B&B&B

回り道を全力疾走

菜の花の咲く下で

2009-03-21 17:17:57 | 未分類
昨日、俺の車にETCをつけた親父から聞いた。

『お前の車のボンネット開けたら、鳥が死んでたよ。気持ち悪くて取りきらんかった。』

俺の車で一羽の鳥が死んだ。
俺が殺した。

今日、シュウカツから帰ってきて、軍手とスコップを持って車を止めてある野外の駐車場へ向かった。

田んぼ道の中に俺の車は止まっている。

菜の花が一面に咲いて黄色いじゅうたんが敷き詰められている頃だ。

俺は、自分の遺体が野辺にさらされている光景を我慢できない。
大衆の前に自分の遺体を晒すくらいなら、全裸で歩き回ったほうがましだと思う。

ボンネットの中で死んでいる鳥もそんな気持ちなのかもしれないと思うと、早く埋めてやりたい衝動に襲われた。

ボンネットを開けると、端っこに一羽の手のひらサイズの鳥が仰向けで死んでいた。

エンジンの熱でだろう。焼けて干からびている。

取ろうと動かすが、エンジンにこびりついている。

焼きついたのだろう。

その瞬間をイメージしてみる。

薄暗い檻の中で、何百度もの高温に襲われる。
逃げ道を探すが見つからない。

そうして必死にもがいて力尽きた鳥は仰向けになって倒れた。

スコップでエンジンにこびりついた体をそぎ落としていく感覚が生々しかった。

人間もこうなるのか。


菜の花が広がる田んぼ道の横に穴を掘って埋めた。


俺が車を持っていなかったら、死なないですんだかもしれない命。

で見た、豚や牛の顔が思い浮かぶ。


弱肉強食。

人はその世界の中で生きながら、それを直視せずに生きている。

人が生きることでどれだけ多くの犠牲となる命があるのか。

食べるだけではない。

保健所で殺される犬。
道路でひき殺される猫。
環境破壊で奪われる動物の住みか。

生きる以上は知らなければならない。
犠牲となる命。死に様を。

エメラルドのきれいな羽をした鳥だった。
それを埋めながら、自分が生きていることを悔やんだ。

所詮鳥一匹。勝手にボンネットに突っ込んで勝手に焼け死んだ馬鹿な鳥だ。

そう思うことが普通だと思う、自分が悲しくなる。

国境を越えて、外国人と対話ができるように、DNAを超えて生物と対話ができればと夢を見る。

俺はまたいつもと変わらない日常を送る。

菜の花の下で眠る命の上で。