正常と異常
ふと
目を閉じたら
部屋らしいものが見えた
天井はうす墨色でぼかしが効いていて
高さはわからない
窓はないが
なぜかほんのりと明るいのである
畳を敷きつめた和室
目を開けたら
抽象的にいえば
縦と横の線でできている世界だ
具体的にいえば
モノたちがそれぞれの位置を主張しているから
これ以上どうにもならない世界だ
シンフォニィーのようにうつくしくはないが
こわせない
怖気づいていた正常が
さかんに部屋をはしりだした
異常は落ち着いて
その正常を見ていた
両者の境界線は
みあたらない