非定型抗精神病薬であるオランザピン(ジプレキサ®)は体重増加の副作用が有名な薬です。
そのメカニズムの一端が判明したという報告を紹介します。
「セロトニン2C受容体」への拮抗作用が原因とのこと。
■ オランザピン誘発性体重増加のメカニズム
(ケアネット:2017/09/13)
オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、過度な体重増加や2型糖尿病を誘発することがある。しかし、これらの薬物誘発性代謝異常の根底にあるメカニズムは、あまりわかっていない。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのCaleb C. Lord氏らは、オランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、動物実験により検討を行った。The Journal of clinical investigation誌オンライン版2017年8月14日号の報告。
本検討では、メスのC57BL/6マウスでオランザピン誘発性過食症および肥満を再現する実験モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・オランザピンは、マウスの食物摂取量を急増させ、耐糖能異常を引き起こし、身体活動およびエネルギー消費を変化させることが明らかとなった。
・オランザピン誘発性過食症および体重増加は、セロトニン2C受容体欠損マウスにおいて鈍化した。
・選択的セロトニン2C受容体アゴニストであるlorcaserinによる治療は、オランザピン誘発性過食症および体重増加を抑制することが示された。
・lorcaserinは、オランザピン投与マウスの耐糖能を改善させた。
著者らは「オランザピンは、セロトニン2C受容体への拮抗作用を介して、有害な代謝系副作用を発現することが示唆された」としている。
<原著論文>
・Lord CC, et al. J Clin Invest. 2017 Aug 14.
<参考記事>
・「オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学」(ケアネット:2016/03/17)
レプチンやアディポネクチンなどのアディポサイトカインや、エネルギー恒常性に重要な役割を果たす腫瘍壊死因子(TNF)-αが、体重増加のバイオマーカーとして考えられている。新潟大学の常山 暢人氏らは、レプチン、アディポネクチン、TNF-αのベースライン血漿中濃度がOLZ治療による体重増加を予測するかを検討し「ベースラインの血漿レプチン濃度は、女性統合失調症患者におけるOLZ治療後の体重増加に影響を及ぼす」とまとめている。
・「抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学」(ケアネット:2014/04/03)
抗精神病薬に誘発される代謝異常の管理はしばしば困難であり、これらを軽減するうえで薬剤の併用は理にかなっているとされている。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬誘発性の代謝異常に対する薬物療法の有効性を明らかにすることを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、各種薬剤の併用により体重増加およびその他の代謝異常の軽減が図られることが示され、なかでもメトホルミンは体重増加の軽減、インスリン抵抗性の改善、血清脂質の低下など代謝異常の是正に好ましい多彩な作用を示すことを報告した。
・「オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学」(ケアネット:2013/08/30)
オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。
そのメカニズムの一端が判明したという報告を紹介します。
「セロトニン2C受容体」への拮抗作用が原因とのこと。
■ オランザピン誘発性体重増加のメカニズム
(ケアネット:2017/09/13)
オランザピンなどの非定型抗精神病薬は、過度な体重増加や2型糖尿病を誘発することがある。しかし、これらの薬物誘発性代謝異常の根底にあるメカニズムは、あまりわかっていない。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのCaleb C. Lord氏らは、オランザピン誘発性代謝異常のメカニズムについて、動物実験により検討を行った。The Journal of clinical investigation誌オンライン版2017年8月14日号の報告。
本検討では、メスのC57BL/6マウスでオランザピン誘発性過食症および肥満を再現する実験モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・オランザピンは、マウスの食物摂取量を急増させ、耐糖能異常を引き起こし、身体活動およびエネルギー消費を変化させることが明らかとなった。
・オランザピン誘発性過食症および体重増加は、セロトニン2C受容体欠損マウスにおいて鈍化した。
・選択的セロトニン2C受容体アゴニストであるlorcaserinによる治療は、オランザピン誘発性過食症および体重増加を抑制することが示された。
・lorcaserinは、オランザピン投与マウスの耐糖能を改善させた。
著者らは「オランザピンは、セロトニン2C受容体への拮抗作用を介して、有害な代謝系副作用を発現することが示唆された」としている。
<原著論文>
・Lord CC, et al. J Clin Invest. 2017 Aug 14.
<参考記事>
・「オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学」(ケアネット:2016/03/17)
レプチンやアディポネクチンなどのアディポサイトカインや、エネルギー恒常性に重要な役割を果たす腫瘍壊死因子(TNF)-αが、体重増加のバイオマーカーとして考えられている。新潟大学の常山 暢人氏らは、レプチン、アディポネクチン、TNF-αのベースライン血漿中濃度がOLZ治療による体重増加を予測するかを検討し「ベースラインの血漿レプチン濃度は、女性統合失調症患者におけるOLZ治療後の体重増加に影響を及ぼす」とまとめている。
・「抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学」(ケアネット:2014/04/03)
抗精神病薬に誘発される代謝異常の管理はしばしば困難であり、これらを軽減するうえで薬剤の併用は理にかなっているとされている。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬誘発性の代謝異常に対する薬物療法の有効性を明らかにすることを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、各種薬剤の併用により体重増加およびその他の代謝異常の軽減が図られることが示され、なかでもメトホルミンは体重増加の軽減、インスリン抵抗性の改善、血清脂質の低下など代謝異常の是正に好ましい多彩な作用を示すことを報告した。
・「オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学」(ケアネット:2013/08/30)
オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。