BB交換でケイデンスが5rpmでも増すというのなら喜んで交換したいのですが、いくら調べてもそのようなデータが見当たりません。ホイール用では今話題となっているONIベアリングのJTEKTが色々とデータを出しているのですが、これはあくまでもホイールのハブ用のデータで、今年から発売されたBB用のものはごくわずかです。そして、最大の問題はその価格でした。ホイール前後の4個で何と12万円、BB用は6~7万円ほどだそうです。ONIベアリングはあくまでもベアリングのみの価格になります。
ちなみに、価格が180万円のSupersix EVO LAB71のBBはCeramicSpeed BSA for Shimano RoadのCoated Versionで価格は7万円ほどですから、ONIベアリングの価格の高さには驚かされます。メーカーのJTEKTは日本三大ベアリングメーカーの一つです。日本三大ベアリングメーカーとは日本精工とNTNにJTEKTの3社です。NTNのスチールベアリングは数百円なのに対し、JTEKTのセラミックベアリングは数万円もするのです。
確かにJTEKTは1984年に世界で初めてセラミックボール軸受を実用化した企業で、セラミックベアリングの技術は、超高速工作機械の主軸をはじめ、ロードレース世界選手権に参戦するモーターサイクルのエンジンクランク、パリ・ダカールラリーに出場する競技車両のハブベアリング、パソコンのハードディスク、風力発電機など幅広く生かされているとのことです。
これまでホイールのハブやBBといえば、CeramicSpeedやGOKISOが有名でしたが、今最も注目されているのがJTEKTのONIベアリングのようです。今後、幾つかのホイールメーカーやBBメーカーが採用する可能性は大いにありますが、価格はとんでもないことになるかもしれません。
セラミックベアリングは硬度が高いので、軸受けとの相性があります。CeramicSpeedと違いONIベアリングの内外輪は一般的な炭素鋼ではなくあえてサビに強いステンレス製を使い、保持器は樹脂製、内外輪の軌道のうち、玉が転がっていない部分に独自の潤滑装置を設け、そこから必要最低限のオイルを供給するシステムを採用しているとのことです。この潤滑状況と玉と玉受けの専用設計がONIベアリングの肝だそうです。昨年、初めてマトリックス・パワータグで1年間使用され、その結果がフィードバックされ、今年の発売となったとのことです。ちなみに10kmほどの登りで2%程度の時間短縮に繋がったという動画もありました。
通常のハブやBBでもグリスをオイルに替えれば回転性能は格段に上がりますが、粘度の少ないオイルを保持することは至難の業で、ほんどのメーカーがグリスを使わざるを得ないのが実情なのです。ちなみにセラミックとステンレスは相性が良く、潤滑剤が微量でも焼き付きにくいというので、この特殊な構造は特許出願中とのことです。
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