大樹
その大きな樹に
手を振れている人
少し離れてしげしげとみつめる人
狂ったようにクルクル回る人
名前は付けないでおこう
とにかく大樹とのみよぼう
もっと離れてどんどん離れて
遠くからながめよう
廻りの樹々をはるかにこえて
天空にはりついている
えゝ
天までとどいているようにみえる
でも、かすかに風にゆれている
あゝ
割合柔軟なのだ
おゝ
いま数百羽の雀がやってきた
びくともしない大樹
雀の合唱コンクール
その夜台風が通過していった
夜明けの茜色の空に
大きな影絵
それから
さわやかなコンサート
大樹がはじまる
デモっているひとも
デモられているひとも
聴きにおいでよ
この音楽を
方向を考えるには
もってこいのホールだのに