横浜の建築設計事務所 コア建築設計工房のブログ

建築のこと、 横浜のこと、保育や福祉施設のこと、介護のことを表現します。

箱世界

2023年03月01日 | 環境問題

おはようございます。
神奈川県横浜市にある設計事務所・株式会社コア建築設計工房の渡邊です。

「箱世界」と書きましたが、
この世界はどこか巨大な箱の中にあると感じます。
それも大まかに二つ存在している。
組織や文章となって現れる概念としての箱。
私たちの視覚や感覚で触れられる、物理的な箱。

概念的な箱としては、
一番大きな箱→私たちにとっての地球や宇宙
真ん中くらいの箱→国や各自治体であったり、
                                それを統率する法律。
最小単位の箱→1家族単位。

そしてその概念的な箱を守るため、
その箱を上手く活用したり活性化するために
物理的な「箱」が存在する訳です。
建築は目に現れますし、触れられます。
かと言って法律が何も無いのかというとそうではない。
結果的に物理的な箱になる概念物、
それが建築ではないかと考えています。
人間の感情や環境に直接関わる箱です。

とある学校の記事に、いじめは学校の建築的環境で劇的に変わる
という記事を見つけました。
従来の片廊下式の少し七不思議でも
出てきそうな、独特の閉鎖的な空間と威圧感は
私も忘れたことがありません。
幾重の箱の中に私たちは生きているのに、
またその箱を追加してその中で整列して、
「何年何組」という箱の中で
学んでいるのです。
決してその箱自体は悪くありません。
でも、何か物足りないと思うのです。
「何年」はまだなくすことはできないけれど、
「何組」はあやふやにしていいのではないか。
そんな記事を見て、
全て「いつもどおり」、「一般的慣習」のまま
でいいのか?
とても考えさせられました。

人が作る以上、全ての生き物、全ての人に完璧に寄り添う建築を
完成させることは不可能と考えます。
いつでも、「多数決」です。
少なきものに寄り添うために
多くの代償を払うか、
多くのものに寄り添うために、
少なきものの代償を払うか。
こう聞くと大変大袈裟ですが、
日常茶飯事に起きている難しい問題です。
完璧にはできないけれど、
「箱」を考えて創造することができる。
一人ではなく、私たちで。
今よりもっと良い箱を、
その気持ちが、
形になることを切に願って。



【引用記事】

 

学校建築の経験と展開

──これまで学校建築を手がけられた経験から、よい学校空間、よい学校建築とはどのようなものか、お話し下さい。小嶋一浩──先生たちや住民たちに対して...

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人が作る建物や町が人や社会をかたちづくる - Global Research 海外都市計画・地方創生・SDGs

「我々は建物を形作り、その後、建物が我々を形作る」というチャーチルの言葉と民主主義との関係について書いた話の続き。今回は個々の建物ではなく、人間が作る街の形によ...

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防災の日

2021年09月01日 | 環境問題

おはようございます。
神奈川県横浜市にある設計事務所・株式会社コア建築設計工房の伊部です。

今日は防災の日ということで、関連した内容にしたいと思います。
今年も夏の初めには雨が続き被害も出ていました。本当にこころが痛いです。
これから台風シーズンですし、我が家も非常袋の中身を更新しなくてはと思っているところです。

非常時の準備と合わせて、自身が住んでいる場所、勤務場所、子供が通う学校の場所が防災的にどのような場所なのかを知っておくことも大事だと思います。
ハザードマップポータルサイト (gsi.go.jp)
洪水、高潮、土砂災害など災害別の危険度が一度に確認できます。
予備知識を持って生活していれば、いざという時の避難の判断にも役立つはずです。

気象庁|防災気象情報と警戒レベルとの対応について (jma.go.jp)
警報や注意報はこちらで確認できます。

もはや「いままで経験したことのないような雨」、「〇〇年に一度の〇〇」など頻繁に耳にするようになってしまい、若干危機意識も薄れているようにも思えます。
もう一度私自身、「自分で身を守る」ということを考える機会にしたいと思います。


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プラスチックの現状

2021年08月02日 | 環境問題

おはようございます。
神奈川県横浜市にある設計事務所・株式会社コア建築設計工房の井下です。

 こどものころ(1980年代)、石油はあと30年で枯渇すると学校で教わりましたが、今現在でもまだあと50年は採掘可能であるとか、シェールガスがアメリカで量産されたり、メタンハイドレートが日本近海に埋蔵している(海洋エネルギー資源開発促進日本海連合HPより)とかで、技術開発は必須ですがしばらく化石燃料は枯渇することはないように思います。
そんな中、地球温暖化対策、CO2抑制、脱炭素の風が吹き、カーボンニュートラルではない石油関連からの脱却の流れは今や社会常識になっています。
建築でも大量に利用している石油由来の素材「プラスチック」の現状についてまとめました。

 プラスチックは原油の中から作られるものの極一部(原油全体の3%)です。
原油からは、LPガス、ナフサ、ガソリン、灯油、ジェット燃料、軽油、重油、アスファルトなどが取り出されます。
この内のナフサから、プラスチック製品、ゴム製品、繊維、塗料などが作られています。

▲原油からプラスチック製品ができるまで(日本プラスチック工業連盟HPより


 19世紀後半、アメリカで原油が採掘可能になった当初は照明用の灯油として使い、それまでの鯨油を駆逐していきました。
自動車の普及に伴いガソリンの需要が生まれ、発電や大型船舶の燃料として重油が使われてきました。
ナフサも化学製品、プラスチック原料として使われるようになり、原油を余すことなく使われました。
なので、プラスチックだけを減らしても無駄で、ガソリンも灯油も軽油も重油も全てを減らさなければ意味がないものだと思っていました。
しかし、調べてみると、国内のナフサだけでは化学製品の需要を賄えず、ナフサ単体でも必要量の6割を輸入をしています。
さらにプラスチック原料の樹脂も輸入をしています。
輸入量を減らすためにもプラスチックの減量に一定の意義があることが分かりました。


▲プラスチックの生産、リサイクル、廃棄の流れ(産業環境管理協会資源リサイクル促進センターHPより


 プラゴミは、マテリアルリサイクル(約23%)、ケミカルリサイクル(約4%)、サーマルリサイクル(約58%)の方法でリサイクルされ、一部は焼却・埋立処分(14%)されています。
マテリアルリサイクルは、ペットボトルから作業着を作ったり、発泡スチロールから文房具や日用品を作ったりしています。
きれいに洗って分別しないと再利用ができません。
ケミカルリサイクルは、化学的に分解して、コークス化、製鉄所で使う還元剤、ガス化、油化して、再利用しています。
多少の異物が混入していても再利用が可能です。
サーマルリサイクルは、焼却する時に発生する熱を利用したり、その熱で発電したりしています。
高い発熱量をもつプラスチックをエネルギー源としています。
CO2排出という観点からすると、サーマルリサイクルがそもそもOKなのか疑問もありますが、
無理にマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどせずに焼却して熱回収する方が合理的に思います。
不法に海洋投棄などされてしまうよりかは確実に回収して焼却してしまった方が良いようにも思います。


 プラスチック削減を目指すのであれば、プラスチック製容器包装(使い捨てプラ)を全廃するなどの大ナタを振るわなければ何も変わらないと思われます。

▲一般廃棄物の中でのプラスチックゴミの割合(容積比)(環境省HPより

プラスチックの利便性に漬かっている現状では現実的には全廃は難しいですが、「バイオプラスチック」へ置き換えることで実現できそうです。
植物由来の原料で作られているプラスチック(バイオマスプラスチック、緑色エリア)と、土壌中などで分解されるプラスチック(生分解性プラスチック、青色エリア)があります。
できれば右上のエリア(植物由来かつ生分解性のプラスチック)へ移行し、更には海洋生分解性プラスチックに期待したいです。

▲バイオプラスチックのマトリックス(国際環境経済研究所HPより

 先日、小2の息子がふざけて「ちくわ」をストローにして牛乳を飲んでいました。
食べられるストローも有りかも!!と思いました。

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過去の環境問題

2021年07月05日 | 環境問題

おはようございます。
神奈川県横浜市にある設計事務所・株式会社コア建築設計工房の井下です。

現在は温暖化対策のためCO2抑制が言われていますが、過去の環境問題の現状が気になり確認しました。

「ダイオキシン問題」
1990年代に大きく取り上げられたダイオキシン問題。
当時は、ゴムやビニールを燃やした時の臭いや黒煙が、いかにも体に悪そうな”公害”として取り上げられました。
それ以前は、焚火をしたり、町中で廃材などを燃やしている光景をよく見かけました。
ダイオキシンの発生メカニズムは、炭素、塩素を燃やした際、250~400度の不完全燃焼で副生成物として発生するものです。
高温で燃焼した際にはその発生が抑えられるため、現在のごみ処理施設は800度以上の高温で焼却しています。(横浜市HPより
2012年時点では1999年比で99%の削減を実現しています。

環境省HPより
しかし、そもそも高濃度のダイオキシンが含有されていたのは1960~70年代の農薬でした。
また、人体にはさほどの毒性はないとか、自然界にも一定量存在しているなど、まだわからないことが多いようです。

「酸性雨問題」
1970~80年代に騒がれた酸性雨問題。
化石燃料の燃焼や火山活動から発生する二酸化硫黄(SO2)・窒素酸化物(NOx)が、大気中で硫酸や硝酸に変化して雨に混じって降下する現象です。
酸性度の経年変化のグラフを見ているとある時期からは横ばいのようにも見えます。

気象庁HPより
酸性雨で森林が立ち枯れすると言われていたことは、今は乾燥が原因だったとされています。
pH3でも生育に影響がないことが分かってきたようです。
目がしみるなどの健康被害も訴えられていましたが、排気ガスや煤煙そのものに影響があったと考えられています。
小学生のころ、酸性雨の雨に濡れると頭が禿げる!と言われていましたがその真偽は???
環境や人体への影響は少ないようですがゼロではなく、技術的に解決したとはなっていない状況です。

当時は分からなかったことが今は分かってきたこともたくさんあることが分かりました。
新しい環境問題が次々とクローズアップされるので目立たなくなっていますが、”過去の”環境問題ではなく現在進行形のものもあると再認識しました。
環境問題は、AだからBという短絡的な結論ではなく、多種多様な要因が複雑に絡み合っています。
持続可能な社会を目指すために本当に取り組まなければならないこととは何なのか、建築でできることは何なのか、歴史から未来を学びたいと思います。
他にも、「光化学スモッグ問題」「オゾン層問題」「割り箸・マイ箸問題」など気になる問題は改めて確認します。


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