まあ、テニスだからとあまり特別に考えなくてよいということはわかった。もう少し「具体的に使える」情報はないか?
他ジャンルのアニメ程の成功例がないテニスのアニメ。何を参考にすればいいのか?まず、NHKのアニメなのに残念ながら(笑)ウィンブルドン(全英)の録画はしばらく観なくていい。ウィンブルドンは、芝というサーフェースの特性、殆ど真っ白なウェア、ロンドンの気象はじめ会場の色合いと、見慣れてないとかなり視覚的にボンヤリした印象しか残らない条件が揃ってしまっているのだ。F1で言うモナコGP同様、そのステータスは最高だが、ステージとしてはかなり特殊なのだ。現代テニスの凄さ、きつさを見たければ、全豪(オーストラリアン・オープン)のできればナイトセッションの試合が一番確実だろう。もうすぐ始まる全仏(フレンチ・オープン)も劣らずきつく、いい「素材」なのだが、土のコートで打球が遅くなる分我慢比べの比率が上がり、派手でスピーディなプレイは減りがちだ(本格的に開花し始めた錦織氏が土のコートでの新しい勝ち方を見せ始めているのでこれは特別に期待)。
より身近に、リアルに見たければ、大学生以上の試合をベースライン側のネット越し、もしくはコートの横のできるだけ低い位置に座って観戦するのもいい(都内なら有明(コロシアムだと相当お高い席になるので、屋外コートで充分)はお勧め)。また、Youtubeを漁ると色々な角度でプロのプレイを撮った動画がたくさんある。
ジュニア中心のアニメだからといって、日本のジュニアを多く観る必要は無い。トップジュニアであっても結局子供なので体がまだ未完成、動きもいま一つ不正確、さらにダボっとした服装なので体のライン(と動き)がわかりづらいのだ。やはり手足の長さはじめ骨格と筋肉の付き方、動きの質の高さから、海外のトップ選手をまず目に焼き付けるのが一番いい。特にフェデラー、ナダル、ジョコビッチを徹底的に観るところから始めるべきだ。ジュニアを描く時は、そこから骨格を変えてゆけばいい。漫画で言うと、『スラムダンク』が成功した理由のひとつがこれだ。あの漫画のプレイ場面はマイケル・ジョーダンを中心とした当時のNBAの名場面集をそのまま写生したものと言っていい。昔BSマンガ夜話で、レギュラー陣が『スラムダンク』をこの理由でけなしていたが、それでも、だからこそ、あの当時、スポーツする人間の肉体を力強く、驚異的な動きを活写できたのだ。昔ながらの漫画的手法はそれに及ばなかっただけのことである。BS夜話では『男組』もけなしてゲストの角田信朗氏が静かに憤慨(笑)していたが、デッサン面での「整合性」云々を越えて、池上遼一氏の描く肉体、立ち姿の美しさはおそらく今だ比類無いものであり、スラムダンク同様、描かれた競技や武術に読者があこがれたり自分でやってみたくなる程魅力的だった。そういえば、ダイナミックに肉体をアピールできることが、特に黒人アスリートが最近MLBよりNBAを好む理由のひとつだというレポートを最近ラジオで聴いたことがある。
登場人物の顔立ちなども、多分描き手が「ピンとくる」ようになれば変わるだろうし、画面全体の色調や線の太ささえ変わるかもしれない。また、原作特有の戦術や技術ノウハウ等の描写もうまく処理できるやり方があると思うが、リクエストがあれば別途書く(笑)
それにしても毎度の愚痴になるが、ゼニやハンコ持ってる連中が一番問題だろうなあ。例えば最初に成功例として挙げたスポーツアニメ含め、OP・EDの歌詞がことごとく説教臭い。ラーメン屋にかかってるオヤジの小言(繰り言)をなんで歌わせなくちゃならんのだ。物語(登場人物の経験)を通じてなぜ努力や人間関係等々が大事、必要なのか視聴者に悟らせることができることがスポーツアニメである理由でないの?プロセスなしに「とにかく大事だから覚えとけ」とばかりに「モラル」を押し付けるのは、一番空虚で頭わるくてダサくて嘘くさく、なによりも危険なことだ。スポーツアニメでなくとも、昨年の『翠星のガルガンティア』は非常に魅力的な要素が揃っているにもかかわらず、似たような理由で惜しい(中途半端な部分が残る)脚本になってしまっていたと思う(秋からのセカンドシーズンに期待!)。
それから、ベイビーステップのアニメに関しては、用具メーカーももっと協力すべきだ。ラケットの画はかなりひどい。本物のモデルから各数値を少しづつ変えて3Dデータを提供してあげられないもんかね。日本テニス協会の協力は…期待しません(笑)