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うわごと / つい、本音

2004年09月08日 23時32分13秒 | about him
 ああ。 日付が変わってしまったのだが。

 昨日、九月七日は、「鏡花忌」 であった。

 泉 鏡花さんの作品、それほど詳しくないのだが、とても印象に残っている作品で、『外科室』 というものがある。

 読まれていないかたには、申し訳ないのだが、あらすじを (かなり) 端折って説明してしまうと ... 。


 胸の病いを患う、とある高貴な夫人が、手術に際して、麻酔をかけられることをどうしても拒む ... 。 というのも、人には打ち明けられない秘密が、こころのなかにあり、麻酔にかかっているあいだに、その秘密をうわごとで言ってしまうのではないかと恐れているために。 麻酔をしなければできない手術であれば、しなくてもよい、病気など治らなくてもよい、とまで言い放つ夫人 ... 。


 子どものころには、まったくわからない話であったが、いまは、なんとなく、わかるような気も ... 。

 死を賭しても守りたい、と言うと、おおげさになるのだが、ずっとずっとじぶんの胸のうちだけに秘めておきたい事柄、というのは、どんな人にも、あるものなのだろうか? と、ふと考えてしまう。





 ところで、私の友人 (というか彼) の話になるのだが。

 彼に関して、私は、こわいものなしの人、という印象を持っていたのであるが、先日、わが家に泊まりに来たときのこと。

 私が blog をしているあいだに、いつものように彼が先に寝てしまったので、あとからベッドに入ると、スヤスヤと寝ていたところに、とつぜん人の気配でびっくりしたのか、彼が、本気でびっくりして、「うわっ!」 と叫び声を上げた。

 そして、半分寝ぼけながら、「うぅ~ん、ほんとにびっくりしたよお、こわかったよお ... 」 と、ぶつぶつとつぶやいていた。

 そんなにびっくりされるとは思わず、私のほうがなおさらびっくりしてしまったのだが、ひょっとして、彼は、ほんとうは、とっても臆病なところがあるのかしら? それとも、こころの奥底に、なにか不安をかかえているのかな、ふかい悩みわずらいがあるのかな ... なんて、思ったりして。

 そういえば、いっしょに眠っていると、ときどき、私の背中にしがみついて寝ることがある。 さながら、私は 「抱き枕」 状態。

 なにか安堵感とか、安定感というか、そういうものを無意識に求めてしまっているのかなあ、なんて。

 あとで、私が、「本気でびっくりしてたよ」 なんて話をすると、「それ、おれじゃない」 とか言って、以前にも聞いたことのあるせりふを言う。

 ... うん。 そういうことにしておいてあげよう。

 でも。 いつか、その不安を、けむりのように、消し去ることができたなら、いいのだが ... 。





 (ちなみに。 私は、あまり寝言を言わないらしい。 ほっ。 よかった ... )





 ★おまけ★
 寝言で思い出した、笑い話 ...





 BGM:
 The Pretenders ‘I Go to Sleep’

 (The Kinks のカヴァー。 ドラマティックに歌い上げていて、The Kinks とは、またちがった魅力が)

 (ちなみに、九月七日は、The Pretenders のヴォーカリスト、Chrissie Hynde さんの誕生日でもあった。 おめでとうございます(遅))

コメント (6)
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思いはるかに / 受話器の向こう

2004年09月08日 18時51分59秒 | 想在
 おとつい、友人と食事をしようと、荻窪駅ちかくで、待ち合わせしていたときのこと。

 (さいきん、昼も夜も外食ばかりなのだが ... )

 見知らぬおばあちゃんから、「このあたりに公衆電話はないですか?」 と、たずねられた。

 私は、「すぐそこのコンビニにありますよ」 と教えてあげた。

 おばあちゃんは、「あら、ほんとだ」 と言って、頭を軽く下げて、去っていった。

 友人がやって来るまでのあいだ、しばし、おばあちゃんを観察した。

 うれしそうに、話している。

 お孫さんとお話ししているのかもしれない。 なんとなく。そんな気がした。

 いいなあ、と思いながら、その様子をながめていたら。

 「じゃあ、そろそろ(電話を)切るからね。 ○○ちゃん、バイバイね」 と言って、受話器に向かって、手をふっていた。

 わあん、かわいいおばあちゃん。

 受話器の向こうのかたに、手をふっているのだ。

 相手には、見えっこないのだけれど。

 なんだが、ほほえましいなあ、と思った。

 ほんとうに、電話のお相手のかたを思っているのだな、と想像した。





 以前、サラリーマンふうの男性が、電話をかけながら、「申し訳ありません!」 と言って、お辞儀しているのも、見たことがある。

 こちらは、きっと、営業マンで、取引先の人に懸命に謝っているのだろう、と、想像した。

 やはり、相手には見えっこないのに、全身で、必死に謝っている姿が、とても印象に残った。





 たとえ、電話という、音声だけのコミュニケーションだとしても、そのときの気持ちというのは、つい態度に、表情に、出てしまうものだろうか。

 「向こうがわ」 の人には、まったく見えないのだけれど。

 でも、おばあちゃんの気持ちも、サラリーマン男性の気持ちも、電話の向こうの人に、きっと、伝わっているんじゃないかな。 と、勝手に思って、勝手に満足する私。





 ちなみに。 ディスプレイの 「こちらがわ」 で、私が、いまどんな姿かっこうで、この blog (のようなもの) を書いているか。

 ふんぞりかえっている? お菓子ばりばり食べながら?

 ―― いえいえ、もちろん、しゃっきりと、姿勢を正して書いております ... ?! :P







 BGM:
 Humble Pie ‘That's How Strong My Love Is’

 (オリジナルは、O.V. Wright であろうか。 Otis Redding や Rolling Stones,Hollies などもカヴァーしている)

 (「強い気持ち・強い愛」 にしようかな、とも思ったけれど ... )

コメント (8)
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