2023年は、これまでとは格段に緊迫した年明けとなりました。
21日(土)座間キャンプ前に集合した12名の思いはひとつ、二度と戦争を繰り返さないこと。日本を戦争する国にしないこと。戦争をしたいのは誰なのか、戦争で傷つき殺されるのは誰なのか、戦場から遠く離れた国々でさえ命の危険にさらされるのは誰なのか? 戦場を体験された方たちの言葉をしっかり受け止め、次の世代にも伝えていきます。
在日米陸軍司令官・米陸軍第一軍団司令部司令官 ジョエル・B・ヴァウル少将 様
陸上総隊日米共同部長 豊田 龍二 様
座間駐屯地司令・第四施設群長 本田 健二 様
申 入 書
2023年が明けましたが、新年を迎えても気持ちは晴れません。年末12月16日、政府は日本の安全保障政策を大きく転換させる安保3文書を、国会の議論も経ず閣議決定という形で改訂しました。その中では「敵基地攻撃能力の保有」が明記され、防衛費をGDP比2%に倍増、2023年度から5年間で総額43兆円とすることなどが盛り込まれています。岸田首相はこの天文学的金額を調達するために「全体での負担が必要」とし増税で捻出する考えです。増税はもとより税金を「戦争」の準備のために使うことに私たちは真っ向から反対します。
今年5月にはG7広島サミット(主要7カ国首脳会合)が開催されます。議長国である日本政府は首脳会合を岸田首相のお膝元「広島」に招致しました。自らを「サミット(山の頂上)」と位置付ける傲慢な人々の集まりで、しかも多くの核保有国が集まって「核なき世界」をテーマにウクライナの戦争の話をするなど茶番でしかありません。フランスをはじめ、ウクライナ戦争を理由に原発利用に向けて方向転換した国があります。福島第一原発事故を起こしたこの国でも、岸田政権は原発再稼働、既存原発の利用延長、新たな原発建設へ踏み出しました。世界中にコロナウイルスが蔓延し、持たざる者と富裕層との経済格差が進行し、気候変動や環境破壊、「戦争」・・・、資本主義社会が作り出した待ったなしの問題を解決するために「G7」こそは諸悪の根源、何の役にも立たないでしょう。私たちはG7に反対し「私たち民衆のことを7人+αが勝手に決めるな!」という声を上げていきます。
安保3文書を手土産に、岸田首相は新年早々、G7参加の欧米5カ国を歴訪しました。G7サミットにさきがけ日本の防衛強化にお墨付きをもらうための旅、1月13日の日米首脳会談でバイデン米大統領は「日米同盟の現代化」と手放しで評価したと報道されています。しかし、そもそもが昨年5月、東京で行われた首脳会談で、岸田首相は「防衛力の抜本的な強化」と「防衛費の相当な増額」をバイデンに約束しました。米国との関係重視の政治の中で「喜ぶ」のは当然のこと、ツケはいつも私たち民衆に押し付けられます。
そのツケを最も被るのは沖縄です。「軍拡」は自衛隊という軍隊の肥大化と機能拡大を前提にします。海上自衛隊は有事には海上保安庁を統合・統制し軍事一体化を図ります。海保に限定してきた尖閣諸島への対応に海上自衛隊の出動も加われば有事に発展しかねません。1650kmもの射程距離を持つ巡航ミサイル・トマホークを500基、2113億円も出して米国から購入し、海自は、海上から中国を攻撃できる艦隊になろうとしています。また航空自衛隊は宇宙戦争に備えた「航空宇宙自衛隊」に改組されます。さらに陸上自衛隊はミサイル部隊を強化、南西諸島に中国にも届く敵基地攻撃能力を備えます。日本政府は、日米首脳会談直前の1月12日、鹿児島県馬毛島の自衛隊基地への工事に着手しました。無人の島を丸ごと基地にして米艦載機の訓練場としても使われます。与那国、宮古島に続き、3月には石垣島にも自衛隊の基地が開所され、奄美大島から沖縄南西諸島までの琉球弧に自衛隊基地が建設され、その地域の空港や港湾も含めて軍事利用の常態化を狙っています。78年前、戦場となった沖縄がまた最前線の拠点として位置付けられているのです。
石垣島で軍事基地に反対する活動を続ける「いのちと暮らしを守るオバアーたちの会」の山里節子さんは「『戦争』も『戦(いくさ)』も石垣島にはない言葉。大和の言葉の借り物です。それが島の誇りだった。『終戦』を迎えないうちにまた新たな戦が押しかけてきた」と危機感を募らせます(TBS・報道特集2023.1.7)。元衆議院議長・河野洋平さんも「(安保3文書の改訂は)国の性格を変えるほどの事柄。反撃能力を持つということは武力による威嚇。(そうではなく)戦わないために何をするか深刻に考えるべき」(同)と語っています。かつての戦争を経験した人々が語る反戦の思いを重く受け止めたいと思います。「勝つまであきらめない」ー希望を失わずに今年もまた、仲間たちと「非戦」の取り組みを継続します。
2023年1月21日
バスストップから基地ストップの会と申し入れ行動参加者一同