発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023

2023-06-17 21:50:32 | 自殺企図
双極性障害はDSM-Ⅴから「双極症」と訳語が変わったそうです。
それに伴い、診療ガイドラインも「双極性障害(双極症)2023」として改定されました。
こちらの記事からポイントを拾ってみました。

・薬物療法と並んで推奨されている心理教育を実臨床で実施しやすいよう、現場で実施可能な「ミニマム・エッセンス」を推奨。
1) 規則正しい生活習慣の維持
2) 病状悪化につながる要因の把握
3) 悪影響を与える問題への対応
4) 新たな再発の兆候把握と予防策の策定・実践
5) 疾患への誤解やスティグマの解消
6) 効果的な薬物療法の実現
7) 物質乱用や不安への対応
・患者の大きな関心事の一つである周産期に関する記載も充実させ、「双極性障害を持つ人も子を持つことを妨げられるべきでないことは当然」である旨を明記。
・抑うつエピソードの治療と維持療法において、第2世代抗精神病薬(クエチアピン、ルラシドン、オランザピン)と気分安定薬(リチウム、ラモトリギン)の併用を初めて推奨。
・今回、双極症という疾患名を併記したのは、2022年3月に発行されたDSM-5-TRの日本語版が今年6月に発行され、「bipolar disorder」の日本語訳が「双極性障害」から「双極症」に変更されることを受けたもの。

私が「おや?」と感じた点は、
リチウムなどの気分安定薬が基本ではあるものの、
第二世代抗精神病薬の併用が明記されたことです。
従来は「躁転」のリスクがあるため、
実際には行われているものの、
ガイドラインには記載されないという矛盾がありましたので。

(加藤Dr.の意見)
・これまでの研究から、私は、感情に関わる神経細胞におけるカルシウムシグナリングの変化が病因と考えています。遺伝的要因などで、神経細胞内のカルシウム濃度が高くなりやすく、細胞の興奮性が上がりやすい、その結果、感情(情動)と認知のバランスが偏る、という機序です。そのため、細胞のカルシウム濃度を下げるリチウム、細胞の興奮性を抑えるラモトリギン、セロトニンを介して神経回路の興奮性を下げる第2世代抗精神病薬の併用が有効と受け止めています。
・情動性が高まると論理的に考えることが難しくなり、白か黒かという二律背反の考え方が主体になります。そのため、薬物療法に加え、そのバランスを改善する、認知行動療法などの心理教育の併用も有効というわけです。
・2000年前半までは、見逃される患者が多かったと思います。抗うつ薬投与で躁になる(躁転)リスクがあるため、双極性障害の存在を疑うよう、うつ病のガイドラインなどでも強調してきました。
・昨今は、地域差はあるかもしれませんが、都心部では、特に双極II型障害は、疑い例も含めて、過剰診断が多いように感じています。実際、双極性障害として私の外来を受診する患者の約半数は半構造化面接では双極性障害とは診断されません。
・軽躁病エピソードがないにもかかわらず、うつ病が治らなかったり、うつ症状の再発を繰り返すから双極性障害だと考えるべきではありません。

<参考>
▢ 双極性障害に「心理教育のミニマム・エッセンス」を推奨
〜順天堂大学医学部精神医学講座主任教授の加藤忠史氏に聞く

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日本における双極性障害患者への処方薬の実態

2022-03-10 07:52:08 | 自殺企図
双極性障害は躁状態とうつ状態を反復する病気です。
躁状態では周囲が困り、
うつ状態では本人がつらい。

しかしうつ状態に抗うつ薬を使用すると、
“躁転”といって躁状態を誘導し、
大変なことになるので使用してはいけない、
という暗黙のルールがあります。

でも双極性障害のうつ状態に特化した薬剤はなく、
患者さんはつらい状態を我慢してやり過ごすことになります。

気分障害(うつ病、双極性障害)には不安症を合併しやすいといわれています。
この不安症に有効な薬は、やはり抗うつ薬です。

どうにもこうにも、抗うつ薬を避けて通れないのが現状のようです。

関連書籍を読むと、
「双極性障害に抗うつ薬を使用する場合は、単独ではなく気分安定薬(リチウム)を基本薬として投与すべし」
との記載が目にとまります。

さて、実際にはどの程度抗うつ薬が処方されているのでしょう。

以下の報告では、
双極性障害I:32.1%
双極性障害II:46.4%

と1/3〜1/2の患者さんに処方されている実態が判明しました。
やはり抗うつ薬を使わないわけには行かないようですね。


日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い
ケアネット:2022/01/25)より抜粋;
・・・
 2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。

・気分安定薬、抗精神病薬、抗うつ薬の使用率に関して、有意な差が認められた。
・BD-I患者では、気分安定薬(BD-I:86.0%、BD-II:80.8%、p<0.001)と抗精神病薬(BD-I:61.5%、BD-II:47.8%、p<0.001)の使用率が高く、BD-II患者では抗うつ薬(BD-I:32.1%、BD-II:46.4%、p<0.001)の使用率が高かった
・BD-I、BD-II患者ともに最も多く使用されていた抗精神病薬はアリピプラゾール(エビリファイ®)、気分安定薬はリチウム(リーマス®)であった。
・最も多く使用されていた抗うつ薬は、BD-I患者ではエスシタロプラム(レクサプロ®)、BD-II患者ではデュロキセチン(サインバルタ®)であった。
・BD患者に最も使用されていた抗うつ薬のクラスは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。
・併用療法に関しては、抗うつ薬を含む併用療法がBD-II患者で用いられることが多かった

 著者らは「BD-IとBD-II患者では向精神薬の使用状況に違いが認められた。日本では、BD外来患者に対し気分安定薬や抗精神病薬が使用されており、一般的なガイドラインに準じていた。抗うつ薬の使用効果や躁病エピソードのリスクに関するエビデンスは十分ではなく、さらなるエビデンスの収集が必要とされる」としている。

<原著論文>


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「発達障がい」は“家族だけで抱えないこと”がポイント

2021-09-19 13:23:12 | 自殺企図
小児科医という職業柄、発達障がい関連の本を何冊か読んだことがありますが、「なるほどなあ」と読み終わっても、しかし目の前の患者さんに何もできません。一般小児科医が感じているジレンマです。

前2項では「診断の難しさ」について書きましたが、診断後の対応に関しては、なかなか「コレ!」といった書籍や文章に出会えませんでした。

唯一、これは確かに効果があると感じたのは「応用行動分析」という手法くらいでしょうか。とくに奥田健次氏の本はわかりやすいです。

東洋経済ONLINに岩波明Dr.が対応についても書いていましたので読んでみました。

発達障害「家族だけで解決するのが超危険」な訳 子供を「叱る」よりもまずは「離れる」を選ぼう
岩波 明 : 精神科医

小学校高学年になると、本人がなんとなく「私ってクラスメートと違うのかなあ?」と気づき始めるようです。そんなときの対応は・・・

親が子どもに説明するにしても、「発達障害」という言葉を使う必要はないと思います。発達「障害」という言葉のインパクトが強すぎるからです。本人も拒否反応を示し、自分が発達障害だと認めたがらないかもしれません。
「あなたにはこういう特性があって、ほかの人とこんなふうに違うから、こんな場面ではこう気をつけたほうがいい」
このように、日常のトラブルについて解決していく具体的な話し合いをするのがいいと思います。
発達障害そのものの理解より、問題解決を優先しましょう。

なるほど、その通りだと思います。
そして診断されたら「まず学校へ報告すべし」と記しています。
学校にもよりますが、ルールや制限を緩める対応が期待されます。

また、いろんな“被害”(性被害・詐欺被害)にも会いやすい傾向があります。

ASD(自閉スペクトラム症)に顕著ですが、発達障害の人は、人の言葉の裏が読めず、言葉を真に受けてしまう、信じてしまう傾向が強くあります。その結果として性被害が起こりやすいのです。
同じ理由で、詐欺などの被害にも遭いやすいと推測されます。

対応はパターン学習でしょうか。

まずは、そのような危険があるということを親なり教師なりが指導することが大切です。また、「知らない人に声をかけられたら警戒しなさい」など、具体的なルールを作ることです。
言葉の裏を読むのは難しくても、こういうときに性被害が起こりやすい、こういうときはお金のトラブルが起きやすいと、パターンを覚えることならできるからです。

対応のコツは「治そうとしない」「解決しようとしない」と岩波Dr.は書いています。
親が頑張っても「治る」「解決する」ものではない、と。

ではどうすればよいか?
一度「離れ」て気持ちをリセットすることを勧めています。

一度は注意することが必要です。でも、その後も問題行動が続くようなら、いったんは子どもから離れるように指示します。家族との関係性を悪くしないことが、いちばんだからです。同じ注意や叱責が何度も続けば、相手も反論してくるでしょうし、やがて感情的になって、お互いに罵声を浴びせ合うことになりかねません。
・・・「なんとか子どもの問題を解決したい」という親心があるのはわかります。でも、口で注意して行動が変わるぐらいなら、とっくに解決しているはずです。

つまり「家族だけで抱えないこと」がポイントである、と。
そのために病院が存在するので、大いに利用してください、と。

最終的には、本人が「これはまずい」と自覚して、自分から「変わろう」と思わない限り、本人の行動は変わりません。
親が援助する姿勢は大切ですが、同時に「家族が口で言っても、簡単には変わらない」ことは認識しなければいけません。

家族にできないからこそ、病院などほかのアプローチが用意されている、と考えてください。・・・ASDやADHDの治療をきちんとすることによって、さまざまな問題行動が少なくなっていくことは珍しくないのです。


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「発達障がい」の診断の難しさーその2

2021-09-19 12:47:56 | 自殺企図
もう一つ、同様の記事が目に留まりました。
専門家からみても、診断が難しいようです。

医師が子どもを「発達障害」と診断する難しさ
榊原 洋一 : 小児科医師・お茶の水女子大学名誉教授 著者フォロー

榊原先生はとくに「過剰診断」を問題視されています。
そしてやはり「検査では診断できない」と断言しています。

発達障害(注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム障害、学習障害)の診断は、診断基準書(DSM)をもとにした専門家による問診が主で、特異的学習障害を除いて、この検査をすれば診断ができるといったものはありません。血液検査や脳波検査、MRIなどの脳機能画像、さらには知能検査などのさまざまな心理検査をしても、注意欠陥多動性障害や自閉症スペクトラム障害の診断をすることはできないのです。

さらに診断は当てはまる症状を数えて行うため、「いかに多くの正確な情報を集められるか」にかかっていることも指摘しています。

現状、発達障害の診断は医師や専門家による問診が主ですが、その基準書は、アメリカ精神医学会が定期的に発行している「精神疾患の診断と統計マニュアル(DSM)」です。定期的に改訂され、現在は第5版が2012年に発行されています。
このマニュアルには、発達障害を含むさまざまな精神疾患の診断基準が書かれています。「統計」という言葉がタイトルに使われているのは、その疾患の特徴的な症状を複数提示し、そのいくつ以上が該当すれば診断してよい、という統計的な基準が示されているからです。

発達障がいの診療をしている医師から、「大切なのはDSM-5を熟読して頭にたたき込むこと」と聞いたことがあります。
弁護士を目指して勉強する人が六法全書を暗記するのと似ているかもしれません。

例えば注意欠陥多動性障害の診断は、DSMに記載されている、不注意に関する9つの行動特徴と多動・衝動性に関する9つの行動特徴のうち、不注意と多動の項目のいずれかで6つ以上が当てはまる場合につけられます。
アメリカの医学の教科書を見ると、例えば注意欠陥多動性障害の診断には、本人の学校、家庭、地域等における行動の現在の特徴と、過去の経歴をできるだけ詳しく調べて、診断基準と照らし合わせることと記されています。子どもの行動の特徴を評価するための質問紙(アンケート)も必要に応じて併用することも書かれています。しかし、特異的な検査や心理検査はないとはっきり明記されています。

誤診の原因として、
・医師の理解不足
・専門医と患者の需給バランスが崩れ、診療時間を十分取れない
を挙げています。

1つは、自閉症のスペクトラム障害の行動評価スケール(M─CHATなど)の結果をそのまま診断として捉えるという、チェックリストの意味の理解が不十分であったことでしょう。・・・こうしたチェックリストは有用ですが、そこで自閉症のリスクが高い得点を得たとしても、それが正しい確率は50%前後なのです。チェックリストでハイリスクと判定された場合は、時間をおいて再度チェックすることで、診断の確率が上がることが調査によって明らかになっており、複数回チェックを行うことが推奨されています。

もう1つの可能性は、自閉症スペクトラム障害という診断名にあるのではないか、と考えています。これまでに複数の小児神経科ないしは児童精神科の医師に、私が過剰診断の事例について話をしていた時に、「スペクトラム(連続体)という広がりを示す診断名なので、基準のすべてが揃わなくても診断してしまう傾向があるかもしれない」と自らの診療姿勢について語っていました。
スペクトラムという診断名がついていますが、DSMの中には診断に必要な基本症状の数がきちんと書かれており、スペクトラムであるからそれらを満たさなくても診断してよい、といった規定はありません。

発達障がい患者は多く、一般小児科医も診療を担当すべきであるという意見もあります。
しかし、精神科と小児科の間のグレーゾーンでもあり、低くないハードルがあると感じています。

もし私(小児アレルギー科医)が担当するなら、一定の研修と資格試験などを整備していただきたいと思います。
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「発達障がい」の診断の難しさ

2021-09-19 11:52:59 | 自殺企図
私は小児科医で、アレルギー分野を専門としています。
昨今、発達障がいの子どもが小児科外来で散見されるようになりました。
別の病名で通院している子どもの中にも、
「健診で疑われ専門医にASD(自閉症スペクトラム)と診断された」
と報告する保護者も少なくありません。
そのようなお子さんを見ていると、ある程度想像のつく例から、えっこの子が?という例もいて、私自身にはとても診断できると思えません。

私が小児科医になった30数年前より、発達障がいの子どもは確実に増えているようです。
その原因についてはいろいろな説があり、まだ確定的なことはわかっていません。
私は晩婚化が一因ではないかとなんとなく感じています。

両親の年齢と子どもの発達
父親の高齢化が精子形成に与える影響を解明 - 加齢精子ヒストン修飾変化と子どもの神経発達障害のリスク-

それはさておき、小児科の中でも発達障がいを専門に診療している医師の間でも誤診(過剰診断・過小診断)が問題になっているという記事が目に留まりました。それほど微妙で複雑な問題である証拠かもしれません。

発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由
岩波 明 : 精神科医

岩波先生は、診断に困難さがある現状を報告しています。

・・・著名な精神科医や発達障害の専門医であっても誤診がまれではありません。例えば「うつ病と診断したけれども、発達障害だった」「ASDだと診断したが、本当はADHDだった」などということは、しばしば見られています。・・・多くの先生方には、発達障害の基本的な点が浸透していないように思えます。

その内容として、
・もともと発達障がいがあるが、全面にその二次障害としての別の症状が出ている例
・ASD(自閉症スペクトラム症)とADHD(注意欠陥多動症)に共通する症状を訴える例
・保護者からの虐待が引き金となって発症する「愛着障害」はASD/ADHDと似た症状を示すことがある
などを挙げています。

ADHDとASDの区別も、非常に曖昧で難しい面があります。ADHDなら多動・衝動性と不注意、ASDなら対人関係のトラブルとこだわりの症状など、それぞれ典型的な特性があるのは確かですが、臨床の場面では、両方を同時に示すようなケースにも頻繁に出合います。
例えば「話し出したら止まらない」のは、ADHDにもASDにも見られる症状です。ADHDの場合は「思いついたことを言わずにいられない」衝動性が原因であるのに対して、ASDの場合は「他人に対する無関心、配慮のなさ」が原因ですが、見かけの症状は同じなのです。

また、医師側の要因として、従来の発達障がいの専門家は重度の自閉症が主な対象でしたが、現在はASDよりも多いAHDHが中心になり、ちょっと勝手が違う、という要素が無きにしも非ず。

それから「グレーゾーン」の存在も無視できません。
ASDは自閉症スペクトラム症の翻訳ですが、“スペクトラム”とは一様ではなく“幅がある”“グラデーションで分布”することを指し、つまり典型例もいれば非典型もたくさんいて健康と病気の線引きが難しい病態であることを示しています。
さらに、「検査で診断できない」ことも要因です。
これらの疾患は「症状を数えて診断する」タイプであり、この検査で白黒がつくという便利な検査は存在しません。

発達障害も、発達障害という確定的な診断はつかないにしても、発達障害的な特性によって、日常生活に問題を抱えているケースがよくあります。・・・例えば、ADHDと断定はできないけれども落ち着きがなくて忘れ物が多い人、ASDと診断するほどではなくても空気が読めずに人の輪に入れない人などは、たくさんいます。
発達障害とそうでない人の間には明確な区別が存在しているわけではなく、さまざまなグラデーションが存在しています。そのため、「この一線を超えたら発達障害」という線引きは、医師ごと、病院ごとに委ねられています。ある病院では「発達障害でない」と言われ、別の病院では「発達障害だ」と言われるケースも少なくありません。
しかし、発達障害に限らず、ほとんどの精神科の疾患には数値で表せる明確な指標は存在していません。血液検査の数値など、なんらかの検査で白黒つけられるわけではないのです。

ですから情報量がモノを言います。
とくに幼児期の情報をいかに多く集められるかで左右される傾向があります。

現在の症状とこれまでの経過について多くの「情報」が手に入るなら、ほぼ間違いのない診断が下せると思います。しかし、それには本人の子ども時代にまでさかのぼって、話を聞かなくてはなりません。本人の記憶が曖昧なことも多いし、本人は「私は普通の子だった」と思っていても、周囲は「すごく変わった子だった」と思っているケースも多く、なかなか簡単なことではありません。
現実には、情報不足によりグレーゾーンとして扱わなければいけないケースであっても、情報がそろったことで、後になってから発達障害だと確定するケースがあることは、十分に考えられます。

このようにして診断にたどり着いた後は、治療へ移行します。
しかし発達障がいは“治る病気”ではありません。
うまくつき合い、社会生活を送れるように対応・調節していくことに尽きます。

発達障害は生まれつきのものですから、「治す」という言い方は適切ではありません。しかし、本人にその意志があるなら、日常生活で問題が起こらないように、問題となる部分をカバーすることは可能です。
それにはまず、自分の特性を理解することが大切です。さまざまなトラブルは、その自らの特性が原因で起きている、ということを知る。そのうえで、どうしたらトラブルを防げるか、具体的に考えていくことになります。

これはもう、ケースバイケースとしか言いようがありません。
しかし、「人の話を聞けない」「人の指示に従わない」性質を持つとやっかいです。

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