ちいちゃんのひとりごと

ちいちゃんのひとりごとを勝手気ままに書いています。

それはある日のことだった2

2023年10月06日 | 日記
それはある日のことだった。
カシミアのタートルネックだがハイネックだがのセーターを洗濯して欲しいと本人が持ってきた。
カシミアとは確認しなかった私はうっかり普通のセーターだと思って全自動の洗濯機に入れた。
入れたはいいが、乾燥機までかけてしまった。
仕上がりは驚くほどに小さくなって着れなくなってしまった。
元には戻らないセーターに困り果て、マンションに来るクリーニング店の他人に相談するも、元には無理だと言う。
困った!
このセーターは本人のセーターでは無いのだ。 
主のセーターなのだ。
借金を抱えて着の身着のままで来た本人には洋服などは無いに等しかった。
服は主の借り物です。
当時6万円くらいはしそうなカシミアのセーターは見事に小さくなり着れなくなったのだ。
バレたら怒られるのだ。
謝っても済まないのだ。
困り果てた私は苦肉の策で嘘をついた。
その頃父は高円寺でラーメン屋をやっていた。
私は嘘をついて父のラーメン屋を手伝うと言ってそこを辞めた。
本人の前でも嘘をついた。
自分の失態と府害の無さに泣いた。
たった1ヶ月と1週間の出来事だった。
辞める前にお給料をもらった。
お給料はたった8万円だった。
朝から晩まで働かされて休日らしい休日は1日しかなかった。
連日辛くホームシックで泣いていた私はそれから自宅に帰るのである。
紙袋一つで来た私は紙袋3つになっていた。
母は渋谷の駅まで迎えに着ていた。



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