遊戯三昧

いかに人生を楽しんだかという進行形の記録です。

粋ということ

2017年03月01日 | 自分
先日、とある料理店に行った時の話。

そこはカウンター形式の和食店で、名前を出せば知っている人も少なくないと思われる。
ちょっと早めに行ったので、まだ客は誰もいなかった。
早くスタートし、早く終了しようと考えて、小瓶のビールを注文し、料理を開始してもらった(あらかじめコース料理が予約されていた。)。

          *

一品目が終わったころに、一人の老人が入ってきた。
2階席での宴会に参加するようだったが、常連客らしくいきなりカウンターそばのテーブルに座り、大将を横に呼び出し、その店で企画している落語会のチラシについていろいろ言い出した。
いわく「こんなチラシではみすぼらしい。」
   「○○という落語家の名前を聞いてどれくらいの人間が知っていると思うのか。」
ということをくどくどと繰り返し、そのチラシにああでもないこうでもないと書き入れだした。
   「どうせなら『江戸の街に云々』というフレーズにしたらいい。」
などとも言ったが、その内容は噴飯ものであった。

          *

その店は大将とその奥さんがきりもみをしている。
料理場からは何か焼いているのか、チリチリという音も聞こえてくる。
おそらくは私への料理だろう。
15分くらい大将は捕まっていただろうか。
その間、大将はその客越しに私に申し訳ないというような目くばせをしていた。
ひとしきりの講釈が終わって、2階の宴席にのぼっていった。

無粋極まりない。

          *

私には何人かの反面教師がいる。
仕事上行き詰ったときなどに、あの人物だったらどうするだろうと考え、その逆のことをするのだ。
そうすると大体がうまくいく。
今回も反面教師が一人加わった。

          *

2階に上がってからも、話があるから来いと言っていると奥さんが困った顔をして大将に知らせていた。
しかし、さすがに大将はそれを無視するように、粛々と自分の仕事をしていた。

toko
コメント
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