今日は3ヵ月ごとの歯のメンテナンス。治療と違っていきなり「痛い!」なんてことないし、歯科衛生士の女性が説明しながら優しく丁寧にやってくださるから、治療台でもリラックスしている。
最終チェックは担当医が行うが、長い間担当して下さっていたA子先生が他の場所に開院したため、1年ほど前から弟のM君に変わった。定期的メンテナンスの効果かまだ治療は受けたことないが、口の辺りだけくり抜かれたフェイスカバーの狭いスペースの中で、一部分だけがクローズアップされた部分が、M先生にこねくり回されていると思うと、年甲斐もなく恥ずかしくなってしまうのが毎度のこと。
かれこれ27~28年ほど前、山仲間T氏、K子ちゃんと3人で奥穂高登山に行った時、かつてラジオで「ぎゅうぎゅうの山小屋で隣に寝るのは“若きイケメン”と“むさくるしい親父”のどっちがいいか」という、若い山ガールの投稿を耳にしたのを思い出し、K子ちゃんに聞いてみた。
「そりゃぁ、若きイケメンでしょ!」と彼女は即答。
女優さんですか? と問われるほどの美人で、自分でもそれを承知しているフシがあるK子ちゃんだ、若きイケメンを逆にドキドキさせてしまうかもしれない。あっけらかんとしたものだ。
人に聞いておきながら、自分に自信のない私は、若きイケメンに無防備な寝顔を見られたら恥ずかしいとか、だからってむさくるしい親父とくっつくのも嫌だとか、答えは出なかった。
そしてその夜。
山小屋はとんでもない混みようで、頭と足の位置を交互にして、1枚の布団に3人が寝るという凄まじさだった。端から順番の流れで知らない男性二人と1枚の布団を分け合う形になり、ちょっとでも身体を動かすと数cmのスペースさえ隣の男性に奪われてしまう過酷さだった。
で、隣の男性だが、疲れきった身体を1分でも早く横にして明日に備えなくてはならない、何より寝場所を確保するのが先決と、隣に来た男性の品定め(?)など考えもしなかった、出来るはずもなかったというのがホントのところ。
M先生のチェックを受けていると、なぜかその時のことが思い出される。
“若きイケメン”と“むさくるしい親父”とどっちがいい?
今なら言える、「そりゃぁ、若きイケメンでしょ!」