一方、神童レムコにロードレースで対峙することになるポガチャルはマイヨジョーヌを3度、マリアローザは1度手にしているステージレーサーですが、ワンデイレースでも強さを見せる怪物です。クラシックレースのモニュメントも残すのはミラノサンレモとパリルーベだけ。ブエルタでマイヨロホを手にし、残りのモニュメントを征したらエディ・メルクスに並ぶ大記録に肩を並べることになるのです。
レムコの2歳上のポガチャルは19歳の時にツール・ド・ラヴニールを征し、20歳でUAEチームエミレーツへ加入しています。同年ブエルタは初出場で総合3位になり、翌年にはツール・ド・フランスを征してしまうのです。
ポガチャルはもともとは優れたクライマーで、上り坂で他の選手に差をつけられるのが最大の強みで、かつ非常にタフでクレバーな選手です。出場したレースでのKOM(登坂のセグメントを1位通過)を記録してしまうレベルのクライマーで、今年のツールでもガリビエとプラトードベイユの登坂記録を更新しているのです。
最初はこの登坂能力の高さでステージレースを勝ちまくっていたポガチャルですが、2021年のツールでは最後の個人TTでログリッジを逆転するまでに成長を見せています。そのTT能力は年々向上し、今年はジロでガンナを、ツールではレムコを負かしているのです(共に1勝1敗ですが)。
ポガチャルはクレバーで自分の欠点を知り、それを修正する能力が非常に高い選手です。若くしてツールを連覇したものの、2022年のツールではユンボ・ヴィスマの徹底的な攻撃に合い、ヴィンゲゴーに敗れ3連覇は阻まれてしまいます。翌年は怪我の影響もありヴィンゲゴーに連敗。こうして弱点を見せることになったポガチャルですが、今年はそれも修正し、ジロとツールのWツールを達成しているのです。
今年のツールでレムコと初対戦になりましたが、レムコが骨折明けということもあり、ポガチャルの貫録勝ちという印象でした。最初の個人TTではレムコに敗れたものの、山岳での強さは別格でした。小柄なレムコもブエルタで総合優勝しているように登りもこなせる選手ですが、空力を活かして走るタイプなので、速度域が落ちる登りではパワーウェイトレシオで勝るポガチャルの強さが圧倒的でした。そしてそのパワーが年々増しているのですからまさに怪物といえるでしょう。
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