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世界選手権で観たポガチャルの強さ(1)

2024-10-01 12:50:18 | プロ・ツール
 ステファン・ロッシュ以来37年ぶりとなるトリプルクラウンを成し遂げたタディ・ポガチャル。全長273kmで獲得標高差は4,470mという難コースを100km以上を残した時点でプロトンを飛び出したポガチャル。ストラーデビアンケでも81kmの独走を見せたポガチャルですが、流石に今回のメンバーでこのタイミングは早過ぎと誰もが思ったことでしょう。
 ポガチャル自身も「クレイジー」と評したこのタイミングでの仕掛けに勝算があったとは思えません。ある意味ギャンブルに近い仕掛けだったのではないでしょうか?国を代表して勝つことを求められた大会で、本人のプレッシャーは並大抵のものではなかったはずなのです。
 加えて過去に5度参戦し、18位、33位、37位19位で昨年の3位が最高というポガチャルにとっては決して相性が良い大会ではなかったはずです。過去にも果敢なアタックを見せるも、国別対抗戦の世界選手権ではなかなか勝負に持ち込めませんでした。今回は久々にログリッジの参戦があり、ポガチャルにとっては強力な援軍になったのかもしれませんが、直前にモホリッチの怪我等もありポガチャルにとっては厳しい戦いになるのは間違いありませんでした。

 逃げが生まれ、タイム差が5分を越える状況で、スロベニアはベルギーと共に懸命に追いますが、タイム差は2分台からなかなか縮まりませんでした。最初に逃げたメンバーはともかく、ジェイ・ヴァインの動きをキッカケに形成された10名の追走集団が先頭に合流した段階で、このままでは厳しいと直感したのでしょう。

 このままアタック合戦に飲み込まれても脚を消耗させるだけで、追走した10名にヤン・トラトニクがいて、プロトンにはログリッジがいるという状況。ここで仕掛けてトラトニクに合流できればチャンスが生まれる。エヴェネプールもファンデルプールもブエルタを4度征しているログリッジがいるプロトンからも目が離せないはず。そう直感したポガチャルの動きはギャンブルに近い「クレイジー」なものだったのかもしれませんが、そこはポガチャルの勝負勘の良さと強いメンタルが背中を押し、勝利への細い糸を手繰り寄せることになるのです。
 

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