真夜中の2分前

時事評論ブログ
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安倍政権、外交・経済でまたしても失策相次ぐ

2015-09-30 21:05:51 | 政治・経済
 日本と中国が受注競争を続けていたインドネシアの高速鉄道について、インドネシアが中国の案を選んだ。
 その選定の経緯には不透明な部分もあり、インドネシアの決定についていろいろと意見はあるだろう。しかし、ともかくも中国の側が選ばれたということは事実である。日本は、この売り込み合戦で敗北したわけで、そのことは“ミスター「問題ない」”の菅官房長官でもさすがに問題があると認めなければならないだろう。
 さらに悪いことに、安倍政権の対外関係におけるつまづきはこれだけではない。このところ、外交面での失策が相次いでいるのだ。

 たとえば日ロ関係。
 先の日ロ外相会談では、岸田外相が北方領土問題について長々と語ったと主張する一方で、ロシアのラブロフ外相はそれを全否定するなど、完全にバカにされている。そんななか、日ロ首脳会談でロシアのプーチン大統領のもとに笑顔で駆け寄っていく安倍総理の姿がいかに滑稽であったことか。

 そして、対北朝鮮関係では、懸案となっている拉致問題に関する再調査において、北朝鮮側は現段階では「完全なゼロ回答」と朝日新聞(電子版)が報じている。その9月26日付の記事によると、北朝鮮は、これまで認定されている12人の拉致被害者について当初の調査結果を覆していないということを、複数の政府関係者があきらかにした。しかも、遺骨問題については、その経費としておよそ100億円の支払いを求めてきたという。
 以前もこのブログで書いたが、日本が周辺諸国のどこともうまくいっていないから、ロシアや北朝鮮もこういう相手をコケにするような態度をとってくるわけである。その背景としてあるのは、依然として続く中韓との冷え切った関係であり、安倍総理とそのお友だちが政府与党の中枢にいるかぎり、それが改善される見通しも立たない。日本の外交はもうボロボロといっていい。

 また、冒頭に書いたインドネシアの高速鉄道の件は、単に外交面というだけでなく経済的な失敗でもあるが、その経済もますます雲行きがあやしくなってきている。
 日経平均は上がり下がりを繰り返しながらもじわじわと下落し、9月の29日にはついに終値で1万7000円を割った。この3ヶ月ほどの間に、4000円近くも下落した計算である。また、時価総額で見ても、8月10におよそ600兆円のピークに達してから、この一月半ほどの間でじつに100兆円ほどが消失したことになるという。
 株価については今後もちなおしてくることもあるかもしれないが、たとえそうなったとしても、今回の値動きで、いまの株価は実体をともなわないものだということがはっきりと見えた。仮に株価が回復したとしても、ギリシャや中国の危機といった外的要因でまたいつでもこういう大幅下落がおきうる。そのことが問題なのである。
 また、その一方で、消費者物価もマイナスとなり、実質賃金も下落。物価が下がっているのに実質賃金も下がっているというのだから、まるで救いようがない。これまでアベノミクスとして放った矢はまったく的をとらえていないのが実態で、新“三本の矢”などといっている場合ではないのだ。

 このように、安倍政権は、外交も経済も行き詰っている。まったくいいところなしだ。来週にも安倍総理は内閣改造を行う予定だというが、この際いっそ総理大臣も変えてはどうか。

奥田愛基氏への脅迫を非難する

2015-09-29 02:00:15 | 政治・経済
 SEALDsの奥田愛基氏に、自身と家族の殺害を示唆する脅迫文が送りつけられたという。
現段階ではまだ背景などはよくわからないが、ともかくも言語道断の所業であり、強く非難したい。
 その背景がどうであれ、この事件はある意味で、現在の日本が陥っている危機的な状況の表れではないかと私には思える。
 意見がどう違っていようと、物理的な暴力や脅しではなく、話し合いによって意思決定する。それが民主主義の最低限のルールであり、そこに右も左もないはずである。ところが、その最低限のルールを無視して、暴力をちらつかせる。しかも、一介の大学生に対してである。
 これは、安保法制を進めた安倍政権の手つきと同じベクトルを共有している。ルールを無視するやり方と、その法がはらむ「問題解決の手段としての武力行使」という発想、そのいずれも、脅迫文を送りつけるという行為に通じるものがある。
 そういう意味からしても、今回の件は決して容認されてはならない。冷笑派も無関心層も、こんなところまで世の中は狂気に冒されているということに危機感を持つべきだ。

連帯へ――民主主義は止まらない

2015-09-28 20:32:19 | 安保法廃止を求める抗議行動
 安保法の強行採決からはや一週間以上がたつが、安保法反対の動きは、全国各地でなおおさまることなく継続している。最近ツイッターのハッシュタグにあるように、“民主主義は止まらない”のだ。
 それらについては、マガジン9などで全国のデモ・集会などの情報を見ることができるわけだが、もちろん、これらの集会にはマガジン9に載っていないようなものも数多くある。
 ためしに私の住む福岡県のローカルな情報を収集してみると、ほとんど毎日のように何かしらの集会が行われているという状況である。今日は、そのひとつとして、天神の警固公園で行われていた集会の様子をレポートしよう。



 画像からわかるとおり、これは、社民党の主催する集会である。
 緊急集会という形で、事前告知はほとんどなされていなかったようだが、それでも「ママの会」などいくつかの団体が集まった。



 そして、その背後には遠巻きに見ている人たち。



 この警固公園で集会が行われるときはいつもそうなのだが、後ろのほうでこうしてみている人たちが多くいる。
 この公園は中央部が広場のようになっていて、その周りに石のベンチのようなものが配置されているのだが、そこに座ってみている人がいるのだ。もちろん中には普通に公園としてここを利用している人もいるが、大部分は集会の様子を見て、その話を聞いている。下はその一部をクローズアップした画像だが、左隅にプラカードを持っている人が写っている。このことからもわかるとおり、彼らはこの集会の「準参加者」ともいうべき人たちなのだ。



 このような態度を人によってはけしからんと思うかもしれないが、私はこうした人たちに「ちゃんと参加しろよ」などというつもりはない。
 むしろ、このような「準参加者」の存在こそが、草の根運動の鍵を握っていると思う。集会に参加するというところまで踏み切れないけれど、関心はある――という人たちが、微温的な形で参加できる。こういうスタイルもあっていいと思う。そうした人たちも取り込んでいかなければ、安保関連法廃止にむけた運動はおぼつかないだろう。

 さて、社民党といえば、今日、生活の党とともに、共産党が呼びかける野党共闘に前向きな姿勢を示したというニュースがあった。
 全国の草の根運動と連帯する形で、野党間の共闘も少しずつ形になりつつある。今日この警固公園で行われたような集会が、より具体的な行動につながっているのだ。ここに民主党なども巻き込んでいけるように、今後、さらにこの動きを増大させていくことがもとめられる。

安倍政権、悪行の軌跡:特定秘密保護法

2015-09-27 19:51:24 | 安倍政権、悪行の軌跡
 以前、このブログで、安倍政権の過去の悪行を振り返ろうというキャンペーンをやっていた。
 なにしろ安倍政権というのは、次々に無茶苦茶なことをやるので、ともすれば過去の悪行が“風化”してしまいかねない。そこで、この政権が過去にどんなことをやってきたかというのを、折に触れて思い出しておく必要がある。
 その一環として、今回は特定秘密保護法について書く。この問題については一度本ブログで取り上げているのだが、おさらいとして、まず、その部分を再掲しておく。


《この法案が国会で審議されていた2013年秋ごろにメディアで問題とされたことを、以下にいくつか列挙する。


①どこまでが“特定秘密”に含まれるかがはっきりせず、拡大解釈される可能性が高い。
②メディアが取材しづらくなり、結果として国民の知る権利が侵害されるおそれがある。特にフリージャーナリストは活動しづらくなると思われる。
③「教唆」だけで罪が成立し、それが特定秘密にあたるかどうかも知らずになにげなく質問しただけで罪に問われかねない。
④石破茂幹事長(当時)がブログで法案へ反対するデモを「テロ行為」と呼んで問題視されたが、つまるところ政府与党には、「秘密保護」に名を借りて反対意見を封殺しようという意図があるのではないか(石破氏は問題の発言を撤回しているが、これは彼の考え方を表明したものであり、発言を撤回したとしてもそこに表れている彼の思想をなかったことにするものではないと私は考える)。
⑤各種世論調査をみても、反対の人が多い。
⑥特定秘密に指定された情報を取り扱うことになる責任者へは適正評価が行われるが、これによってプライバシーが侵害されるおそれがある。

 ……などである。なかでも①の点がもっとも問題にされるところだと思うので、この点をもう少し掘り下げてみたい。
 本当に特定秘密は拡大解釈されないのか。そのための合意はできているのか。これが、はなはだあやしい。この法案が審議された2013年秋の臨時国会では、あるとき自民党の小池百合子衆院議員が「首相動静は知る権利を超えている」といい、後に菅官房長官が「特定秘密にはあたらない」と指摘。また、法案の担当大臣である森雅子特定秘密保護法担当相は、TPP交渉に関する情報が特定秘密にあたるかを問われて「私が判断できない」と答えるなど、政府与党内部でも見解がちぐはぐである。ちなみに担当大臣である森氏に関しては、その後「食品の安全」も特定秘密になるかもしれないなどとも発言している。食品の中にテロリストが毒物を入れるというような情報がある場合、テロ対策として特定秘密になるかもしれないというのである。この発言ひとつとっても、特定秘密なるものがいくらでも恣意的に拡大解釈できるものであることがわかるだろう。繰り返しになるが、石破茂氏にとってデモはテロ行為なのである。
 また、ちょうどその頃ニュースになった話として、海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」でのいじめ自殺裁判でその証拠となる文書が隠蔽されていたという一件があった。いじめの存在を示す内部調査資料が存在していたにもかかわらず、遺族の情報公開に対して「破棄した」と嘘をついて隠していたのである。これなども、このような隠蔽体質を持った組織によって「特定秘密」が拡大解釈されるおそれを現実の出来事として示したものと考えられる。ちなみにこの文書の存在を内部告発した3等海佐に対して、防衛省は一時懲戒処分をくだそうともしていた。このような組織が、特定秘密を担うことになるのである。
 こうした一連の批判・懸念に対して安倍首相は「秘密の範囲が広がることはない」「一般国民が巻き込まれることはない」というようなことをいっているのだが、これらの発言に関しても、いったい何の根拠があってそんなことを言い切れるのかという批判が巻き起こった。
 私もまた、安倍首相がそう請合ったところで、信じる気にはまったくなれない。
 そもそも、この総理はできもしないことを軽々しく「やります」と約束する癖がある。その一つの例として――これもまた古い話になるが――2007年にもちあがった年金記録問題がある。このときが第1次安倍政権にあたっていたのだが、このいわゆる“宙に浮いた年金”問題で安倍首相は、納付者が特定できない約5000万件について「最後のお一人にいたるまでチェックしてきちんと年金をお支払いしていく」と述べた。本当にそんなことが可能なのかと多くの人が疑ったと思うが、それから7年が経ち、やはり不可能であることが明らかになっている。この件について社会保障審議会が去年一月に報告書を出しているのだが、その報告によれば「最後のお一人にいたるまで」どころか、2000万件以上が未解明のままで残されており、そのうえで報告書は《「すべての人の年金記録について100%完全な回復」がなされることは、まず不可能という現実を踏まえておく必要がある。》と指摘している。つまり安倍首相は現実を踏まえない実現不可能な約束をしていたわけだ。
 そしてもう一つ、これはわりかし最近の話だが、国会議員の定数削減問題がある。2012年の臨時国会で安倍氏は、自民党総裁として当時の野田首相に対して議員定数削減を約束している。このやりとりは、はっきりと映像としても記録されている。それが実現されていないじゃないか――というのが、選挙の前に報道番組などで取り上げられた。これに関して当の安倍総理は、自分は「自民と民主だけでは決められないけれど」ということをいっておいた、その部分がカットされている、などと逆ギレしていたが、本当にそれは言い訳になるのか。ごく普通に考えて、自民と民主だけで決められないというのなら、その両者の間だけで「約束します」ということ自体がおかしくないか。本当にそう思っているのなら、約束しますとはいわずに、「あなたと私の間だけでは決められませんから、約束はできません」というべきである。できないとわかっていながら約束するということ自体、きわめて無責任で、口先だけと批判されてもやむをえまい。こういった無責任な約束をする“前科”があるから、問題の特定秘密保護法に関しても、安倍首相がいくら懸念されるような事態は起きないと言い張ったところで、私はそれを信頼する気にはなれないのである。
 そしてここで、特定秘密保護法が成立した直後の朝日新聞の記事の一部を引用しておこう。
 《秘密保護と知る権利を調整する国際指針「ツワネ原則」の採択を主導した米国の「オープン・ソサエティー財団」は6日、特定秘密保護法の中身は国際基準にほど遠いとして深い憂慮を示す声明を出した。また、同財団の上級顧問で元米政府高官のモートン・ハルペリン氏は「21世紀に民主国家で検討されたもので最悪レベルのもの」と強く批判した。》
                                                (本ブログ1月3日の記事「狼は足跡を隠す」より)

 
 いうまでもないことだが、特定秘密保護法は、今回の安保法制の問題とも深く関連している。
 政府は国会審議において「総合的判断」という言葉を繰り返し使ったが、もっとも肝心な情報が特定秘密としてブラックボックス状態のままで、その「総合的判断」が下されてアメリカが遂行する侵略的な戦争に加担することになる可能性が否定できない。そういう意味で、特定秘密保護法もまた、今後につながっていく重大な問題なのである。
 また、この記事中で、安倍総理の“できもしないことを軽々しく「やります」と約束する癖”について書いたが、この癖は今夏の安保国会でもフルに発揮された。安倍総理の軽々しい断言があてにならないことは、過去の事例がはっきり証明している。われわれ有権者は、将来世代に対する責任として、このようないい加減な政権を排し、でたらめな法は廃止に追い込まなければならないのである。

ブログタイトル変更のおしらせ

2015-09-25 00:29:13 | 政治・経済
 突然ですが、このブログのタイトルを変更します。
 以前も書きましたが、このブログは、危機的な暗闇の状態が間近に迫っているという意味をこめて「真夜中の5分前」というタイトルでやってきました。ところが、先日の安保関連法の可決は、さらにその危機的状態を一歩進めることになりました。この暴挙に対する抗議の意思を示すべく、時計の針を2分進め、ブログタイトルを「真夜中の3分前」とします。
 安倍政権の危険性を認識し、立憲主義、民主主義、平和主義を守ろうとする人々のうねりが、この危機的状況を打開することを切に願い、今後もこのブログで情報を発信し、わずかながらでもその援護射撃をし続けるつもりです。
 それではみなさん、これからもがんばっていきましょう。