居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

ここはオオゾラ

2011-09-13 18:59:39 | 絵とポエム

ここはオオゾラ

 

ここは

オオゾラ

わたしは

カザグルマ

いつもいつも

やさしいかぜばかりが

ふいてくれるとはかぎらない

 

ときには

どこまでも

ふきとばされてしまつたこともある

 

それでもじっとがまんして

まっています

やさしいかぜを

 

ときどきはらがたつこともあり

かおいろがいろいろのいろになり

みにくいかおだとはやされます

 

みにくいとかうつくしいとか

それは意識か感情か                                                 

いましらべているのです

 

けれどもいろいろ意見があって

それはさっぱりわからない

だからわたしは

フーガのように にげないで

せつないけれども

ふるえながら アドリヴで

さかまくかぜをよびよせて

全力挙げて回転する

それが

わたしのやりかたです

 

 


場面

2011-09-13 18:45:05 | 絵とポエム

場面

 

それは

ちいさなランプひとつの

あかりの部屋で

みんなが認める

ひろがりのない

ちいさなかたまりのようなもの

 

それを

こころでだきしめれば

だきしめるほど

たよりなくなっていって

みんなしんじられなくなって

ぽんぽんと 

そこらじゅうに

ほうりだす

 

ちいさなかたまりのようなもの

みんながしんじないと

それはそんざいしないものになって

みむきもしない真珠の指輪だ

 

天狗の赤い鼻だって

人参であったとしても

みんながしんじたら

天狗の赤い鼻の

そんざいがうまれる

 

そうなると

そのひとやものごとを

みんながしんじると

そのひとやものごとが

そんざいすることになる

 

ナイト&デー

びりびり

そんざいにしかられている犬

ほえても

そんざいは

知らぬ顔の半兵衛だ

 

 

 

 

 


ランナー

2011-09-13 18:39:20 | 絵とポエム

ランナー

 

ひとりぼっちのお部屋から

ひとりぼっちで飛び出して

ひとりぼっちで走るランナーよ

ひとりぼっちは暮らしにくいか

ひとりぼっちという言葉

なんだかそこらにありふれて

いまはみんながそうなのか

 

いえいえそうではありませぬ

むかしもいまも いたりいなかったりしています

ひとりぼっちはたくさんいても

ひとりぼっちだからめだちませぬ

だからひとりではしりだすと

アスリ-トででもないかぎり

ひとめにひっかかってしまいます

 

汗を流して気張って走る

かおまでゆがめてけんめいに

どこへゆくのかわからぬけれど

走ればそのうちどこかにいたる

そんなたよりのないことですが

とにかくいまは走っています

 

ひとりぼっちのお部屋から

ひとりぼっちで飛び出して

ひとりぼっちのランナーは

そのうちきっと美しい

花の国へと走りつき

浦島太郎になりまする

 

 

 

 

 

 

 


アンナ

2011-09-13 15:53:20 | 絵とポエム

アンナ

そう呼んでいた

いつも午前0時に

こっそりと

部屋のガラス窓を

気ずかいもなく

ガラガラと

音を立てて

おかえりだったね

 

アンナ

おまえはだれにもなつかずに

一人住まいの麗人のように

おもいっきり重い荷を背にしていたのか

 

そしてその荷を隠すことで

生きがいを喰いものにして

ほとんど厚みのない塀のうえを

いつも気をくばりながら

曲芸師のように通り道にしていたね

 

おれは しっていたよ

どういう重さの荷だったのかを

それは 人間の通り道にも

デン といすわっていたんだ

心とか そういった種類のもので

目に見えない 大きな山のようなもので

数えきれない木が生えていて

とおせんぼうをするんだ

 

アンナ

いつからかおまえのすがたはみえなくなった

定刻にも もどってこなくなった

でも

時々だけれど 

ガラス窓がきしむ音がする

 

 

 

 

 

 

 


カラスウリ

2011-09-13 15:24:55 | 絵とポエム

 

 カラスウリ

 

少年は 

さがしていた

森と 複雑と 不気味とに耐えながら

少年は

発見の興奮を

こころにえがきながら

ウコン色の

ちいさなキツネノマクラを

さがしていた

 

それは

彼にとっては

輝く宝石だった

 

夜だけ咲く花の実を

やっとみつけて

あくる日

学校へもっていく

あっという間に

宝石は友から友へと運ばれて

行方不明になるのが運命だった

 

でも それは

少年にとっても運命だった

 

いつしか少年は運命なんか

わすれはてた

 

そして

老年になっておもいだし

いつのまにかできあがっていた

カラスウリのながい行列を

夜ごと夢のなかで

見はじめた

 

 

 

 

 

 

 


渚と坂

2011-09-12 15:39:57 | 絵とポエム

  

 

渚と坂

                       

  渚

  渚

  渚は暗いか 明るいか

  渚の色はどんな色

  

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  ペラペラぺラと

  紙の音

  それとも

  せいたかあわだちそう

  

  渚はいつもぬれている

  傷んだ心のやり場かな

  ほんにほとほとしたたって

  助けてほしいとささやいて

  もういらないと沈みゆく

 

  変なものだね

  渚とは

  それでもほしいという人は

  こっそりお家にもちかえり

  ベッドでこっそり眺めては

  愛おしそうになでている

 

  ヒーリングのコントラバス

  みたいな音色のやさしさよ

  虜になってはなりませぬ

  

  どんなに寂しく思っても

  てばなさないで

  ころがして

  なんとか坂を登りましょ