木陰の椅子

「シニア夫婦二人暮らしのつれづれ」から「一人ぼっちのつれづれ」に。明日も良い日にするために頑張りたいなと思います。

その前夜…

2022-10-30 | 夫婦二人暮らし

ブログにアップできなかった、その前夜8月21日夜の日記。

生まれて75年、折々に様々な“章”がスタートしてきた。

社会人になった、結婚した、母になった…などなど。

互いに再婚の伴侶殿と私、結婚してからの21年を新天地でつれづれに過ごしてきたが、明日から21年ぶりに新しい章へと更新する。

6年前から闘病中の伴侶殿が、激痛で動けなくなり緊急入院したのは先月19日。病気発覚以来、様々な痛みに耐えてきた伴侶殿だが、先月の状況は今までにないものだった。

そして1ヵ月超の入院治療を終えて、明日退院する。

その激痛から解き放たれての退院だが代償は大きく、酸素吸入器をつけ、おしっこの管が入り、何よりも身体の自由を失ってしまって、自力では歩くことも座ることもできなくなってしまった。強い痛み止めで朦朧とした数日が過ぎると、1日2回のリハビリを一生懸命頑張り、支えてもらえば立ち上がれるまでにはなったが…。

そんな状況だが、明日から自宅で過ごす。
医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、介護用品レンタル業者、緩和ケア診療所の医師・看護師さん…たくさんの方々の応援を頂きながら。
そうそう、わすれてはいけない、次男のお嫁さんが新潟からしばらくの間お手伝いに来てくれると連絡があったのを。

入院の2~3日前までは短時間ながら畑仕事を楽しんでいたのに、病気って本当に怖い。
でも病気発覚以来の伴侶殿の頑張りは、家族のみならず、友人知人、お世話になっている病院関係の方々など、彼の闘病を知る皆さんが誉めて下さる意欲的で辛抱強いもの。
その頑張りに私も応えたい。大変さを分かち合いたい。

痛みから解放された今、身体は不自由でも夫婦二人で過ごせる時間はかけがえの無いもの。
周りの方たちの力を借りながら、静かに過ごしたい。

明日から新しい章が始まる。

二人で力を合わせてスタートするはずだった“新しい章”は、1文字の記入もなく白紙のままになっている。

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大賑わいのなかの静かな旅立ち。

2022-10-21 | つれづれに

「ねぇ、今夜は何食べたい?」

「ねぇねぇ、〇〇ちゃんがおじちゃんにって、ミカンを持ってきてくれたわよ!」

「いよいよ秋本番、神社の大ケヤキがちょっと赤くなってきたね」

「おはよう、今日も頑張ろう」から「おやすみ、また明日ね」まで、1日にいったい何回話かけているだろう。

声に出さない問いかけを入れたら、何回も何十回も何百回も話しかけているのに、夫からの返事は1度だってない。

8月22日、退院したその夜、夫は旅立った。

息子たちや孫たちとの夕食時、器の音や孫娘たちのかわいらしい笑い声、そして1日中忙しく立ち働いていた私がようやく食卓につき、カレーライスを口にした大賑わいの中で、静かに……。

そして2ヵ月。

最後に聴いた夫の声「ただいま!」を糧に、やらねばならないことをするだけのことに身体を動かしている。

 

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