ちいちゃんのひとりごと

ちいちゃんのひとりごとを勝手気ままに書いています。

たった一人の友達

2023年10月06日 | 日記
私はその頃のことはたった一人のファンの友達にしか話してはいなかった。
ところが私が本人のところにたった1ヶ月と1週間いたことはたちまちファンの間に知れ渡ってしまっていた。
どこから誰から聞いたのか?
私が辞めてすぐに主のもとには新しい家政婦が来るも、主のわがままで家政婦は何人も代わったと風の噂で聞いた。
家政婦の作った食事が気に入らないと主は食卓をひっくり返すと言う。
主が欲しかったのは付き人ではなく体のいい家政婦だったのだ。
自分好みの家政婦だったのだ。
辞めてすぐに本人から私の自宅に電話があった。
たまたま私が電話に出た。
出たのはいいが、驚いた。
私はNHKののど自慢に出るべく応募していたのだ。
その時本人は浅草の劇場に出ていた。
本人からは「明日は浅草の劇場に来ないか?」と言うお誘いだった。
私は明日は府中でのど自慢の予選があることを告げた。
予選が終わり次第行くことを告げた。
明日になった。
私は府中ののど自慢の予選会場に行った。
ところがのど自慢の予選は最後までいないと結果はわからないとのこと。
考えた末に私はのど自慢の予選をあきらめて浅草の劇場に行ったのだ。
運良く楽屋口で運転手のSさんに会った。
私は説明して楽屋口からSさんと一緒に楽屋に案内してもらった。
後にも先にも本人の楽屋に行ったのはそれっきりだった。
ドキドキしていた。
おそるおそる挨拶をして会話をした。
のど自慢の予選をあきらめてここへ来たことも話した。
本人の計らいでその後自由席で彼女の舞台を見せてもらい自宅に帰った。
本人とはそれっきりだった。
本人はいたって私を他のファンと同じ扱いにした。
いや、同じ扱いだった。
やがて私がたった1ヶ月と1週間しか本人のところにいなかったことは誰からも忘れ去られていた。
本人もすっかり私のことは忘れていた。


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