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ポガチャルがトリプルクラウンを達成

2024-09-30 11:55:37 | プロ・ツール
  またポガチャルがエディ・メルクスの偉大な記録に並びました。これまで5度の挑戦で最高が昨年の3位だった世界選手権で初のアルカンシェルに袖を通すことになったのです。個人的には最終周回の少し前(ゴール前30km)でアタックするのではと予想していたのですが、驚くことに5週回目の100km以上を残してプロトンから飛び出したのです。

 流石にこれは早過ぎると誰もが思ったに違いありません。81kmの独走を決めたストラーデビアンケでも驚かされましたが、あの時とはメンバーが違い過ぎます。アルカンシェルのファンデルプールにオリンピック2冠のエヴェネプールが強力なアシストを従えているのですから。
 レース後のインタビューで自ら「クレイジー」と口にしていたように、誰もがそう思ったはずです。ただ、ポガチャルが本当に「クレイジー」だと思っていたかは別だと思っています。というのも、ポガチャルには彼なりの理由があって飛び出したことは間違いないからです。
 残り距離が短く成れば成るほどアタックが決まる確率は低くなりますし、前には逃げに乗っているヤン・トラトニクがいました。単独逃げではなく、まずはトラトニクのいる集団まで行こうというのがポガチャルの作戦だったはずです。トラトニクは逃げ集団から敢えて遅れポガチャルを待ちます。
 一方、プロトンにはブエルタチャンピオンのログリッジが残っているので、レムコもマチューも動くに動けない。まだ、距離もあるので行かせても大丈夫という気持ちもあったはずです。マチューはアシスト7枚、レムコも5枚残していたのですから。
 トラトニクのアシストを得て逃げ集団に入ったポガチャルは、一旦、脚を休めることができました。逃げ集団に追いつく迄までポガチャルも先頭を牽くシーンもありましたから、目的は逃げに乗ることだったはずです。そしてプロトンとのタイム差を見ながら、逃げ集団を見事にコントロールして行きます。
 プロトンが活性化し、タイム差が詰まってくると、トラトニクに先頭を牽かせ、トラトニックが役割を終えたタイミングで、ポガチャルがアタックを開始しました。それも、集団をバラバラにするようなものではなく、スピードを上げながら集団の数を減らすことでした。残り78km地点のことです。

 結局、ポガチャルのアタックに残ったのはチームメイトのパベル・シバコフだけとなってしまいましたが、ポガチャルが本気でアタックしていたら、シバコフも千切れていたはずです。これは千切れなかったのではなく、敢えて千切らなかったのだと考えられます。フランス代表のシバコフですが、上手く強調して二人で逃げ続けます。この辺りはチームメイトなので当然のことなのかもしれません。
 プロトンというよりも追走集団となった後方の人数は16名まで絞られ、ファンデルプールが自ら積極的にペースを作ります。その中にはエヴェネプールがアシストであるマキシム・ファンヒルスと共に入り、ライバルたちに追走の協力を要請するという展開になりますが、意思統一が出来ずにポガチャルとのタイム差がなかなか縮まりません。

 おそらく、ポガチャルはそこまで計算していたのでしょう。前日の女子のレースでもオランダのデミ・フォレリングが苛立ちながら協調を呼びかけましたが、上手く行かず、結局、オランダ勢は表彰台すら逃してしまっているのです。この日のレムコも同様でした。本気で勝つつもりなら自ら仕掛けるポガチャルのような姿勢が必要なのかもしれません。ロードレースでは駆け引きが重要と言われていますが、ポガチャルの攻撃的な姿勢はそんなことすらあざ笑うかのようでした。
 これまでポガチャルのアタックは誰の追走も許さないものでしたが、今回の世界選手権では敢えて相手を無理に引き離さないものだったようです。それでも残り51kmでシバコフが力尽きてからは単独逃げになってしまいます。ここからは手に汗を握る展開でしたが、結局、後続が協調出来ず、わずか34秒差での逃げ切りに成功しました。

 これまでのポガチャルの勝利の中で最も厳しいレースだったように見えましたが、冷静にタイム差を見ながら走っていたのが印象的でした。ポガチャルにしては珍しく何度も後ろを振り返っていたので、流石に脚はいっぱいだったのだと思います。後ろがもっと強調出来ていたら結果は変わっていたのかもしれないのです。
 ジロのマリアローザとツールのマイヨジョーヌに世界選手権のアルカンシェルを加え、1987年のステファン・ロッシュ以来37年振りとなるトリプルクラウンを達成したポガチャル。来年の最大の目標はアルカンシェルを着てのミラノ~サンレモの勝利になるでしょう。このモニュメントも4度の挑戦で昨年の3位が最高という難関レースですが、今の調子ならモニュメントの完全制覇も時間の問題でしょう。
 




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