IT技術者のロードバイク日記に興味深い記事がありました。「ボトムブラケットによって生じる摩擦の大部分は、シールが60%とグリスが28%という内訳だ。たった2つの要素が摩擦損失の90%近くを支配している。ベアリングの摩擦の詳細な内訳(シェフラー(FAG / INA)社:ベアリングを構成する要素の摩擦抵抗割合)は以下のとおり。」として以下のグラフを掲載していたのです。
・シール:60%
・グリス:28%
・リテーナー抵抗:7%
・ボール変形:3%
・レース変形:2%
・シール:60%
・グリス:28%
・リテーナー抵抗:7%
・ボール変形:3%
・レース変形:2%
「この無負荷の実験では、ボトムブラケットの効率だけを評価している。寿命や耐久性に影響を及ぼす可能性のある、シールや潤滑剤の設計といった重要な機能は考慮されていない。粘度の高いグリスを使用すると寿命が長くなり、粘性抵抗が大きくなる。逆に、粘度の低いオイルは粘性抵抗を最小限に抑えるが、ベアリングの寿命を延ばすためには、メンテナンスを頻繁に行う必要がある。」というものです。ShimanoのBBでもグリスの量を減らせば、回転効率は上がるはずなのですが、そう単純なことでもないようです。ShimanoのBBには異物や水分を封じるための強固なシールが使われているからです。
BBで最も重要なのはボールの材質ではなく、BBの構造をどうするかで決まるようです。ボトムブラケットのパフォーマンスを最大にするためのアプローチとは、耐久性を備えつつも摩擦損失を小さくすることです。この相反する課題を克服したBBを探すのが理想なのです。
セラミックBBとひとことで言っても、RS500の5倍~10倍以上のものが色々とあります。基本ボールだけがセラミックでレールは鋼材という製品がほとんどです。また、セラミックボールにもランクがあり、いわばピンキリといった様相を呈しているのです。オールセラミックのベアリングもありますが、自転車に使われることは無いようです。
この記事を読む限り、筆者はNTN等の国産のスチールベアリングで十分と言い切っているのです。ご本人はシマノのBBにNTNのスチールベアリングを入れているというのです。シマノのBBはしっかりとしたシールが入っており、異物の侵入を防いでくれています。グリスもDURAグリースのような粘度が高いものがしっかりと入っているので、とにかく耐久性があるのですが、当然のことながら回転性能は最悪となります。
止まったバイクのクランクを回し、なかなか止まらないという映像を見ると、正直凄いなと感じてしまうものですが、実際にバイクに乗ってペダルを回す時には、自分の体重やタイヤの路面抵抗、ギアとチェーンの摩擦抵抗などが加わるので、実際に走っている時にクランクが空回りするのは急な下りだけでしょう。そこがホイールのハブのベアリングと違うとこころなのです。
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