居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

うねる

2012-09-10 18:21:16 | ポエム

うねる

 

うねるのは

青い海か

液体だけがうねるのか

歌ごころもずいぶんうねって

そのはてにきえいってしまった深夜

CDをやたらにボリュームあげていたら

寝ている児を起こすから

MAXからMINにしたらきえてしまった

小さな音はうねらないのだ

裏のマンションの建設現場は

朝から夕方まで雑音をうねらせて

鉄とコンクリートのハウスをつみあげる

すると天文学者の言うように

空間がうねったようになって

窓の空はきえる

ドラゴンのように

そらがずっと天のほうにのぼっていって

あん畜生

高低差は

うねりもせず

継続する

 

 

 

 


ボタン

2012-09-08 15:59:23 | ポエム

ボタン

 

真っ赤な小さいボタンがおちていた

真っ白の舗道のうえに

 

紅白はいろいろの状況をつくる

源氏物語と平家物語?

祝賀会のマンマク?

白鳥と火の鳥?

 

みためには白黒とちがうけれど

なかみはおなじだ

黒白か紅白か

どちらかといえば生存の鉄則

雌雄を決するという意味がある

 

そんな事詰らないから

いっそうのこと

青い大空のような

だだっぴろい布でくるんでしまえば

すっかり晴れて

真っ赤な小さいボタンなど

きえてなくなる塵埃だけれど

 

でも

そうなると

イキモノは

存在しないことになるから

おとしたボタンは生命の証しになる

たいせつに保存しておきましょう


2012-09-08 12:31:02 | ポエム

 

花にとまる昆虫のように

人々のどこかにやってくる

シーツの皺のある山影や

白熱灯の熱いガラス球

しらないうちにかたちをかえる

きえることとあらわれることとをくりかえす

蜜蜂や黒蟻の行動

見た事もない蝶の舞踏

空中に飛び出して行方不明になるフェスティバルの風船

舞踏会の靴がガラスになる

美味しい食べ物が突然凍る

二重露出の街路樹の金と赤の落ち葉がふる

水鳥が潜ったままきえてしまった

男と女のキラキラひかったりする会話

途中で煙にまかれるのは願望

昔から人は煤とともに生きてきた

永遠の汚れは拭き取らない方がいい

ケモノは夢をみるだろうか

 

夢をみるのかみせられているのか

遠雷のように景色が吼える

 

 

 


夕暮と今朝の風と夕暮の風と満月と携帯電話とベッド

2012-09-04 17:19:24 | ポエム

夕暮と今朝の風と夕暮の風と満月と携帯電話とベッド

 

夕暮は一瞬静かになり

携帯電話がかかります

今朝の風がかけてきました

便りですかとといます

いいやそうでもないよとこたえます

朝から夕暮までなにをしたかと

といあわせてくるのです

なにをしたかすっかりわすれていました

夕暮の風はやさしいのです

それでいいよと

夕暮の風は今朝の風にこたえてくれました

 

今夜は満月です

曇っています

夕暮の風から携帯電話に

不在着信があるのを

さきほどみました

 

電話しましたが夕暮の風は

もういませんでした

 

それから満月は

すこしだけみえましたが

直ぐ黒雲の中へかくれました

かくれた満月はしばらくすがたをくらませて

携帯電話にかけてきました

空間が時間と一緒に動いているのか

時間が空間と一緒に動いているのか

動いているのはどちらかが先に動いているのか

三択問題でした

そこで携帯電話は不通になってしまいました

 

ベッドにはいって眠りました 


いますんでいるところはいまというところです

2012-09-03 22:37:36 | ポエム

いますんでいるところはいまというところです

 

 

いますんでいるところはいまというところです
いまはどこにでもありますのでそこにすんでいます
いまいましいけれどもそうなんです
そのひとはコーヒ―にミルクをいれました
カップがとつぜんひっくりかえって
いまがすこしドロドロになりました
とりはよくしっていて
そんないまにはおりてきません
せいけつにしないとなんにもなりません
いまをいまひとたびうつくしくしましょう
いまにおはなをかざり
おはなのごちそうをつくります
おおきなおさらはきれいにもれます
すばらしくておいしいおりょうり
がっこうでならってきたかのじょは
まっしろのかっぽうぎをきておりょうりしながら
ほがらかなうたをうたいながら
たくさんのとりをしょうたいします
あかいとりはソプラノでおれいをうたいました
きいろいとりはテノールでおいしいといいました
いまがとつぜんぼうふううになりました
とりたちはかわいそうに
おどろいていなくなってしまいました
いまはだいじょうぶでしょうか
そこらじゅういまだから
そこらじゅうがたいへんなのです
それでもいまはそんざいしています
いまはなにがあってもこわれません
それにしても
いまはずっとつづくのでしょうか
かのじょやおはなやとりたちがいなくなっても
いまのかわりのいまがあるからだいじょうぶです
いまといまがそっとかさなっているのです
そのぬいめはあるのですか
かみさまはなにもいわずにでかけられましたが

 

 


正常と異常

2012-09-01 12:33:38 | ポエム

正常と異常

 

ふと
目を閉じたら
部屋らしいものが見えた
天井はうす墨色でぼかしが効いていて
高さはわからない
窓はないが
なぜかほんのりと明るいのである
畳を敷きつめた和室

目を開けたら
抽象的にいえば
縦と横の線でできている世界だ
具体的にいえば
モノたちがそれぞれの位置を主張しているから
これ以上どうにもならない世界だ
シンフォニィーのようにうつくしくはないが
こわせない

怖気づいていた正常が
さかんに部屋をはしりだした
異常は落ち着いて
その正常を見ていた

両者の境界線は
みあたらない