今日の一人酒
6月に入ったというのに今日も雨が降らない。
昼間から停電。
温度計を見ると気温43度。
ヨ~シ、今日は日が暮れたら冷た~いビールでも飲むか。
日が暮れてからせっせとお摘み作り。
だし卵、鄙びたナス焼き、お新香代わりのこれまた鄙びたキュウリの塩漬け。
塀の外にある小さな飲み屋からビールを2本買って来た。
まずは1本一息に飲み干した。
ア~ッ、うまい!。
そして2本目に手がかかった時、また突然停電。
そそくさと懐中電灯を探して温度計を見る。
38度。
電気会社はいったい何をやってるんだろう、今日はもう2回目の停電。
暑い!もう1時間が過ぎてるじゃないか、モ~何やってんだ。
と独り言を言いながらムカつく。
何処からか子供たちの歌う声。
はぁ~、あの声は隣の10歳のナタリー達だ。
今日もみんなで歌ってるのか。
どの子も電気が無い貧しい家の子達だ。
いつも夜になると家の外で朗らかに歌っている。
ふと、いつの間にかムカついた心も忘れ、聞き入ってしまった。
ナタリー達ってっていいな。
食べ物もろくに食べられないのにいつも陽気で。
ナタリー達みたいになりたい。
そうしたら嫌な事があってもすぐに愉快になっちゃう。
遊び心は心のゆとり。
ゆとりが無ければ心が斬れてしまう。
今日は旨い酒だった。
さ~て、親爺は寝ることにしよう。