『 赤 』 と 『 緑 』
8月に入り、先週までオール 35℃ 以上の猛暑日が続き、頭も体も夏休みでした。その中で、“リオ五輪”は前評判に反し、素晴らしかった。 日本選手の活躍もさることながら、目についたのは、『赤』・『緑』・『黄』の原色です。
各国の国旗がはためき、躍動する黒人、南国の意匠、実にカラフルである。 当方、ここ数年夢中で追っかけた 「大同コレクション」 の “アフリカンプリント”が重なりました。強烈な太陽のもとに、『赤』『緑』『黄』の原色が映える色彩に感動させられた。
京都工芸繊維大学の上田先生が 7月 カナダのアルバータ大学での講演で、「大同コレクション」を紹介され、京都から素晴らしい「アフリカンプリント」を大量に輸出していた と発表されると、驚きの声が上がったそうです。 日本の穏やかな気候風土、とりわけ雅やかな京都の意匠と アフリカへ向けて開発した原色の強烈な意匠とが、カナダのデザイン研究者には、結びつかなかったのが わかるような気がします。
さて、先日 赤と緑 について、生物学者(福岡伸一)の面白い話が朝日新聞に載っていたので紹介します。
赤と緑。正反対に見えるこの2色はきわめて近い色なのだ。化学構造で見るとそっくりである。 赤と緑の色素は、同じ構造を持つ分子(ポリフィリン環)の中心にある金属イオンが、「鉄」か「マグネシウム」かという点が違う。 だから物理学的にいうと、赤色から反射される光と緑色から反射される光は互いにきわめて似た光になる。
霊長類以外の哺乳類、たとえば ネコ や イヌはこの光がどちらも同じように見える。つまり赤色と緑色を区別できない。そのかわり彼らは暗がりでも エサ を見つけたり、敵や味方を区別できたり、明暗の感度が高い眼を持っている。
どうして霊長類は、わずかな光の差を見分け、そこに赤と緑という大きな色の違いを知覚できるようになったのか。 それは彼らがすみかとした森の環境と関係している。 折り重なる緑の枝葉の中から、赤い木の実や熟した果実を素早く見つけることが、生存の上で有利に働いた。あるいは個体間のコミュニケーションが発達するにつれ、顔色の微妙な変化を読めることが役立ったのかもしれない。
かくして我々人間は、今日、カラフルな世界を享受し、芸術やファッションを楽しむことができるのである。・・・・・・・・・・・・
東山十条 86
私も大同に入る前は京都でこの会社がアフリカンプリントを造っているとは信じられませんでした。知ったのは暫くしてからでした。