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激しい雨 / おかしなおかしな美容院

2004年09月04日 23時39分40秒 | 想在
 たまには、日記ふうに。 ............................................................

 きょう、まとまった時間ができたので、かねてから気になっていた、髪を切りに。

 ちなみに、本日、九月四日は、「くしの日」

 くし、といえば、リーゼント?! リーゼントといえば、ロッケンロー?! ... ということで、リーゼントにしてきた ... なんて、そんなわけはなく。

 (はあ~、つまらない、つまらない)

 予約なしで、いきなり入れるところ、あるかしら? と、地元の情報紙をぱらりとめくる。

 ん? 激安美容院、発見!

 私は、髪が長いうえ、特殊なワザを施しているため、相場として、一回につき、二万五千円から三万五千円くらいかかるのだが、同じことをして、なんと、九千九百円!

 これはすごい!

 しかも、新規オープンにつき、先着順で、「幻のお米、三合進呈」 とある。

 う~ん、「幻のお米」 って、なんだろう? よくわからないが、先日の記事にも書いたように、ここのところお米フリークなので、これは行ってみるしかない。 とのことで、早速電話。

 おそるおそる、「すみません、今日ですが、ダイジョウブデスカ? えと、縮毛矯正したいのですが」 とたずねると、あっさりオーケー。

 ということで、午後から美容院へゴー。



 ふと。 考えてみると、今の住まいに引っ越して三年経つが、同じ美容院に二回行ったことがないことに気がついた。

 毎回、毎回、ちがう美容院に行っている。

 なんというか。 美容院や美容師、というものには、相性というものがあって、よほど気に入らないと、同じところにまた行こうという気が起きないのだ。

 美容師さんにも、いろいろあって、じぶんの感覚とぴったり合う人というのは、なかなか巡り会えない。 人によって、同じことを伝えても、微妙にちがったりするし。 美容院のスタイルというか、ポリシーによってもちがうだろうし。 じぶんの希望を百%叶えてくれる、魔法使いのような美容師さんなんて、よほどでないと出会えない? だいたい、こんなものかな? という感じで妥協するなら、べつにどこの美容院に行っても変わりがないのじゃないか、と思って、いろいろなお店に挑戦しているのだけれど。

 ああ、美容院放浪者。

 そのうち、この人だ! というような美容師さんに巡り会えるといいのだが。



 さて、いざ、電話した美容院にたどり着いた。

 新規開店したばかりのお店だけあって、外観はキレイ。 なかに入ってみると ... 。 う~ん。 店内はお客さんが二組ほどいるだけで、ちょっぴりさみしい感じ。 しかも、その二組のお客さんは、ちいさな女の子と、高齢の女性。 激安美容院だから、ヘアスタイルにこだわっているような いまどきの女の子(?)なんてのは、来ないようなところなのかしら。 と、やや不安がよぎった。

 でもまあ。 私はいまどきの女じゃないし?

 覚悟して、すべてをゆだねることに。

 (しかも、店員さんが二人しかいない! ピンチ?!)





 美容院で、なにがいやか、というと、しゃべりたくもないことを話ししなければいけないこと。 日々の雑多なことで、なんとなく、ツカレテいたので、なるべくしゃべらなくて済むように、雑誌を一心に読みふけった。

 ふだん雑誌をあまり買わないため、こういうときは、ここぞとばかりに情報収集する。

 女性ファッション誌から、『hanako』 などのグルメ系(?)情報誌、『女性自身』 などのゴシップ誌、料理の本やら、果てには、男性ファッション誌まで。

 読めるものは、読み尽くせ! といわんばかりに。

 しかし。 とある女性誌を読んでいて、なんか、載っている情報が変だなあ、おかしいなあ、と思っていて。 映画のページを観ていたら、『ショコラ』 とか書いてある。 ジュリエット・ビノシュかわいい~、とか思ったけれど ... ん?

 なによ、この雑誌、二〇〇一年とか書いてあるじゃん!

 うわ~ん、なんでこんな古い雑誌が置いてあるのだ!

 ちょっと待って。 私がいっしょうけんめい貪り読んだ、ほかの雑誌も、もしかして ... 。

 ・・・・・・ 。

 ぜんぶ古かった ... 。

 なぜ、新規オープンしたばかりなのに、こんな古い雑誌があるのだろう ... 。

 激安美容院だから、雑誌を買うお金がなくて、店員さん家にある古い雑誌を引っ張り出してきたのかしら ... 。

 はあ~ ... 。



 店長と思われる男性と、アシスタントらしき若い女性が、とっかえひっかえ私の髪をいじってくれていたのだが。 女の子のほうが、やたら話しかけてくる人だった。

 古い雑誌をいっしょうけんめい読むのもあきたので、その女性店員のかたと話をする。

 「音楽とかなにが好きですかー?」 「映画、さいきんなに観ましたー?」

 ありきたりの質問だったけれど、私がちょっとこたえると、それを二倍にも三倍にもして返してくれる人だったので、かえって、こちらは楽だった。

 一度話し出すと、会話が途切れて沈黙になるのもなんとなくいやだったので、私も、どうでもいいようなことを話しかける。

 「ここって、さいきんオープンしたんですよね?」

 「えっとぉ、そう、ですね」

 ん? いつだか憶えていない? う~ん。

 「 ... ここって、閉店は何時ですか?」 

 「えっと、たしか、八時、だと思います」

 んん? なんで知らないの? と思ったら。

 どうやら、今日だけの、助っ人で呼ばれたということらしかった。

 う~ん、助っ人さんに髪をいじってもらっているのか ... と、不安がよぎった。

 いや、技術さえしっかりしているなら、どんな人でもいいのだが。



 そのうち、「よろしけば、お飲み物お出しします」 と言われた。

 長丁場 (三、四時間かかる) だから、気を遣ってくれたのだろう。 ありがたい。

 「お茶か、ハチミツ・レモン、どちらがいいですか?」 と訊かれ。

 う~ん、ハチミツ・レモン。 なつかしい。 しかし、極甘のものが出てきそうだったので、お茶を頼んでみた。

 私のなかでは、グラスに入った冷茶が出てくるのかなあ、と思っていたのだが、いきなり、五百ミリリットルのアルミボトル缶のお茶を手渡された。 まあ。 こんなにたくさん? とりあえず、飲んでみた。

 ぶはっ! あまっ!

 なにこれ? ―― よく見ると、「ほんのりあま~い 抹茶仕立て」 などと書いてある。 しかも見たこともないような銘柄の。 なんじゃこりゃ。

 きっと、ドン・キホーテなどで、一本五十六円とかで叩き売られているようなやつだろう ... 。

 仕方ない。 なにせ、激安美容院だ。 しかし ... 、半端に甘いお茶だったら、たとえ極甘だとしても、ハチミツ・レモンのほうが良かった ... 。

 五百ミリリットルも飲みきれないよお。 うわ~ん。 拷問かしら。

 はあ~。 それにしても、私の髪はだいじょうぶかしら。 終わったときには、すごい髪型になっていたりして。



 そうこうしているうちに、外で雷が鳴っているのに気がついた。 外はものすごい雨。

 うわん。 お布団、干しっぱなしで来ちゃった! 天気予報なんて見なかったからなあ。 傘も持ってこなかったし ... 。

 髪の毛いじりが終わるころには、止んでいるといいのだが ... 。



 女の子がまた話しかけてくる。

 「音楽ってロックが好きなんですかー? 邦楽ですか?」

 「えと、どちらかというと、洋楽ですね。 古いロックばかり聴いています。 あ、でも、邦楽も聴きますよ。 あと、フジロックとかも行きますし」 (フジロック、ちょっと自慢する私)

 「そうなんですかあ。 わたしは、もっぱら R&B ですね」

 「えと、R&B,というと、いまどきの R&B のことですよね ... ?」 (まさか、古くてしぶーい R&B を? と、ちょっと興味が湧く私)

 「そうですねー」

 「いまどきの R&B っていうと、具体的にどんなのですか?」 (なにごとも情報源とばかりに聴く私)

 「えっとぉ、ベタなんですけど、デスチャとかですねー」

 「・・・」 (微妙に古っ、と、こころのなかで思ってしまった私. (ファンのかた、すみません))

 「R&B 好き、って言っても、じつはそんなに詳しくないんですけどぉ~」

 「・・・」 (どっちやねん! とつっこむべきだろうか、と悩む私)




 でもまあ。 すなおで、かわいい女の子だ。 無理やりこちらの話を聞きだそうとしないで、じぶんの話をしてくれるほうが、私にはありがたいし。 きっと、ほんとうに、話し好きな女の子なのだろう。 そりゃ、一日中、むっつりと仕事をしていたら、いやになるものね。

 テレビの話とか、若者系(?)のクラブの話とか、いろいろ聞き出して、けらけら笑って、過ごした。

 美容院でこんなに話をするのは、私にしては、ひさしぶりかも。

 この女の子、いいな、と思ったけれど。 今日限りの助っ人だから、この美容院に後日また来ても、そのときには居ないのだ。 なんだか、へんな感じ。 美容院放浪しているうちに、偶然また会ったりしてね?



 そして、四時間半かけて、やっと、最後の仕上げに ... 。

 かたや、ぜんぜん話しかけてこなくて、ちょっとこわそうな感じの店長らしき男性店員のかたが、仕上げに毛先をそろえながら、

 「雨、まだ止んでいませんけど、だいじょうぶですか?」 とたずねてきた。

 「ええ、すぐそこに、コンビニがあるので、傘を買って帰ります」

 「でも、この雨じゃ、すぐそこのコンビニでも、びしょぬれになってしまいますよ。 良かったら、うちの傘、持って行ってください」

 ちょっと意外。 なにしろ、激安美容院だから、傘など貸してくれないのでは、と思っていたので。

 「じゃあ、お借りしていきます。 住まいはそれほど遠くないので、明日、返しにうかがいますので」

 「わかりました」

 ... うふふ。 こういう場合、「いいですよ」 なんて言って、傘を返さなくてもいい方向になるのかな? とか、勝手なことを考えていたのだけど。

 さすが、激安美容院。 でも、その、すなおさに笑ってしまった。



 さて。 いざできあがった髪型。 これがなかなかうまくできている! 期待していなかったどころか、不安にさえ思っていたので、感動もひとしお!

 ありがとう!

 これで、相場の三分の一以下の値段は安すぎる! 経営難に陥って、つぶれないといいのだが ... 。

 古い雑誌を読まされたり、変なお茶を飲まされたりしたけれど。

 激安美容院に、幸あれ!



 お借りしたビニール傘をひろげ、私は、激しい雨の降る通りへと、躍り出た。



 明日、傘を返しに行ってみたら、まるで、たぬきに化かされたみたいに、お店があとかたもなくて、廃屋だったりして ... なあんて、物語チックなことを、妄想した。










 * ちなみに、「幻のお米」 はもらえなかった。 品切れたのだろうか。 どういう 「幻」 だったのか、気になる ... 。





 BGM:
 Bob Dylan “激しい雨 / Hard Rain”
 (Bob Dylan でいちばん好きなアルバム)

 Salon Music “M☆A☆S☆H”
 (こういった音楽も、聴いていマス)

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歌詠み / ペニーレインが聴こえる

2004年09月04日 20時56分29秒 | 想在
 「週末映画」



 映画まで
 時間あまって
 吉祥寺ペニーレインを
 行ったり来たり





 ロフトでも
 ライヴハウスじゃないロフト
 ふたりで見たい
 湯豆腐セット





 早すぎるハロウィングッズ
 目に痛い
 二ヶ月先へ駆り立てられて





 映画館
 立ち見人アリ
 大盛況
 座席に荷物置く女 なぜ?





 晴れの日も
 雨の日もまた
 あるけれど
 きょうはこころもどしゃぶり ごめん







 * 吉祥寺ペニーレイン ... 通りの名まえ。 ---> 参照

 * ロフト ... 新宿にあるライヴハウスの名称。 または、西武系列の雑貨・日用品・インテリアなどを売るデパートの名称。 ---> 公式サイト





 当 blog 内 関連記事:
 ・歌詠みはじめ

 ・「啄木忌 / ことばの砂 / Substitute」
  (石川啄木さんのことで、こんなことも書いていました)


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