ただ、ワンデーレースではほぼ互角の対戦成績なのでポガチャルが勝つとは言い切れないのですが、今年のポガチャルの強さは別格です。今季初戦となったストラーデビアンケでは80kmもの独走勝利、ミラノ~サンレモではスプリントに持ち込まれながらフィリップセンンと微差の3位、前年は落車骨折の憂き目にあったリエージュ~バストーニュ~リエージュでリベンジを果たすと、初参戦となるジロを圧勝。ビッグ4対決と言われていたツールもポガチャルの圧勝でした。
ツールの後は流石に疲労の色が濃く間隔が空いてしまった影響か、久々のレースとなったグランプリ・シクリスト・ド・ケベックでは7位と初めて今季表彰台を逃してしまいます。これはポガチャル自身が口にしていたように戦術ミスだったようです。調子が悪く無いことは次のグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルでは勝利しているのを見ても明らかです。
平坦基調だったグランプリ・シクリスト・ド・ケベックに対し勝利したグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルは獲得標高が4,573mと今回の世界選手権の世界選手権のコースに近いのです。おそらくスプリンターには厳しいコースになるため、登りに強くTTもこなせるオールラウンダー向きで、ポガチャルやエヴェネプールにログリッジといった選手に優利なコースのはず。しかも、ポガチャルとログリッジは同国でチームメイトなのですからポガチャル優利と考えるのが一般的だと思います。
ただ、モホリッチがグラベルのレース中に落車し、世界戦を辞退しているのが気がかりではあります。今回はここまでポガチャルを強力にアシストしてきたUAEのメンバーがライバルになってしまうからです。レムコにとってもワウト・ファンアールトの離脱がありますから条件としてはレムコの方が悪いのかもしれません。
対レムコを考えた時、今回のようなアップダウンの多いコースはポガチャル向きだと思っています。レムコのスピードは空力の高いフォームによるものなので、こうしたアップダウンでペースが一定しない状況では活かし辛いと考えているからです。
また、現状のレムコでは登りで離されると下りで追いつくことが技術的に難しいということもあります。以前ほどではありませんが、レムコが下りがあまり上手くないのです。おそらく彼のフォームによるものなのでしょう。平地や緩斜面ではレムコのスピードは天下一品なのですが、登りや下りではそのスピードが活かしきれないのが現状なのです。
今年3大ツールを征したのは全てソロべニアの選手でした。そう、ポガチャルとログリッジです。この二人が顔を揃える以上、スロベニアも国として本気で世界選手権を狙っているということでしょう。過去にもこの二人が顔を揃えた大会がありましたが、ログリッジは6位に終わっています。積極的にアタックしたポガチャルは大敗することになりました。2020年のことです。
ただ、この年のポガチャルはツールの総合優勝を飾ったものの、新型コロナの影響でツールが8月開催となり、世界選手権との間に1週間しかなかったこと、ポガチャルが未完成だったことで、致し方ない結果だと思っています。この頃のポガチャルと今のポガチャルではパワーが大きく違うのです。未完成な状況でツールを連覇してしまった結果、そこをユンボ・ヴィスマに衝かれ、ヴィンゲゴーに敗れることになるのですが、今年のポガチャルは別物です。
今年の世界選手権はポガチャルが征し、エディ・メルクスの記録にまた並ぶことになると思っています。ログリッジがどんな働きをするのかは不明ですが、ツールでは力の差を感じているはずなので、今回はアシストに徹するはずだと思っています。
いよいよ今夜からエリートのロードレースが始まります。今夜は女子、そして明日の夜が男子です。オリンピックチャンピオンのレムコとWツールを達成したポガチャルのワンデーレース対決に注目です。
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