落葉の積もる場所

- The way I was -
 

 胡椒  

2014年04月08日 | WEBLOG











気がつけば、思い切り"春"ですね。

長袖を着る機会も もうそんなに多くはないかも。


そして周囲の人たちは暑さを口にするんです。

あと数ヶ月しないうちに。




私はと言えば、すっかり「タモロス」。

お昼になるたび、つい8チャンネルに合わせる癖が抜けません。







ところで「ラーメン」ですけど。


豚骨も味噌も美味しいのだけれど、醤油味のオーソドックスなのが一番好き。

店で食べるのが一番ですが自分で作るのも味の調節が効いて良いものです。





ある日。

出来るだけ正確に記述するなら3年と少し前のこと。



自宅でラーメンを作ってた私は「胡椒」が無くなりつつあるのに気が付きました。


「買わなきゃ」


そう思いつつも、何となく忘れていたのですが、

いよいよ小瓶が空っぽになろうとしていました。


「明日か明後日、忘れずに買うように」。


私の心の中のリマインド・リストに刻み込んだのでした。


















ちっぷ。

起きろ。 起きなさい。


あれは神様の声だったか、 あるいは死んだ父親の声?

もしかしたら、お祖父さんだったかも知れません。




ちっぷ。

お前はラーメンを食べる時に胡椒を掛け過ぎてるよ。

いつもの癖で5回も振り掛けているが明らかに多過ぎるぞ。

そもそも胡椒などというものは香りが漂えば心が安定するんだ。

だから1杯ラーメンを食べる度、胡椒はひと振りずつにしておけ。










もちろん夢、でした。

長い病院生活の暇つぶしに見た夢でした。


でも現実を考えてみた時、本当に病院には胡椒がありませんでした。

ラーメンやうどん。

週に1度だけ麺類が出てくるのですが、当然胡椒や七味などありません。




そういう環境の中、半年の入院生活が過ぎて行きました。














今は自由です。


胡椒だって辛子だってマスタードだって。

好きなものに好きなように掛けて食べる事が出来るようになりました。




でも、

あれ以来、香辛料は避けていました。


どうしても「病院に置いていない」という事実が頭から離れないのです。







先週、ひとりでラーメン屋に向かいました。

家から歩いて3分のところにある、町の中華店。


店に入った時から胸がどきどきとしてしまって‥。




だって、今年ようやく2度目のラーメン屋。

お店で食べる事が私の生活から殆ど消えてしまっっていたから。


不自由な右手を他人に悟られるのを怖れていたのでしょうか。






でも、 なぜか、 どうしても、

(左手を使ってでも)ラーメンが食べたくなったのです。







注文した「叉焼麺(醤油)」が目の前に置かれました。







自然と手が伸びて、ひと振りだけ胡椒を掛けました。





















    


     すると あたり一杯 幸せな香りが漂って来ました。