ジャンボ君のお腹が日増しに大きくなってきて
妊娠してんじゃないか?という程に膨らんで 歩くのも億劫なのがわかる
散歩に出てもすぐにUターンして帰宅するようになった
「お前、デブすぎなんじゃないか?」とひっくり返してお腹をたたくと
ポンポンポン!と水風船を叩いたような振動がある
ご飯は少ししか食べてないのに、近所の誰かが高カロリー加工肉でも食べさせてるんじゃないかと疑っていた
一日中寝転んでいて、熟睡というよりは昏睡状態
鼻をツンツンしても なかなか目を覚まさなくて
ツンツンツンツンとやってると、血走った白目がグリンと黒目に戻ってお寝覚めになる
「これ もう命が長くないぞ」
そう息子に話したのだが、かといって大学動物病院へ連れてゆくと
やれレントゲンだの、やれ心電図検査だのと毎回チェックされては高価なドイツ製心臓病薬を処方されるだけ
このドイツ製の薬は特許だと思うが独占状態で暴利をむさぼっているに違いない
そんなことで一回の支払いが6千バーツ(2万3千円)を超えてしまう
3年程前から心臓弁膜症かなにかで、肺の中に水が溜まる症状に苦しんでいるジャンボ
ゲホゲホと咳込んでは「カ~~ぺっ!」と痰を吐くようにドロッとした水を吐く
見るに見かねた息子がバイクの後ろにある箱にジャンボを乗せて 近所の動物クリニークへ連れて行った
お腹パンパンで苦しそう
診察結果は大学病院と同じ
食べすぎによる肥満ではなくて心臓肥大により肺に水が溜まているとのこと
そして注射器を腹から差し込んで水を抜いてくれたらしい
「水が2リットルも出たよ~」と報告する息子
はあ? 腹から2リットル水が出たの?
息子は「うん」と言って ちんちんの少し上の辺りに張り付けたガーゼを指さした
犬の肺に2Lも水が溜まるのか? っていうか それで息ができるの?
なんで心臓肥大で肺に水が溜まるの? っていうか
胸じゃなくてお腹に肺があるの?
そう矢継ぎ早に質問する親父
頭に尻があるニコちゃん大王は知っていたが、お腹に肺がある生き物?
息子もよくわかってないのか 或いは日本語で説明できないのか
もごもごと口ごもてしまった
薬と一緒にテーブルに置いた領収証に4千バーツ程の金額が見えた
あの高額薬が60日分ではなくて一週間分だけしかない
「たったこれだけで大丈夫なの?」と言うと
「薬はネットで買った方が安いとドクターが教えてくれた、僕の貯金で払ったから・・」という息子
「うっ」と固まる親父
かと言って これまでに少なくとも10万バーツはジャンボの医療費に継ぎこんでいる
今後またいくら請求されるのかを考えるとクラっと眩暈がした
「とりあえず、ジャンボはメェ(お母さん)のペットじゃん?」
オヤジのペットではなくて、育児拒否してる母親の所有物だということで押し通すしかない
「ジャンボの治療費を一回くらいはメェが払ってもいいじゃないの?」
みたいな苦しい説得をして、母親に請求するよう促した
結果は、「お金がない!」って言われたw
新築の大きな家を購入して「お金がない」などと よく言えるわ!!
一瞬キレそうになったが、冷静を装って
ならしゃーねーな、と財布を開いて4千バーツを息子に手渡した
(子供にペット医療費を払わせるわけにはいかんだろ)と心の中で呟いた
まあ田舎のタイ人からすると どちらかというと「犬は食べ物」
動物どころか、お父さんが病気になっても病院へは連れて行かずに自然死って話は多い
お父さんは牛と同列?
それくらいの時代を生きる人たちに「犬の病院代を出せ」ってのが無理難題なんだよな
{自分の化粧品代や美容整形代、美食やブランド品や旅行費は出せてもwww}
そう思って諦めることにした
身軽になったジャンボ君 ニコニコ顔でピョンピョン飛び跳ねるし
散歩中に猫を見つけては走って追いかけるし
以前のジャンボに戻ったかのようだ
身軽になって食欲旺盛に
この顔を見ると、ほっとけないよね
受験生の息子は大学で自然生体研究をやりたいようだが、世の中綺麗ごとでは生きてゆけない
お金がなくては家族どころか犬一匹すら助けることができない
それを知ってほしかった
お金がないのは惨めなんだよ そのうち誰かにコントロールされてしまう人生
結果、負け続けて根性まで曲がてしまう
根性が曲がってしまうと修正は不可能に近い
しっかりした真っ当な収入を得て 自分の家庭を守れるようになってほしい
まだ そのチャンスはある
それから一か月後、またしてもお腹がパンパンに (゚Д゚;)ヤバい!!!