(絵は関係ありません)
台風とインターネット
今朝
カーテンをあけると
いぶし銀の空に
毛糸のようなほっそりとした
青空が
とおくの
とある街のように
ぼくをながめている
ときどき黒いけむりのような雲が
エキスプレスのように
ノンストップで通過してゆく
熱い海のうえには
目を剥いて北への旅に出発した
台風がうまれた
彼女が目にみえたなら
メデューサの髪の毛が
逆立って
猛スピードでさかまいているのが
この目にみえるのだろう
進駐軍というアメリカの占領軍が
この国を占領していたころの話
台風に
女の名をつけていた
ジェーン、キティー、などは
猛烈な勢力で
列島を横断したり縦断したりで
おおいに
荒れた
今は番号をつけて
台風15号 16号 とよんでいるが
おおいに荒れるのはかわらない
気象衛星がとらえる映像は
大昔の台風もいまの台風も
同じ形をしているのだろう
昨日 吹きつぶされた
窓辺のヨシズを
ボソボソ かたずけていて
ふと思った
こんな些細な被害なら
どうっていうこともないけれど
家がひっくり返ったりしたら
ノアの方舟にも乗り遅れて
天国か地獄か
どちらかに
メールみたいに
転送されるのだろうなあと
そんな時は
インターネットが
故障してくれるといいのだが
故障してほしくない時には
故障して
故障してほしい時には
故障しないのが
インターネットというものだ