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世界的に有力なスプリンターが育っています。代表格が今年のジロでポイント賞に輝いたジョナサン・ミランでしょう。若干22歳のスプリンターがゴール前スプリントで見せたパワーが1940Wでした。速度は75.4km/hですから、まともなスプリント勝負ならフィリップセンやメルリールでも敵わない数値なのです。ただ、まだ若く登りに弱い面があるので、クラシックレースやツール・ド・フランスではゴール前に残るのがまだ厳しいのですが、リドル・トレックでマッズ・ピーダスンの後継者になるのは間違いなく彼でしょう。
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こうして続々と有力なスプリンターが育って来ると、ゴールスプリントで不利なチームは逃げや先行をせざるを得なくなるのです。加えて、有力なスプリンターを抱えるチームはそう多くありません。これには勝利数を稼ぐことのできるスプリンターの年俸が高くなりがちで、有力なチームでなければ強いスプリンターは確保できないという財政的な事情があるのです。また、チーム編成が総合系かスプリンター系で分かれることも多いというのもあるでしょう。従って、有力なスプリンターは財政力のあるスプリンター系のチームへ集まる傾向が強いのです。今回のJCではリドル・トレックでしたが、グランツールではフリップセンとカーデングローブスを擁するアルペシン・デュクーニンクがその代表格でしょう。
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こうしたチームが平坦ステージでトレインを組むと10分ほどのタイム差は簡単に縮まってしまうので、レース序盤から揺さぶるアタック合戦が繰り広げされるのは当然のことでしょう。ただ、以前は10分程度の大逃げが容認されることが多かったのですが、近年のロードレースはエアロ化が進み平均速度も年々上がって来ていて、有力なスプリンターを抱えるチームは早目に追いかけるようになり、ステージレースでも大きなタイム差が与えられるケースが激減しているのです。
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その一方でポガチャルやファンデルプールのようにクラシックレースで単独の大逃げを決める選手も出てきているのです。そこにさほど有力なチームではないEFエデュケーション・イージーポストというチームのさして有力と見られていなかったニールソン・パウレスがグラン・ピエモンテで14秒という微妙なタイム差を保ちながら逃げ切るという勝利を目にして、逃げの型が大きく変わって来ているのだなあと実感させられたのです。
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前日に行われたクリテリウムでもスタート直後から飛び出していたパウレスは何かを試しているような感じでした。本人も最後まで逃げ切ることは考えていなかったと思います。単独でどこまで行けるか試してみようと考えていたのかもしれません。これは、これからは逃げが重要になるという意識が彼の中にあるからだと思っています。まさにポガチャルがそうであるように、100kmからのアタックでもタイミングと後続の状況次第で逃げ切れることを証明して見せたのですから。
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パウレスも前半からシュタインハウザーを逃げに送り込み、速いペースを刻み続け、追走集団の数を減らし、選手の脚を削って行きます。残り6周回目でアタックするもウッズ等が食らいつき、最後は5名の駆け引きになってしまいました。まあ、このコースでは仕方がない展開ではあるのですが、ベテランのモホリッチの知恵も借り、スーダル・クイックステップの二人の仕掛けを阻止し、早目のスプリントに持ち込んでの勝利は立派です。
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こうした早目の仕掛けにスプリンターは弱いということをポガチャルは明らかに理解して動いているように見えます。単純なパワー勝負で勝てないのなら持久戦に持ち込んで勝つという考えがあるはずです。おそらく、ポガチャルのこうしたアタックに対応できるとしたらワウト・ファンアールトくらいではないでしょうか?レムコ・エヴェネプールが今後どのように成長してくるかにもよりますが、どちらかというと完成度の高い選手なので今年以上に成長できるかが課題でしょう。
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