不気味な色の藻をせっせと除去して、やっと視界も良好になった水槽…。
ペットショップのお兄ちゃんに言われたとおり、バクテリアを毎日補給し、フィルターをまめに換え、水草と綺麗な藻が揺れる理想的環境(…かどうかは分からないが…)を維持…。
その甲斐あってか…生き残り五匹のメダカは毎日元気に泳いでいた…。
この調子なら…また数を増やしてもいけそうだ…。
そんなことを考えた矢先のこと…突然…一匹が浮いた…。
つい夕べまで元気元気の状態だったのに…。
えぇぇ~っ?
そんな馬鹿な…何が悪かったんだぁ~?
水換えのカルキが抜け切っていなかったのか…藻の除去剤が強いのか…?
そんなことを考えた。
それにしては…他の四匹は変わらず元気に泳いでいる。
温度差や環境の変化で急死するのは経験があるけれど…寿命とか病気なら何か兆候があるはず…。
腹を上にして泳いでいるとか…浮かんだり泳いだりの繰り返しとか…。
斑点がでるとか…。
急死する病気もあるとは聞くが…それだろうか…?
原因が分からないので、一先ず数を増やすことを止めて様子を見ることにした。
けれど…様子を見る間もあらばこそ…翌朝にはまた一匹…。
それに…もう一匹が元気をなくしていた…。
やっぱり…病気か…?
こう立て続けに死んだんじゃ…そうとしか思えんし…。
これほど短時間に連続してメダカが死んだのは初めてのことだ。
巻貝のせいで水質が悪くなった時だって毎日死ぬって状況ではなかった…。
病気なら…全部…あかんかもしれん…。
溜息吐きながら…網で死骸をすくう…。
どこかにそれらしい跡がないか…白っぽく変色した死骸をじっくりと見てみた。
う~ん…なんか…引っ掛かるなぁ…。
なんだか死骸が妙…なのだ…。
病気で死んだにしては…傷みがひどいような気がする…。
ひと晩で腐ったんだろうか…?
そこで…元気をなくしているメダカを観察してみる…。
まだ生きてはいるが…白っぽくなりかけているから…これはもう助からない…。
よくよく見れば…その身体に傷のようなものができている…。
傷のようにも見えるけど…はっきりしないなぁ…。
仲間割れで…喧嘩でもしたか…なぁ…?
けど…そんなこと今まで一回もなかったし…。
その頃すでに老眼になりかけていたので細かいものを見ることが苦手…傷みたいに見えるもの…としか判別できなかった…。
翌朝には弱ったメダカが死んでいた。
水槽にはとうとう2匹…。
病気なら…この2匹も感染しているかもしれない…。
急死するタイプの病気は手の打ちようがないと聞く。
何なんだ…いったい…!
気持ちは苛立つが…原因は一向に分からない…。
心配でたびたび水槽を覗いた…。
妙な現象が起き始めてから…五日経つか経たないか…とうとう最後の2匹にも魔の手が伸びた…。
1匹が水槽のそこに沈み…泳いでいる1匹は白っぽくなって…やはり身体に傷のようなものがあった…。
程なくして…この最後のメダカも力尽き…死んでしまった…。
大ショック!
水槽…片付ける気にもなれない…。
6年近く飼ってきたのに…。
病気…だったんだろうか…?
納得…いかない…。
昼間見た時はみんな元気で…朝になると死んでいる…。
これまでに何匹も死んだメダカを見てきたけど…何処か変…。
メダカが死んでからずっと疑問に感じていた。
たとえ物言わぬ魚でも居なくなると寂しいもので…時々水槽を覗いては水草やコケが揺らぐのを見た。
別の魚を育ててみようか…なども思ってみたりはしたが…それも何となく気が進まず…水槽は放置したままで成り行きにまかせていた…。
或る日…ふと水槽に眼を向けると…なにやら生き物の気配…蠢くものがある。
何だろう…あれ…?
近付いてよく見ると…トンボみたいな虫が居る…。
それも良く知らない種類のトンボで…小型で薄い体色…どうやら羽化したばかりのようだ…。
何じゃこりゃ…?
こんな変な色のトンボは見たことがない…。
薄茶というのか…肌色の汚いやつというのか…。
トンボに似ている別の虫なのかなあ…?
だけど…これがもしトンボの仲間だとすれば…。
トンボの幼虫…ヤゴは肉食で時にメダカも餌になる。
夜行性で昼間は動かない…。
ヤゴは動く動物に反応し、生餌しか食べないから、狭い水槽のメダカは大御馳走には違いない…。
この水槽にはボウフラみたいな虫も居て…ヤゴは餌に事欠かない。
ボウフラはメダカよりは簡単に獲れるだろう…。
メダカを狙って失敗しても生きてはいける…。
う~ん…こいつが犯人だったのか…なぁ?
半信半疑ではあるが…。
それじゃ…こいつが何処から来たのかというと…。
それはおそらく…。
doveはカルキ抜き用の薬剤をバケツに汲んだ水に入れていたが、それを物干しベランダに出して日光にも当てていた…。
doveの家の近くには川があり、水辺の虫がたくさん居る。
勿論…トンボ類も…。
トンボ類は水の光に反応するらしいから…バケツの水の中で産卵していたのかもしれない…。
それに気付かないdoveが…水換えにその水を使ってしまった…。
水槽の中で卵が成長し…ヤゴになり…メダカを襲った…。
このトンボ…みたいな虫はそれほど大きくないから…幼虫も小型だったんじゃないかと思う…。
傷を負わせたものの…完全に食いきることができなかった…とか…?
う~ん…。
あくまで想像だけれど…そんな気がする…。
気味の悪い色のトンボみたいな虫をメダカ用の網で引っ掛けてベランダに出した…。
おまえが犯人かどうかは分からないけれど…できればもう来ないでね…。
虫はその場でじっとしていたが…doveが他ごとをしているうちに何処かへ飛んで行ったらしい…。
次に見た時にはもう…そこには居なかった…。
空っぽになった水槽は三年たった今でもそこにある…。
山と積まれた子供の持ち物の脇に…。
それを見るたびに寒々しくて…何か飼おうかなぁ…とは思うのだが…。
あの不気味な虫を思い浮かべると…どうしても…決心がつかないで居る…。
完…。
ペットショップのお兄ちゃんに言われたとおり、バクテリアを毎日補給し、フィルターをまめに換え、水草と綺麗な藻が揺れる理想的環境(…かどうかは分からないが…)を維持…。
その甲斐あってか…生き残り五匹のメダカは毎日元気に泳いでいた…。
この調子なら…また数を増やしてもいけそうだ…。
そんなことを考えた矢先のこと…突然…一匹が浮いた…。
つい夕べまで元気元気の状態だったのに…。
えぇぇ~っ?
そんな馬鹿な…何が悪かったんだぁ~?
水換えのカルキが抜け切っていなかったのか…藻の除去剤が強いのか…?
そんなことを考えた。
それにしては…他の四匹は変わらず元気に泳いでいる。
温度差や環境の変化で急死するのは経験があるけれど…寿命とか病気なら何か兆候があるはず…。
腹を上にして泳いでいるとか…浮かんだり泳いだりの繰り返しとか…。
斑点がでるとか…。
急死する病気もあるとは聞くが…それだろうか…?
原因が分からないので、一先ず数を増やすことを止めて様子を見ることにした。
けれど…様子を見る間もあらばこそ…翌朝にはまた一匹…。
それに…もう一匹が元気をなくしていた…。
やっぱり…病気か…?
こう立て続けに死んだんじゃ…そうとしか思えんし…。
これほど短時間に連続してメダカが死んだのは初めてのことだ。
巻貝のせいで水質が悪くなった時だって毎日死ぬって状況ではなかった…。
病気なら…全部…あかんかもしれん…。
溜息吐きながら…網で死骸をすくう…。
どこかにそれらしい跡がないか…白っぽく変色した死骸をじっくりと見てみた。
う~ん…なんか…引っ掛かるなぁ…。
なんだか死骸が妙…なのだ…。
病気で死んだにしては…傷みがひどいような気がする…。
ひと晩で腐ったんだろうか…?
そこで…元気をなくしているメダカを観察してみる…。
まだ生きてはいるが…白っぽくなりかけているから…これはもう助からない…。
よくよく見れば…その身体に傷のようなものができている…。
傷のようにも見えるけど…はっきりしないなぁ…。
仲間割れで…喧嘩でもしたか…なぁ…?
けど…そんなこと今まで一回もなかったし…。
その頃すでに老眼になりかけていたので細かいものを見ることが苦手…傷みたいに見えるもの…としか判別できなかった…。
翌朝には弱ったメダカが死んでいた。
水槽にはとうとう2匹…。
病気なら…この2匹も感染しているかもしれない…。
急死するタイプの病気は手の打ちようがないと聞く。
何なんだ…いったい…!
気持ちは苛立つが…原因は一向に分からない…。
心配でたびたび水槽を覗いた…。
妙な現象が起き始めてから…五日経つか経たないか…とうとう最後の2匹にも魔の手が伸びた…。
1匹が水槽のそこに沈み…泳いでいる1匹は白っぽくなって…やはり身体に傷のようなものがあった…。
程なくして…この最後のメダカも力尽き…死んでしまった…。
大ショック!
水槽…片付ける気にもなれない…。
6年近く飼ってきたのに…。
病気…だったんだろうか…?
納得…いかない…。
昼間見た時はみんな元気で…朝になると死んでいる…。
これまでに何匹も死んだメダカを見てきたけど…何処か変…。
メダカが死んでからずっと疑問に感じていた。
たとえ物言わぬ魚でも居なくなると寂しいもので…時々水槽を覗いては水草やコケが揺らぐのを見た。
別の魚を育ててみようか…なども思ってみたりはしたが…それも何となく気が進まず…水槽は放置したままで成り行きにまかせていた…。
或る日…ふと水槽に眼を向けると…なにやら生き物の気配…蠢くものがある。
何だろう…あれ…?
近付いてよく見ると…トンボみたいな虫が居る…。
それも良く知らない種類のトンボで…小型で薄い体色…どうやら羽化したばかりのようだ…。
何じゃこりゃ…?
こんな変な色のトンボは見たことがない…。
薄茶というのか…肌色の汚いやつというのか…。
トンボに似ている別の虫なのかなあ…?
だけど…これがもしトンボの仲間だとすれば…。
トンボの幼虫…ヤゴは肉食で時にメダカも餌になる。
夜行性で昼間は動かない…。
ヤゴは動く動物に反応し、生餌しか食べないから、狭い水槽のメダカは大御馳走には違いない…。
この水槽にはボウフラみたいな虫も居て…ヤゴは餌に事欠かない。
ボウフラはメダカよりは簡単に獲れるだろう…。
メダカを狙って失敗しても生きてはいける…。
う~ん…こいつが犯人だったのか…なぁ?
半信半疑ではあるが…。
それじゃ…こいつが何処から来たのかというと…。
それはおそらく…。
doveはカルキ抜き用の薬剤をバケツに汲んだ水に入れていたが、それを物干しベランダに出して日光にも当てていた…。
doveの家の近くには川があり、水辺の虫がたくさん居る。
勿論…トンボ類も…。
トンボ類は水の光に反応するらしいから…バケツの水の中で産卵していたのかもしれない…。
それに気付かないdoveが…水換えにその水を使ってしまった…。
水槽の中で卵が成長し…ヤゴになり…メダカを襲った…。
このトンボ…みたいな虫はそれほど大きくないから…幼虫も小型だったんじゃないかと思う…。
傷を負わせたものの…完全に食いきることができなかった…とか…?
う~ん…。
あくまで想像だけれど…そんな気がする…。
気味の悪い色のトンボみたいな虫をメダカ用の網で引っ掛けてベランダに出した…。
おまえが犯人かどうかは分からないけれど…できればもう来ないでね…。
虫はその場でじっとしていたが…doveが他ごとをしているうちに何処かへ飛んで行ったらしい…。
次に見た時にはもう…そこには居なかった…。
空っぽになった水槽は三年たった今でもそこにある…。
山と積まれた子供の持ち物の脇に…。
それを見るたびに寒々しくて…何か飼おうかなぁ…とは思うのだが…。
あの不気味な虫を思い浮かべると…どうしても…決心がつかないで居る…。
完…。