完璧な満足など、望んではいけない。
実は今、家のパソコンシステムを完璧にセットアップしたり、オーディオセットのラジオ受信を完璧にしようと思ったら、藤原道長が詠んだ望月の歌を思い出して、欲望が完璧に満たされた状態の恐ろしさを知った。
さて、その藤原道長の詠んだ望月の歌。
この世をば、我が世とぞ思う望月の、欠けたることのなしを思えば。
という歌で、実は月が満月になれば、あとは欠けるだけなのである。
絶えず不満足な状態にあれとは言わないが、あまり完璧な状態というのも、実は恐ろしいことで、あとは衰退していくだけなのである。
話は飛ぶが、バッハのフーガの技法。
あれは最後フーガを、わざと未完成の状態にしておいたという説もある。
数秘学でB+A+C+Hは2+1+3+8=14。
そして最終フーガの終わる239節目の数を足すと2+3+9=14。
そんな形で分かる人にはわかるように署名して、フーガの技法を完成させたという説もある。
仏教でも、六神通の最後は漏尽通で、煩悩がすべてなくなった状態というのは、涅槃に赴いた状態。つまりは死んだ状態なのだから。