今回、イル・ロンバルディアのレースを観て感じたことですが、ポガチャルとエヴェネプールの出力の違いでした。とにかく一発のアタックを決める時以外はポガチャルとエヴェネプールの出力に大きな差は無いということでした。ポガチャルはハイケイデンスで軽いギアを回すタイプで、エヴェネプールは空力の高いフォームで重いギアを踏むタイプです。
改めてポガチャルは優れたクライマーなのだと思いました。今年のツールでもプラトードベイユとガリビエの登坂記録を更新したのがその証でしょう。あの伝説のクライマーだったマルコ・パンターニの記録を塗り替えたのですから。
改めてポガチャルは優れたクライマーなのだと思いました。今年のツールでもプラトードベイユとガリビエの登坂記録を更新したのがその証でしょう。あの伝説のクライマーだったマルコ・パンターニの記録を塗り替えたのですから。
ポガチャルは乳酸除去能力が高いと言われていますが、ハイケイデンスで走る選手は元々心肺能力が高く、軽いギアで走るので脚への負担が少ないというのが常識になっています。その分心肺に係る負担が大きくなるのですが、同じ筋肉でも心筋は回復が早いという特徴があります。一度上がった心拍数も少し休めば下がるのです。一方、脚の筋肉は疲労は蓄積して行きますので、長い距離を走るサイクルロードレースでは脚への疲労は極力少なくすることが求められるのです。
イル・ロンバルディアのレースでポガチャルは残り48.5km地点で一発でアタックを決めます。この時のポガチャルの最大出力が930Wでした。エヴェネプールは無理に追いかけなかったのですが出力は610Wでタイム差が一機に開いて行きます。コルマ・ディ・ソルマノの頂上で1分ものリードを得たポガチャルは下りでも攻めますが、そこは技術で後続との差を広げて行きます。
エアロ効果が高いフォームのエヴェネプールですが、カーブの多い下りはスピードよりも技術の差がものをいい、ポガチャルとのタイム差は徐々に開いて行きました。下りでは負荷がかからず心肺機能を休ませることができるので、ポガチャルは身体を休ませながらも後続との差を広げて行ったのです。
カーブの少ない踏める下りなら、エヴェネプールの空力の高さや大きなギアがものをいうのですが、4年前にスピードオーバーで崖下へ転落しているコースでは慎重に下らざるを得ないのでしょう。2位でのゴール後、涙を見せていたエヴェネプールにとって、あの大落車を乗り越えたことへの感慨があふれ出していたのでしょう。
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