……など、クリントン敗北の理由はいろいろ考えられるだろう。しかし、つまるところは、アメリカの社会が壊れていっているということなのではないか。

 ヒラリー・クリントンは「嫌われ度」が高いとよくいわれるが、いくらヒラリーが嫌いだからといっても、トランプ氏よりは100倍マシである。
 そもそも彼のような人物は、共和党内の候補者レースの初期段階でふるい落とされてしかるべきだ。にもかかわらず、そこの多くの人が票を投じて大統領にしてしまう。これは、アメリカ社会がどうかしてしまっているからとしか思えない。
 アメリカ国民が間抜けなピエロを大統領に選んだツケを4年かかって払い続けるのは勝手にすればいい話だが、しかし残念ながら、ことはそれだけにおさまらない。アメリカの政治が混迷すれば、それはいやおうなしにほかの国にも及ぶのだ。トランプ優勢というだけで株価は大幅下落し円高が進むという事態に日本は見舞われているが、これはまだ序章にすぎない。本当の悪夢は来年の1月からはじまり、4年間も続くのだ(その前にトランプ大統領がスキャンダルで辞任したりする可能性もあるが)。

 いまさらではあるが、バーニー・サンダースが民主党の候補になっていれば……と思わずにいられない。
 もしサンダース対トランプという構図になっていたら、こんな接戦にもならず、サンダース圧勝という結果に終わったはずだ。メール問題でFBIが再捜査を言い出したときにでも、ヒラリー・クリントンが自ら身を引いて次点のサンダースに候補を差し替えていたなら……そんなことを、どうしても考えてしまう。

 もちろん、サンダースが民主党の候補になるというのはきわめて難しい話である。
 そもそも民主党の党員集会の投票結果がどうであれ、サンダースが候補に指名される可能性ははじめからゼロだったという識者もいる。ワシントンの政治の世界では、民主社会主義者を自任するサンダースが大統領候補になることは考えられないというのだ。
 そういう意味では、今回の大統領選はアメリカ政治そのものの敗北といえるのではないか。
 サンダースなら勝てるのに、そのサンダースはワシントンの政治力学ではじき出され、大統領選の土俵に立てない。だから、ワシントンの政治力学そのものを破壊したトランプが勝ってしまう――これは、一部の富裕層やロビイストに牛耳られたアメリカ既成政治そのものの破綻ということにほかならない。

 トランプ大統領の任期中に、アメリカは凋落していく可能性が高い。
 4年後には、もう「超大国」とは呼べない状態にまでなっているのではないかと私は推測する。今回の大統領選は、悪夢のはじまりであると同時に、“超大国アメリカ”の終わりでもあるのかもしれない。


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2 コメント

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Unknown (富裕層による支配)
2016-11-10 07:08:18
私も同じことを思っていました。

バーニー・サンダースがアメリカ国民の熱狂的な支持を得ながら、常にクリントンに2倍以上の差をつけてトランプに圧勝する調査が出ていたのにもかかわらず、民主党は頑なに現実(バーニー)を拒み、庶民と一線を引く形でエスタブリッシュ側から物事を考え、バーニーを蹴落とす愚かな工作をしてまでヒラリー支持に回りました。

もし民主党からバーニーが大統領候補に選ばれていたら、100%バーニー・サンダースが勝ったと確信しています。
民主党員も議会で力を持つことが出来ました。ヒラリーを選んだ結果、民主党の既得権益層は自らの首を絞めた結果となり、ヒラリー支持者がどれほど国民の苦しみを無視する存在であるか顕著となりました。

トランプとバーニーを同一視しながら日本ではトランプをヒーロー扱いしていますが、トランプこそが1%の富裕層であり租税回避によって肥えてきたレーガノミクスの賜物であり、また政策を押し通していくのはマイク・ペンスを筆頭とするコーク兄弟の手垢にまみれた新自由主義者たちだということに気づいているのでしょうか。富裕層の富裕層による富裕層の為の政治がまた始まります。

うんざりです。
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コメントありがとうございます (真夜中の2分前)
2016-11-17 18:15:27
 コメントありがとうございます。

 民主党の既得権益層は自らの首を絞めた……まさに、そのとおりだと思います。
 とはいえ、総得票数ではじつはヒラリー・クリントンのほうが勝っているということもあり、そういう意味では、選挙制度に足をすくわれたという部分もあるでしょう。総得票数で勝っているにかかわらず選挙そのものでは負ける――これは、16年前アル・ゴアがブッシュJrに敗れた大統領選の再来であり、また共和党政権のもとでろくでもないことが次々に起きる予兆かと暗澹な気持ちにさせられます。

 トランプ氏への熱狂的な支持は、おそらく“反エリート”的な言動が響いたということなんでしょう。
 米共和党は、民主党に「庶民の感覚から遊離したエリートたち」というレッテルを貼って有権者の反エリート意識に働きかける戦略を常としていますが、クリントンvsトランプという構図がまさに「エリートvs反エリート」という構図にはまってしまったというところでしょうか。実際には共和党の政治家も度外れた大金持ちであって庶民の感覚からは果てしなく遊離しているのですが……こうして、アメリカ国民は相も変わらず騙され続けるというわけです。
 トランプ氏は共和党内でも多くの敵をつくって「エスタブリッシュメントと戦う候補」というイメージを作りましたが、実際のところ「反エリートであっても庶民の味方ではない」という点ではほかの共和党議員とまったく同じ。これまで人事構想で名前があがった人たちの顔ぶれをみても、彼はあきらかにウォール街の側の人間であって、ウォール街の外にいる99%の人たちのための政治をやるとは思えません。そういう意味では、「自分で自分の首を絞めた」というのはトランプ支持者についてもいえるのかもしれませんね。
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