◆たまには、日記ふうに。 ............................................................
きょう、まとまった時間ができたので、かねてから気になっていた、髪を切りに。
ちなみに、本日、九月四日は、「くしの日」。
くし、といえば、リーゼント?! リーゼントといえば、ロッケンロー?! ... ということで、リーゼントにしてきた ... なんて、そんなわけはなく。
(はあ~、つまらない、つまらない)
予約なしで、いきなり入れるところ、あるかしら? と、地元の情報紙をぱらりとめくる。
ん? 激安美容院、発見!
私は、髪が長いうえ、特殊なワザを施しているため、相場として、一回につき、二万五千円から三万五千円くらいかかるのだが、同じことをして、なんと、九千九百円!
これはすごい!
しかも、新規オープンにつき、先着順で、「幻のお米、三合進呈」 とある。
う~ん、「幻のお米」 って、なんだろう? よくわからないが、先日の記事にも書いたように、ここのところお米フリークなので、これは行ってみるしかない。 とのことで、早速電話。
おそるおそる、「すみません、今日ですが、ダイジョウブデスカ? えと、縮毛矯正したいのですが」 とたずねると、あっさりオーケー。
ということで、午後から美容院へゴー。
ふと。 考えてみると、今の住まいに引っ越して三年経つが、同じ美容院に二回行ったことがないことに気がついた。
毎回、毎回、ちがう美容院に行っている。
なんというか。 美容院や美容師、というものには、相性というものがあって、よほど気に入らないと、同じところにまた行こうという気が起きないのだ。
美容師さんにも、いろいろあって、じぶんの感覚とぴったり合う人というのは、なかなか巡り会えない。 人によって、同じことを伝えても、微妙にちがったりするし。 美容院のスタイルというか、ポリシーによってもちがうだろうし。 じぶんの希望を百%叶えてくれる、魔法使いのような美容師さんなんて、よほどでないと出会えない? だいたい、こんなものかな? という感じで妥協するなら、べつにどこの美容院に行っても変わりがないのじゃないか、と思って、いろいろなお店に挑戦しているのだけれど。
ああ、美容院放浪者。
そのうち、この人だ! というような美容師さんに巡り会えるといいのだが。
さて、いざ、電話した美容院にたどり着いた。
新規開店したばかりのお店だけあって、外観はキレイ。 なかに入ってみると ... 。 う~ん。 店内はお客さんが二組ほどいるだけで、ちょっぴりさみしい感じ。 しかも、その二組のお客さんは、ちいさな女の子と、高齢の女性。 激安美容院だから、ヘアスタイルにこだわっているような いまどきの女の子(?)なんてのは、来ないようなところなのかしら。 と、やや不安がよぎった。
でもまあ。 私はいまどきの女じゃないし?
覚悟して、すべてをゆだねることに。
(しかも、店員さんが二人しかいない! ピンチ?!)
美容院で、なにがいやか、というと、しゃべりたくもないことを話ししなければいけないこと。 日々の雑多なことで、なんとなく、ツカレテいたので、なるべくしゃべらなくて済むように、雑誌を一心に読みふけった。
ふだん雑誌をあまり買わないため、こういうときは、ここぞとばかりに情報収集する。
女性ファッション誌から、『hanako』 などのグルメ系(?)情報誌、『女性自身』 などのゴシップ誌、料理の本やら、果てには、男性ファッション誌まで。
読めるものは、読み尽くせ! といわんばかりに。
しかし。 とある女性誌を読んでいて、なんか、載っている情報が変だなあ、おかしいなあ、と思っていて。 映画のページを観ていたら、『ショコラ』 とか書いてある。 ジュリエット・ビノシュかわいい~、とか思ったけれど ... ん?
なによ、この雑誌、二〇〇一年とか書いてあるじゃん!
うわ~ん、なんでこんな古い雑誌が置いてあるのだ!
ちょっと待って。 私がいっしょうけんめい貪り読んだ、ほかの雑誌も、もしかして ... 。
・・・・・・ 。
ぜんぶ古かった ... 。
なぜ、新規オープンしたばかりなのに、こんな古い雑誌があるのだろう ... 。
激安美容院だから、雑誌を買うお金がなくて、店員さん家にある古い雑誌を引っ張り出してきたのかしら ... 。
はあ~ ... 。
店長と思われる男性と、アシスタントらしき若い女性が、とっかえひっかえ私の髪をいじってくれていたのだが。 女の子のほうが、やたら話しかけてくる人だった。
古い雑誌をいっしょうけんめい読むのもあきたので、その女性店員のかたと話をする。
「音楽とかなにが好きですかー?」 「映画、さいきんなに観ましたー?」
ありきたりの質問だったけれど、私がちょっとこたえると、それを二倍にも三倍にもして返してくれる人だったので、かえって、こちらは楽だった。
一度話し出すと、会話が途切れて沈黙になるのもなんとなくいやだったので、私も、どうでもいいようなことを話しかける。
「ここって、さいきんオープンしたんですよね?」
「えっとぉ、そう、ですね」
ん? いつだか憶えていない? う~ん。
「 ... ここって、閉店は何時ですか?」
「えっと、たしか、八時、だと思います」
んん? なんで知らないの? と思ったら。
どうやら、今日だけの、助っ人で呼ばれたということらしかった。
う~ん、助っ人さんに髪をいじってもらっているのか ... と、不安がよぎった。
いや、技術さえしっかりしているなら、どんな人でもいいのだが。
そのうち、「よろしけば、お飲み物お出しします」 と言われた。
長丁場 (三、四時間かかる) だから、気を遣ってくれたのだろう。 ありがたい。
「お茶か、ハチミツ・レモン、どちらがいいですか?」 と訊かれ。
う~ん、ハチミツ・レモン。 なつかしい。 しかし、極甘のものが出てきそうだったので、お茶を頼んでみた。
私のなかでは、グラスに入った冷茶が出てくるのかなあ、と思っていたのだが、いきなり、五百ミリリットルのアルミボトル缶のお茶を手渡された。 まあ。 こんなにたくさん? とりあえず、飲んでみた。
ぶはっ! あまっ!
なにこれ? ―― よく見ると、「ほんのりあま~い 抹茶仕立て」 などと書いてある。 しかも見たこともないような銘柄の。 なんじゃこりゃ。
きっと、ドン・キホーテなどで、一本五十六円とかで叩き売られているようなやつだろう ... 。
仕方ない。 なにせ、激安美容院だ。 しかし ... 、半端に甘いお茶だったら、たとえ極甘だとしても、ハチミツ・レモンのほうが良かった ... 。
五百ミリリットルも飲みきれないよお。 うわ~ん。 拷問かしら。
はあ~。 それにしても、私の髪はだいじょうぶかしら。 終わったときには、すごい髪型になっていたりして。
そうこうしているうちに、外で雷が鳴っているのに気がついた。 外はものすごい雨。
うわん。 お布団、干しっぱなしで来ちゃった! 天気予報なんて見なかったからなあ。 傘も持ってこなかったし ... 。
髪の毛いじりが終わるころには、止んでいるといいのだが ... 。
女の子がまた話しかけてくる。
「音楽ってロックが好きなんですかー? 邦楽ですか?」
「えと、どちらかというと、洋楽ですね。 古いロックばかり聴いています。 あ、でも、邦楽も聴きますよ。 あと、フジロックとかも行きますし」 (フジロック、ちょっと自慢する私)
「そうなんですかあ。 わたしは、もっぱら R&B ですね」
「えと、R&B,というと、いまどきの R&B のことですよね ... ?」 (まさか、古くてしぶーい R&B を? と、ちょっと興味が湧く私)
「そうですねー」
「いまどきの R&B っていうと、具体的にどんなのですか?」 (なにごとも情報源とばかりに聴く私)
「えっとぉ、ベタなんですけど、デスチャとかですねー」
「・・・」 (微妙に古っ、と、こころのなかで思ってしまった私. (ファンのかた、すみません))
「R&B 好き、って言っても、じつはそんなに詳しくないんですけどぉ~」
「・・・」 (どっちやねん! とつっこむべきだろうか、と悩む私)
でもまあ。 すなおで、かわいい女の子だ。 無理やりこちらの話を聞きだそうとしないで、じぶんの話をしてくれるほうが、私にはありがたいし。 きっと、ほんとうに、話し好きな女の子なのだろう。 そりゃ、一日中、むっつりと仕事をしていたら、いやになるものね。
テレビの話とか、若者系(?)のクラブの話とか、いろいろ聞き出して、けらけら笑って、過ごした。
美容院でこんなに話をするのは、私にしては、ひさしぶりかも。
この女の子、いいな、と思ったけれど。 今日限りの助っ人だから、この美容院に後日また来ても、そのときには居ないのだ。 なんだか、へんな感じ。 美容院放浪しているうちに、偶然また会ったりしてね?
そして、四時間半かけて、やっと、最後の仕上げに ... 。
かたや、ぜんぜん話しかけてこなくて、ちょっとこわそうな感じの店長らしき男性店員のかたが、仕上げに毛先をそろえながら、
「雨、まだ止んでいませんけど、だいじょうぶですか?」 とたずねてきた。
「ええ、すぐそこに、コンビニがあるので、傘を買って帰ります」
「でも、この雨じゃ、すぐそこのコンビニでも、びしょぬれになってしまいますよ。 良かったら、うちの傘、持って行ってください」
ちょっと意外。 なにしろ、激安美容院だから、傘など貸してくれないのでは、と思っていたので。
「じゃあ、お借りしていきます。 住まいはそれほど遠くないので、明日、返しにうかがいますので」
「わかりました」
... うふふ。 こういう場合、「いいですよ」 なんて言って、傘を返さなくてもいい方向になるのかな? とか、勝手なことを考えていたのだけど。
さすが、激安美容院。 でも、その、すなおさに笑ってしまった。
さて。 いざできあがった髪型。 これがなかなかうまくできている! 期待していなかったどころか、不安にさえ思っていたので、感動もひとしお!
ありがとう!
これで、相場の三分の一以下の値段は安すぎる! 経営難に陥って、つぶれないといいのだが ... 。
古い雑誌を読まされたり、変なお茶を飲まされたりしたけれど。
激安美容院に、幸あれ!
お借りしたビニール傘をひろげ、私は、激しい雨の降る通りへと、躍り出た。
明日、傘を返しに行ってみたら、まるで、たぬきに化かされたみたいに、お店があとかたもなくて、廃屋だったりして ... なあんて、物語チックなことを、妄想した。
* ちなみに、「幻のお米」 はもらえなかった。 品切れたのだろうか。 どういう 「幻」 だったのか、気になる ... 。
BGM:
Bob Dylan “激しい雨 / Hard Rain”
(Bob Dylan でいちばん好きなアルバム)
Salon Music “M☆A☆S☆H”
(こういった音楽も、聴いていマス)
きょう、まとまった時間ができたので、かねてから気になっていた、髪を切りに。
ちなみに、本日、九月四日は、「くしの日」。
くし、といえば、リーゼント?! リーゼントといえば、ロッケンロー?! ... ということで、リーゼントにしてきた ... なんて、そんなわけはなく。
(はあ~、つまらない、つまらない)
予約なしで、いきなり入れるところ、あるかしら? と、地元の情報紙をぱらりとめくる。
ん? 激安美容院、発見!
私は、髪が長いうえ、特殊なワザを施しているため、相場として、一回につき、二万五千円から三万五千円くらいかかるのだが、同じことをして、なんと、九千九百円!
これはすごい!
しかも、新規オープンにつき、先着順で、「幻のお米、三合進呈」 とある。
う~ん、「幻のお米」 って、なんだろう? よくわからないが、先日の記事にも書いたように、ここのところお米フリークなので、これは行ってみるしかない。 とのことで、早速電話。
おそるおそる、「すみません、今日ですが、ダイジョウブデスカ? えと、縮毛矯正したいのですが」 とたずねると、あっさりオーケー。
ということで、午後から美容院へゴー。
ふと。 考えてみると、今の住まいに引っ越して三年経つが、同じ美容院に二回行ったことがないことに気がついた。
毎回、毎回、ちがう美容院に行っている。
なんというか。 美容院や美容師、というものには、相性というものがあって、よほど気に入らないと、同じところにまた行こうという気が起きないのだ。
美容師さんにも、いろいろあって、じぶんの感覚とぴったり合う人というのは、なかなか巡り会えない。 人によって、同じことを伝えても、微妙にちがったりするし。 美容院のスタイルというか、ポリシーによってもちがうだろうし。 じぶんの希望を百%叶えてくれる、魔法使いのような美容師さんなんて、よほどでないと出会えない? だいたい、こんなものかな? という感じで妥協するなら、べつにどこの美容院に行っても変わりがないのじゃないか、と思って、いろいろなお店に挑戦しているのだけれど。
ああ、美容院放浪者。
そのうち、この人だ! というような美容師さんに巡り会えるといいのだが。
さて、いざ、電話した美容院にたどり着いた。
新規開店したばかりのお店だけあって、外観はキレイ。 なかに入ってみると ... 。 う~ん。 店内はお客さんが二組ほどいるだけで、ちょっぴりさみしい感じ。 しかも、その二組のお客さんは、ちいさな女の子と、高齢の女性。 激安美容院だから、ヘアスタイルにこだわっているような いまどきの女の子(?)なんてのは、来ないようなところなのかしら。 と、やや不安がよぎった。
でもまあ。 私はいまどきの女じゃないし?
覚悟して、すべてをゆだねることに。
(しかも、店員さんが二人しかいない! ピンチ?!)
美容院で、なにがいやか、というと、しゃべりたくもないことを話ししなければいけないこと。 日々の雑多なことで、なんとなく、ツカレテいたので、なるべくしゃべらなくて済むように、雑誌を一心に読みふけった。
ふだん雑誌をあまり買わないため、こういうときは、ここぞとばかりに情報収集する。
女性ファッション誌から、『hanako』 などのグルメ系(?)情報誌、『女性自身』 などのゴシップ誌、料理の本やら、果てには、男性ファッション誌まで。
読めるものは、読み尽くせ! といわんばかりに。
しかし。 とある女性誌を読んでいて、なんか、載っている情報が変だなあ、おかしいなあ、と思っていて。 映画のページを観ていたら、『ショコラ』 とか書いてある。 ジュリエット・ビノシュかわいい~、とか思ったけれど ... ん?
なによ、この雑誌、二〇〇一年とか書いてあるじゃん!
うわ~ん、なんでこんな古い雑誌が置いてあるのだ!
ちょっと待って。 私がいっしょうけんめい貪り読んだ、ほかの雑誌も、もしかして ... 。
・・・・・・ 。
ぜんぶ古かった ... 。
なぜ、新規オープンしたばかりなのに、こんな古い雑誌があるのだろう ... 。
激安美容院だから、雑誌を買うお金がなくて、店員さん家にある古い雑誌を引っ張り出してきたのかしら ... 。
はあ~ ... 。
店長と思われる男性と、アシスタントらしき若い女性が、とっかえひっかえ私の髪をいじってくれていたのだが。 女の子のほうが、やたら話しかけてくる人だった。
古い雑誌をいっしょうけんめい読むのもあきたので、その女性店員のかたと話をする。
「音楽とかなにが好きですかー?」 「映画、さいきんなに観ましたー?」
ありきたりの質問だったけれど、私がちょっとこたえると、それを二倍にも三倍にもして返してくれる人だったので、かえって、こちらは楽だった。
一度話し出すと、会話が途切れて沈黙になるのもなんとなくいやだったので、私も、どうでもいいようなことを話しかける。
「ここって、さいきんオープンしたんですよね?」
「えっとぉ、そう、ですね」
ん? いつだか憶えていない? う~ん。
「 ... ここって、閉店は何時ですか?」
「えっと、たしか、八時、だと思います」
んん? なんで知らないの? と思ったら。
どうやら、今日だけの、助っ人で呼ばれたということらしかった。
う~ん、助っ人さんに髪をいじってもらっているのか ... と、不安がよぎった。
いや、技術さえしっかりしているなら、どんな人でもいいのだが。
そのうち、「よろしけば、お飲み物お出しします」 と言われた。
長丁場 (三、四時間かかる) だから、気を遣ってくれたのだろう。 ありがたい。
「お茶か、ハチミツ・レモン、どちらがいいですか?」 と訊かれ。
う~ん、ハチミツ・レモン。 なつかしい。 しかし、極甘のものが出てきそうだったので、お茶を頼んでみた。
私のなかでは、グラスに入った冷茶が出てくるのかなあ、と思っていたのだが、いきなり、五百ミリリットルのアルミボトル缶のお茶を手渡された。 まあ。 こんなにたくさん? とりあえず、飲んでみた。
ぶはっ! あまっ!
なにこれ? ―― よく見ると、「ほんのりあま~い 抹茶仕立て」 などと書いてある。 しかも見たこともないような銘柄の。 なんじゃこりゃ。
きっと、ドン・キホーテなどで、一本五十六円とかで叩き売られているようなやつだろう ... 。
仕方ない。 なにせ、激安美容院だ。 しかし ... 、半端に甘いお茶だったら、たとえ極甘だとしても、ハチミツ・レモンのほうが良かった ... 。
五百ミリリットルも飲みきれないよお。 うわ~ん。 拷問かしら。
はあ~。 それにしても、私の髪はだいじょうぶかしら。 終わったときには、すごい髪型になっていたりして。
そうこうしているうちに、外で雷が鳴っているのに気がついた。 外はものすごい雨。
うわん。 お布団、干しっぱなしで来ちゃった! 天気予報なんて見なかったからなあ。 傘も持ってこなかったし ... 。
髪の毛いじりが終わるころには、止んでいるといいのだが ... 。
女の子がまた話しかけてくる。
「音楽ってロックが好きなんですかー? 邦楽ですか?」
「えと、どちらかというと、洋楽ですね。 古いロックばかり聴いています。 あ、でも、邦楽も聴きますよ。 あと、フジロックとかも行きますし」 (フジロック、ちょっと自慢する私)
「そうなんですかあ。 わたしは、もっぱら R&B ですね」
「えと、R&B,というと、いまどきの R&B のことですよね ... ?」 (まさか、古くてしぶーい R&B を? と、ちょっと興味が湧く私)
「そうですねー」
「いまどきの R&B っていうと、具体的にどんなのですか?」 (なにごとも情報源とばかりに聴く私)
「えっとぉ、ベタなんですけど、デスチャとかですねー」
「・・・」 (微妙に古っ、と、こころのなかで思ってしまった私. (ファンのかた、すみません))
「R&B 好き、って言っても、じつはそんなに詳しくないんですけどぉ~」
「・・・」 (どっちやねん! とつっこむべきだろうか、と悩む私)
でもまあ。 すなおで、かわいい女の子だ。 無理やりこちらの話を聞きだそうとしないで、じぶんの話をしてくれるほうが、私にはありがたいし。 きっと、ほんとうに、話し好きな女の子なのだろう。 そりゃ、一日中、むっつりと仕事をしていたら、いやになるものね。
テレビの話とか、若者系(?)のクラブの話とか、いろいろ聞き出して、けらけら笑って、過ごした。
美容院でこんなに話をするのは、私にしては、ひさしぶりかも。
この女の子、いいな、と思ったけれど。 今日限りの助っ人だから、この美容院に後日また来ても、そのときには居ないのだ。 なんだか、へんな感じ。 美容院放浪しているうちに、偶然また会ったりしてね?
そして、四時間半かけて、やっと、最後の仕上げに ... 。
かたや、ぜんぜん話しかけてこなくて、ちょっとこわそうな感じの店長らしき男性店員のかたが、仕上げに毛先をそろえながら、
「雨、まだ止んでいませんけど、だいじょうぶですか?」 とたずねてきた。
「ええ、すぐそこに、コンビニがあるので、傘を買って帰ります」
「でも、この雨じゃ、すぐそこのコンビニでも、びしょぬれになってしまいますよ。 良かったら、うちの傘、持って行ってください」
ちょっと意外。 なにしろ、激安美容院だから、傘など貸してくれないのでは、と思っていたので。
「じゃあ、お借りしていきます。 住まいはそれほど遠くないので、明日、返しにうかがいますので」
「わかりました」
... うふふ。 こういう場合、「いいですよ」 なんて言って、傘を返さなくてもいい方向になるのかな? とか、勝手なことを考えていたのだけど。
さすが、激安美容院。 でも、その、すなおさに笑ってしまった。
さて。 いざできあがった髪型。 これがなかなかうまくできている! 期待していなかったどころか、不安にさえ思っていたので、感動もひとしお!
ありがとう!
これで、相場の三分の一以下の値段は安すぎる! 経営難に陥って、つぶれないといいのだが ... 。
古い雑誌を読まされたり、変なお茶を飲まされたりしたけれど。
激安美容院に、幸あれ!
お借りしたビニール傘をひろげ、私は、激しい雨の降る通りへと、躍り出た。
明日、傘を返しに行ってみたら、まるで、たぬきに化かされたみたいに、お店があとかたもなくて、廃屋だったりして ... なあんて、物語チックなことを、妄想した。
* ちなみに、「幻のお米」 はもらえなかった。 品切れたのだろうか。 どういう 「幻」 だったのか、気になる ... 。
BGM:
Bob Dylan “激しい雨 / Hard Rain”
(Bob Dylan でいちばん好きなアルバム)
Salon Music “M☆A☆S☆H”
(こういった音楽も、聴いていマス)