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自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

新しい逃げの型(3)

2024-10-15 13:56:52 | プロ・ツール
 最適なタイミングで飛び出したとしても、一定以上の出力を維持する能力が無ければ、ワンデーレースで逃げ切ることは出来ません。アタックで脚を使い過ぎれば、出力が維持できずにつかまってしまいますし、アタックが緩くては後続を引き離せずに、これもすぐに捕まってしまうでしょう。
 競馬や競輪等でも「逃げ」という戦術はありますが、競馬でも最長距離が3600m、競輪なら2000m程度です。競馬の逃げは展開や馬場状態が大きく影響しますが、サイクルロードレースに比べ走る距離は数十分の一程度に過ぎないのです。平均速度も競馬の方が速いのですが、例えばサイクルロードレースのように200kmの距離ならどうでしょう。

 近年、サイクルロードレースの平均速度は時速40kmを越えています。そして、このレース速度が年々上がっているのです。パワーにして300W程度なので、プロ選手にとっては巡行速度といえるでしょう。
 ただ、40km/hで走行しているプロトン(集団)から逃げを決めようとすれば50km~60km/hという速度が必要になるので、必要とするパワーが一機に跳ね上がるわけです。プロトンが逃げを容認すれば少ないパワーで逃げられるのですが、アタック合戦が繰り広げられると、求められるパワーがより大きくなるのです。

 バイクやパーツ類、ウェアにヘルメットとエアロ化が進み、ただでさえレーススピードが上がっているのに加え、近年のレースでは序盤から激しいアタック合戦が起こり易く、レース序盤の平均速度が50km/hというレースも増えているのです。この状況から抜け出すのに脚を使えば、ゴール迄逃げ切ることなど不可能なのです。

 従って、この序盤の逃げが決まる事はほとんどありません。競馬ならサイレンススズカのように圧倒的なスピードで2000mを逃げ切るということもありましたが、走行距離が200kmにもなるサイクルロードレースでは、スピードの差だけで逃げ切るのは不可能なのです。最もスピードのあるスプリンター達はゴール前に脚を温存しますし、長い時間そのスピードを維持することは不可能なのです。10分ほどのタイム差はプロトンが本気で追えばほぼ捕まります。
 個人的にはこんな可能性の低い序盤からの逃げは勝つためのものではなく、選手やチームのアピールに過ぎないと思っています。有力な選手が逃げれば、プロトンは確実に追いますし、逃がしたとしてもタイム差は最小に留めます。それが出来るのがプロチームでありプロの選手なのですから。
 
 




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